Googleが提供した位置情報で、男性が誤認逮捕されかける

アカウント名は実名を避けた方がいいかも

Kiyoshi Tane
Kiyoshi Tane
2020年03月9日, 午後 09:30 in crime
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Omar Marques/SOPA Images/LightRocket via Getty Images

Googleがむやみに個人の位置情報を収集することはたびたび問題視されてきましたが、同社が警察に渡した履歴データのために誤認逮捕されかけた人の恐怖体験が報じられています。米ニュースチャンネルNBC Newsによると、発端は米フロリダ州ゲインズビルに住むザカリー・マッコイ(Zachary McCoy )氏がGoogleから通知を受け取ったことでした。地元の警察が彼のGoogleアカウントに関する身元情報を要求しており、1週間以内に裁判所で抗弁しないかぎりデータを引き渡すというものです。

Googleからの通知にたった1つあった手がかりが、事件整理番号でした。マッコイ氏はゲインズビル警察のWebサイトでそれを検索し、10ヶ月前に97歳の女性が婚約指輪などの宝飾品を盗まれた空き巣事件だと突き止めました。その家が自宅から1マイル未満の近さにあり、自分が行ったことがない場所であることもです。

警察に出頭すると逮捕されると恐れたマッコイ氏は両親の家に行き、貯金を取り崩して数千ドルを出してもらうことに。それで雇った弁護士が、警察が「ジオフェンス令状」を取得していたと判明したしだいです。

ジオフェンス令状とは、法執行機関がGoogleに位置情報データの提出を要請できる令状です。警察が特定の地域や期間を指定すると、Googleがデータベース(Sensorvault)から情報を引き渡すというもの。この時点で引き継がれるデータは、あくまで匿名だとされています。

犯罪捜査側にとってのメリットは、現場に投網を投げかけるようにして、犯行時にGPSやBluetooth、Wi-Fiやセルラー回線などを使っていた全員を把握した上で、関連があるかもしれない数台(数人)に絞り込めることです。昨年米The New York Timesは、米警察がこの手法を多用しており、Googleへの要請が急増していると伝えていました。
さらに熱心な自転車乗りでもあるマッコイ氏は、運動記録アプリRunkeeperで自分の位置情報を記録していました。それがGoogleに送られていたと思い当たった同氏は、空き巣事件の起こった日のルートを調べたところ、1時間以内に被害者の家を3回通過していたと確認したとのことです。

ゲインズビル警察が匿名化された最初のデータを精査した結果、マッコイ氏のデバイスに特に興味を抱き、その詳細な身元情報をGoogleに求めた。それを受けてGoogleがマッコイ氏に冒頭の通知を送ったーーそれが担当弁護士が調べ上げた真相です。

弁護士は令状を憲法違反だとして、裁判所に無効を申し立てました。警察がすでに容疑の掛かった人物を調べるのではなく、無差別の調査をして容疑者を見つけるものであり、従来の捜査令状とは手続きが逆だというのが理由です。

警察はその後、マッコイ氏が犯人ではないと考えられる詳細な理由があったとして、要求を取り下げました。が、それが何であるのかは述べていないとのことです。

つまりマッコイ氏はたまたま近所にある家の近くを3回通り過ぎただけで、他に理由もなく容疑者にされたと言えます。もしも両親に弁護士を雇えるだけのお金を出してもらえなければ、また自分がGoogleにいつ、どのように位置情報を渡していたか気づかなければ、誤認逮捕されていたかもしれないわけです。

実際、NBCニュースは米ウィスコンシン州ミルウォーキー警察を退職した人物による、ジオフェンス令状のおかげで殺人や銃撃、強盗や性的暴行事件などの犯罪を解決できたとの証言を伝えています。その一方で、裁判所でジオフェンス令状に異議申し立てがほとんど行われないとの実情も報じています。なぜなら令状が秘密裏に取られるため、弁護側がそれを使われたことに気づかない可能性があるためです。

マッコイ氏は人生の大部分で、オンラインでは匿名で生活してきており、SNSやGoogleアカウントも仮名を使ってきたと述べています。それが結果的に彼の身を守ったかどうかは不明ですが、個人情報と紐付けられたアカウントに実名を使うのは避けた方が賢明かもしれません。
 
 

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