コロナで急増する「イベントのオンライン配信」は地域格差を埋めるか(佐野正弘)

課題は双方向性

佐野正弘(Masahiro Sano)
佐野正弘(Masahiro Sano)
2020年03月12日, 午前 09:40 in line
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新型コロナウイルスの拡大を防ぐため、政府がイベントの自粛や公立の小中学校の休校を要請するなどしたことで大きな混乱が起きている昨今。ですが筆者は元々、取材の時以外はほぼ自宅にこもって仕事をしているので、日常生活はあまり変わっていないというのが正直なところです。

とはいえ影響が全くないかといえばそうでもありません。MWC Barcelonaへの渡航を取りやめたというのもその1つですが、新型コロナウイルスの広がりを受けて政府が大規模イベントの自粛要請をしたことなどから、国内でも新製品などの発表会がオンラインでのライブ配信のみとなるケースが増えており、取材に出る機会そのものが激減しているのです。

実際、3月3日の楽天モバイルの発表会や、3月5日のソフトバンクの5Gサービス発表会は、いずれもメディアが入ることのできない、オンライン配信のみの開催となっていました。

それらの内容を見ますと広い会場を借り、芸能人やスポーツ選手が登場するなど非常に力の入った発表会で、きっと多くのメディアを呼んで華々しいアピールをしたかったのだろうな......と感じるのですが、そうしたイベントであってもオンラインのみでの開催となったことを考えると、新型コロナウイルスの影響が落ち着くまでこうした状況がしばらく続く可能性が高いといえそうです。

eg20200310_1▲楽天モバイルが2020年3月3日に実施した、本格サービス開始に向けた発表会。大規模な発表会となる予定だったが、新型コロナウイルスの影響でオンライン配信のみとなってしまった

しかしながらオンラインで新製品発表会などのイベントをライブ配信すること自体は、別段珍しいものではありません。

国内でも「ニコニコ生放送」や「Ustream」などの映像ライブ配信サービスが注目された2008〜2010年頃から、ドワンゴやソフトバンクなどライブ配信サービスに関連する企業が、自社の発表イベントなどを積極的にオンライン中継して注目されるようになっていました。

DSC08539▲現在のソフトバンクグループに当たる旧ソフトバンクは、Ustreamに出資した2010年頃から、携帯電話サービス発表会のオンライン配信などを積極的に実施している。写真は2010年のソフトバンク発表会より

その後、ライブ配信への注目の高まりによって多くの企業がライブ配信を活用するようになりましたし、「LINE LIVE」「YouTube Live」などライブ配信ができるプラットフォームそのものも拡大していきました。

10年でライブ配信の利用は、IT系だけでなく音楽やスポーツ、そして企業の発表会など幅広いイベントへと広まり、一般的になっていったといえます。

そうしたことから、長年発表会のライブ配信を実施している企業の発表会などを見ていると、だいぶ手慣れた印象もあり視聴中に大きな不満を抱くことはあまりありません。

しかしながら中には、新型コロナウイルスの拡大を受け急遽ライブ配信をしなければならなかった企業や団体なども少なからずあるようで、いくつかのイベントを視聴していると、配信中に映像が途切れたり、音が小さかったりと、品質に不満があるものも出てきているように感じます。

それゆえ3月に入ってから、LINEがLINE LIVEで企業やアーティストによるライブ配信をサポートすることを打ち出したり、ドワンゴがニコニコ生放送で無観客のイベントを中継するサービスを実施したりするなど、ライブ配信サービスを提供する企業の側も様々な対策を打ち出し、経験の少ない企業などがライブ配信をしやすくする環境を整えてきています。

従って今後はライブ配信の質も高まり、不満も減少していくのではないでしょうか。

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▲ドワンゴのプレスリリースより。同社は3月3日にニコニコ生放送の活用などによる無観客のイベントを支援する取り組みを打ち出しており、それを利用した「観客のいない音楽会」も3月8日と3月14日に実施するとしている

とはいえ、こうしたオンライン発表会やイベントの多くは、配信プラットフォームのコメント機能などは利用できるものの、基本的には配信者が視聴者に映像を届ける、単一方向の映像配信のみとなっています。

それは従来のイベントのライブ配信が、あくまで会場に来られない人向けのものという位置づけであり、会場に人がいるケースがほとんどだったことから、双方向性の重要性が低かったともいえます。

ですが会場に誰も行くことができない完全オンラインのイベントとなりますと、それでは対応できないケースも出てきます。

例えば記者向けの製品・サービス発表会などでは、発表後に記者が担当者に質問する、質疑応答や囲み取材などの場が設けられることがが多いのですが、ライブ配信のみのイベントでは、あらかじめ受けた質問について答えたり、発表会の後に電話で質問に答えたりすることで対応するケースが多く、突っ込んだ質問が難しいなど双方向でのやり取りに未成熟な部分があると感じたのも確かです。

その解決策の1つとして、ビデオ会議のシステムを活用するというケースも見られます。実際ソラコムが2月21日に実施したオンラインでの発表会ではビデオ会議サービスの「Zoom」が用いられ、記者が直接質問できる仕組みを用意していました。

イベントの規模にもよるでしょうが、双方性が求められるライブ配信イベントを実施するなら、こうした仕組みを活用するケースも今後増えていくかもしれません。

eg20200310_3▲2月21日にソラコムはiOS向けのeSIMデータ通信サービス「SORACOM Mobile」を発表したが、そのオンライン発表会はビデオ会議サービスの「Zoom」を使って実施された

イベントで人と直接会ってコミュニケーションをしたり、実際にモノに触れたりすることも確かに重要ではあります。

ですがイベント会場が都市部であることが大半を占めるがゆえに参加ができず、住んでいる場所によって得られる体験に大きな差があることを長い間痛感してきた地方出身者の筆者としては、オンラインで場所を選ぶことなく共通の体験が得られるイベントが増えることで、体験格差の解消に繋がっていくことにも大いに期待したいところです。
 
 

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