曲がるディスプレイの可能性──TCLが『三つ折りタブレット』『画面引き出しスマホ』プロトタイプ公開

それで、いつ製品化するの?

石井徹(TORU ISHII)
石井徹(TORU ISHII), @ishiit_aroka
2020年03月6日, 午後 03:30 in foldable
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TCLフォルダブルスマホコンセプト
2020年のスマホのトレンドに、折りたたみスマホ「フォルダブル」が入ることにもはや驚きはないでしょう。縦折り型のMotorola RazrGalaxy Z Flipが立て続けに発売にこぎつけました。

中国のスマホメーカーTCLは、このフォルダブルに新たな機能を追加したプロトタイプを一部のメディアに公開しました。その1つはTCLが「3つ折り(tri-fold)タブレットのコンセプト」と呼んでいるもので、10インチのディスプレイを屏風のように3つ折りして、コンパクトに折りたためるデバイスです。

もう一方のプロトタイプは、同社が「世界初のローラブル引き出し式拡張ディスプレイスマートフォンのコンセプト」と呼んでいるデバイスです。ただし、これらはあくまでコンセプトであり、実際に発売予定の製品は(まだ)披露されていません。

■3つ折りタブレット

3つ折りタブレットは10インチの3Kディスプレイを備えていて、Z字型に2回畳むと、アスペクト比20.8:9で6.65インチの縦長な携帯電話になります。

TCL 三つ折りフォルダブル コンセプト

ディスプレイの下のヒンジは2つあり、1つは外向きに、1つは内側に折りたたまれます。折りたたんでいる最中にはちょうど、Galaxy FoldとHUAWEI Mate Xがくっついたかのようなスタイルになります。3つ折りスタイルになったスマホは、スマホとしては画期的なほどの厚みを持っています。

TCL フォルダブル コンセプト

実機に触ったEngadgetエディターのCherlynn Low記者によると、このプロトタイプを開くのは神経をすり減らす作業だったといいます。2つのヒンジは曲げるためにある程度の力を掛ける必要があり、その作業を2回もすることになるわけですから、慣れている記者にとってすら苦痛に思えたのでしょう。

そして、このプロトタイプは今のところ、完全なタブレットとして機能するわけではないようです。記者が試せたのはデモンストレーションビデオを再生したり、最低限のAndroidとしての操作を試すことくらいでした。

TCLはこのスマホで想定している使い方は、3つのアプリを縦に並べて実行することです。また、写真アプリでは画面の使い方を2つに分割して、左3分の2にプレビューを表示して、右3分の1に編集パネルを置くといったように、画面の折り方にそったマルチタスクの使い方も提案しています。

TCL フォルダブル コンセプト

TCLはハードウェアの会社で、ソフトウェア開発は得意とするところではありません。そのため、このコンセプトに最適化したアプリを増やしたい場合、アプリ開発者に感心をもってもらうよう、働きかける必要もあるでしょう。

Gallery: TCL 三つ折りフォルダブル コンセプト | of 9 Photos

  • TCL 三つ折りフォルダブル コンセプト
    TCL 三つ折りフォルダブル コンセプト
    Image Credit: Cherlynn Low/Engadget
  • TCL 三つ折りフォルダブル コンセプト
    TCL 三つ折りフォルダブル コンセプト
    Image Credit: Cherlynn Low/Engadget
  • TCL 三つ折りフォルダブル コンセプト
    TCL 三つ折りフォルダブル コンセプト
    Image Credit: Cherlynn Low/Engadget
  • TCL 三つ折りフォルダブル コンセプト
    TCL 三つ折りフォルダブル コンセプト
    Image Credit: Cherlynn Low/Engadget
  • TCL 三つ折りフォルダブル コンセプト
    TCL 三つ折りフォルダブル コンセプト
    Image Credit: Cherlynn Low/Engadget
  • TCL 三つ折りフォルダブル コンセプト
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    Image Credit: Cherlynn Low/Engadget
  • TCL 三つ折りフォルダブル コンセプト
    TCL 三つ折りフォルダブル コンセプト
    Image Credit: Cherlynn Low/Engadget
  • TCL 三つ折りフォルダブル コンセプト
    TCL 三つ折りフォルダブル コンセプト
    Image Credit: Cherlynn Low/Engadget
  • TCL 三つ折りフォルダブル コンセプト
    TCL 三つ折りフォルダブル コンセプト
    Image Credit: Cherlynn Low/Engadget

■ロール引き出し式ディスプレイのスマホ

TCLが披露したもう1つのコンセプトは3つ折りよりもさらに興味深いものです。LGの曲がるテレビのように、ディスプレイの一部がクルクルと張り出して、スマホの画面を拡張します。完全に広げると、ディスプレイサイズは7.8インチになります。

TCL フォルダブル コンセプト

これを「閉じた」状態では、6.75インチになります。ディスプレイはどこへ格納されるのかというと、本体の側面から、裏側に巻き付くようにして、本体内部に格納されます。

Cherlynn Low記者が見たモックアップは、ホーム画面の代わりにステッカーが貼り付けられたような、動かないモックアップであったため、実際にどのように機能するのか、詳しく見ることは叶わなかったようです。

TCLフォルダブルスマホコンセプト

ただし、実際に開く操作はコツがいるようで、画面の裏側を支えて、適切な力を加えて引っ張る必要があるとのこと。TCLはこのスマホに"展開ボタン"を設けて、このスライド機構を(OPPO Find Xのカメラのように)自動で展開するような仕組みを考えているようです。

TCLはこの機構について、折りたたみ式よりも、たたんだときの画面を安全に保護できるという点で優位にあると見ているようです。一方で、画面の幅が自在に可変するデバイスで、さまざまな幅にあわせて最適な体験を提供するアプリをどう作っていくかは、今後の課題になりそうです。

Gallery: TCL ローラブルフォン モックアップ | of 7 Photos

  • TCL ローラブルフォン
    TCL ローラブルフォン
    Image Credit: Cherlynn Low/Engadget
  • TCL ローラブルフォン
    TCL ローラブルフォン
    Image Credit: Cherlynn Low/Engadget
  • TCL ローラブルフォン
    TCL ローラブルフォン
    Image Credit: Cherlynn Low/Engadget
  • TCL ローラブルフォン
    TCL ローラブルフォン
    Image Credit: Cherlynn Low/Engadget
  • TCL ローラブルフォン
    TCL ローラブルフォン
    Image Credit: Cherlynn Low/Engadget
  • TCL ローラブルフォン
    TCL ローラブルフォン
    Image Credit: Cherlynn Low/Engadget
  • TCL ローラブルフォン
    TCL ローラブルフォン
    Image Credit: Cherlynn Low/Engadget

■それで、いつ発売するの?

TCLはフォルダブルディスプレイのコンセプトを披露するのは今回が初めてではありません。CES 2020の会期前など、ここ2年ほど何度かにわたって折りたたみスマホのコンセプトを公開している経緯があります。実際の製品として投入する意思は、果たしてあるのでしょうか。

TCLのグローバルマーケティングのゼネラルマネージャーのStefan Streit氏は製品化していない理由として、ソフトウェアの準備が整っていないことを挙げます。「ユーザーをベータテスターにしたくない」と彼は述べています。

TCL 三つ折りフォルダブル コンセプト

別の理由として考えられるのは製造コストの課題でしょう。TCL製のスマホは、低予算でほどほどの性能を得たいというユーザーを主要なターゲットとして製造されています。ここに折りたたみディスプレイのスマホを入れるには、まだ製造コストが見合わないのは明らかでしょう。とはいえ、いつまでもコンセプトだけ作っていても、実際の製品投入の際に技術開発で遅れをとってしまう可能性もあります。

一方で、量産に当たっては、さらなる課題もでてくることでしょう。ディスプレイが拡張するコンセプトは魅力的ですが、折りたたみよりも壊れやすいようにも見受けられます。アプリ側が画面をどう認識するのかの課題についても、Android OSの開発を主導するGoogleなどとの連携が必要でしょう。さらに実用的な利用シーンを見出すためには、多くのアプリ開発者との協力が必要となるでしょう。

フォルダブルディスプレイの製造コスト低下をひたすら待つというTCLのアプローチはリスクが低い方法と言えますが、実際に後発で投入された製品が競合よりも優れているかは保証されません。TCLが曲がる画面を使って何かを作ろうとしているのは明らかですが、実際に何を市場に投入して、それが成功するのかどうかは今のところ謎のままです。
 
 

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