孫正義氏「行動を開始」、新型コロナに100万人分検査キット提供とツイート

混乱を招く可能性も

石井徹(TORU ISHII)
石井徹(TORU ISHII), @ishiit_aroka
2020年03月11日, 午後 07:14 in softbank
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ソフトバンクグループ総帥の孫正義氏は、3年ぶりに自身のTwitterアカウントでツイートし、新型コロナウイルス感染症の検査キットを有志として提供すると発言しました。

昨年12月より猛威を振るっている新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)は、症状や致死率こそインフルエンザと同等程度とされていますが、未だに有効なワクチンや治療薬が開発されていないことから、世界を混乱に陥れています。感染症が広まるきっかけとなった中国では大規模な経済活動の一時封鎖を行うなどしたことにより、デジタル製品などの製造にも支障が生じているほか、日本を含む感染が広まった地域では海外との往来が制限され、観光や興業も自粛されるなどの幅広い影響がみられています。

依然事態の先行きが見えないなか、孫正義氏は自身のTwitterアカウントで2017年2月以来のツイートを行い、「簡易PCR検査の機会をまずは100万人分に無償で提供する」と表明しました。申込方法などはこれから準備するとしています。 一方で、政府が2月25日に定めた「新型コロナウイルス対策感染症対策の基本方針」によると、現時点の感染症対策は、感染が確認されている小規模集団(クラスター)内からの感染の連鎖を最小限にとどめつつ、さらなる感染の拡大に備える準備期間として、医療機関のリソースを温存するものとされています。

現在、新型コロナウイルスの検査法として用いられているPCR検査は1日〜数日と時間がかかるもので、100万人という大規模な検査をするためには、相応に医療機関のリソースを消費する可能性があります。

そのため、政府では新型コロナウイルス感染の疑いが強い人にのみ検査を実施する方針をとる一方で、医療分野の企業と連携して簡易的な検査方法の開発を進めています。

また、医療リソースの消費以外にも、検出精度の課題もあります。新型コロナウイルスの日本での感染者数(確定症例)は厚生労働省によると3月11日時点で568例(無症状者64名含む)となっており、日本の人口比で約0.0004%にとどまっています。検査精度が高くない検査手法でこの規模の感染にとどまる感染症を検査する場合、「実際には新型コロナウイルス感染症ではなかったのに、感染症という結果が出る人(偽陽性)」が、「実際に感染症かつ検査でも感染症という結果が出た人」を大幅に上回ってしまう可能性もあります。

こうした観点から考えると、現時点で無症状でも希望者なら新型コロナウイルス感染症の検査を受けられるようにした場合、偽陽性者の精密検査などで医療機関が疲弊し、さらなる混乱を招いてしまう可能性もあります。

孫氏は厚生労働省を訪問したことを明かし、「医療崩壊を起こさないよう連携しながら」進めていく方針を表明しています。孫氏が実際に行動する段階になった際には、新型コロナウイルスの感染対策のフェーズも変わり、より高精度で簡易的な検査方法が登場する可能性もあります。現段階では孫氏はただツイートしただけにとどまっており、実際にどのように実行に移すかはさだかではありません。

【追記:2020年3月11日 21時50分】
検査キットの100万名無償提供の意思を公表してから約2時間後の午後8時34分、孫氏は「評判悪いから、やめようかなぁ。。。」と発言し、検査キット提供を撤回する意向を示しました。

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