今年秋に登場と見られる、新型フラッグシップiPhone 12(仮)シリーズ。それらに搭載されるSoCとなるA14(仮)チップを、台湾半導体大手TSMCが5nmプロセスにて4月から量産開始するとの噂が報じられています。ウワサの発信源は、台湾のサプライチェーン情報でおなじみの電子業界情報誌DigiTimes(有料記事)です。同メディアは製品の発売日や具体的な製品名はさておき、「ある製品が量産開始された」などのサプライヤー関連情報にはかなりの信ぴょう性を持っています。
2016年以降、iPhoneに搭載されるAシリーズチップはTSMCが独占的に製造しており、最新チップの生産は毎年4~5月に開始されることが通例となっています。つまり、製造工程の準備は予定通り進行していると思われます。
半導体製造における製造プロセスとは、回路線幅のこと。一般的には10nm、7nm、5nmと数字が小さくなるほど同じサイズのチップでも含まれるトランジスタ数が多くなり、性能とエネルギー効率の両方が強力となる傾向があります。
これまでTSMCが手がけたAシリーズチップおよび製造プロセスは、以下の通りとなっています。
- A10チップ:16nm
- A11チップ:10nm
- A12チップ:7nm
- A13チップ:7nm +(改良された7nm)
- A14チップ:5nm(予想)
しかし新型コロナウイルス感染拡大が収束する気配もなく、それどころかWHOがパンデミック(世界的な大流行)という認識を示した中で、TSMCが通常運転でA14の量産を開始できる見通しというのは驚くべきことです。
TSMCが拠点を置く台湾は迅速に水際対策を実行し、感染拡大を食い止められた(10日時点で感染者47人、死者1人)と見られています。が、同社は1月末の段階で「中国の工場での生産が順調に推移し、コロナウイルス流行の影響は受けていない」と報じられていました。
まさに渦中にあった頃の中国でどのように生産体制を維持できたのか、そちらも興味深いところと言えそうです。