日本発売「Mate 30 Pro 5G」でファーウェイが狙うのは天下三分の計:旅人目線のデジタルレポ 中山智

Googleなしでも成立するエコシステム構築にファーウェイは本腰を入れ始めたのでは

中山智 (Satoru Nakayama)
中山智 (Satoru Nakayama), @yenma
2020年03月16日, 午前 10:30 in smartphone
79シェア
Mate30Pro5G旅人ITライター中山です。ファーウェイから「HUAWEI Mate30 Pro 5G」が発表されました。ハイエンドのSIMフリーモデルで、しかも5G対応といろいろと見所の多い端末ですが、やはり注目ポイントのひとつは、「GMS(グーグル・モバイル・サービス」非搭載ということでしょう。Mate30Pro5G
▲HUAWEI Mate30 Pro 5Gが日本でも発売される

もともと「Mate 30シリーズ」は、昨年秋に発表されたモデルです。日本ではなかなか発売されませんでしたが、ファーウェイの日本法人でデバイス部門のプレジデントを務める呉波氏は、過去のグループインタビューで「Mate 30シリーズについては5Gに対応する製品として、日本国内での発売を検討しております。ただし、標準モデル(4G)に関しては発売する計画はありません」と語っていたので、このタイミングでの発表&発売はある意味予想どおりではあります。


さらに昨年秋の発表会でもMate 30シリーズは、「GMS」は搭載しておらず「HMS(ファーウェイ・モバイル・サービス」のみを搭載し、アプリのダウンロードは「Google Play」ではなく、「AppGallery」となっていました。

海外ではこの仕様ですでに発売済みですが、筆者はGMSに対応しておらず、各種Googleサービスがアプリや機能としてスムーズに利用できない状態では、日本での発売は難しいかと思っていましたので、今回の発表には「ファーウェイもかなり本気」だと結構驚いています。

Mate30Pro5G
▲昨年秋のMate 30シリーズ発表会では、展示モデルもGMSではなくHMSだった

ファーウェイが何に対して本気なのか。それはGMSではなくHMSでのエコシステムの構築。さらにはその先にある、独自OSの「HarmonyOS」を採用したスマートフォンの登場まで本腰を入れて見据えているのではということです。

実際、最近のファーウェイの発表会や説明会では、かなりの時間を「HMS」の説明に費やしています。2月下旬にスペイン・バルセロナで行われた「HUAWEI Mate Xs」の発表会でも同様でした。

特にAppGalleryの説明では、iOSの「App Store」、Androidの「Google Play」に対抗できる、第3のエコシステムとしてAppGalleryをアピールしていました。ユーザーへアプリを配信するエコシステムで、Apple、Googleに続きファーウェイが、さしずめ「天下三分の計」を目指しているといえます。

Mate30Pro5G
▲第三のエコシステムとしてHSM CoreとAppGalleryをアピールするファーウェイ

ファーウェイがHMSを推し進めていきたい理由は、直接的にはアメリカの規制によりGMSが利用できないためですが、それ以外にもあります。特にポイントとなるのがIoT機器との連携です。

バルセロナでの発表会後に行われたグループインタビューでも、ファーウェイのビジネスコンシューマーグループCEOリチャード・ユー氏は、「5Gがスタートして、今後はIoT機器や産業機器にも展開されていく」と話しています。

その際にスマートフォンとIoT機器や産業機器の連携には「アプリ」が触媒となります。そのアプリを自分たちが管理できないエコシステムで配信するよりは、HMSで配信できたほうがなにかと都合がいいわけです。

Mate30Pro5G
▲バルセロナにてグループインタビューを受けるファーウェイのビジネスコンシューマーグループCEOリチャード・ユー氏

グループインタビューでは「Harmony OSを搭載したスマートフォンの計画は、今年の第3四半期の終わりまでは様子を見る」とリチャード・ユー氏は回答しています。

つまりアメリカ大統領選挙の行方を見守っている状態です。その一方で「当面はIoT製品へ積極的に展開していくことになる」とも語っており、Harmony OS搭載機器をスマートフォンからコントロールするならGMSよりHMS、さらにはHarmony OSどうしのほうが、やはり都合は良さそうです。

Mate30Pro5G
▲AppGalleryではアプリの登録数も増加しているとのこと

これらのことから、筆者はこの先アメリカの規制が解除されたとしても、ファーウェイのスマートフォンは、以前のようなGMSを柱としたものにはならないのではと考えています。iOSのApp StoreではGoogleのアプリが提供されていますが、HMSのAppGalleryも同じようになるのはないかと。

Mate30Pro5G
▲iOSのApp StoreようにHMSのAppGalleryでGoogle系のアプリが配信されるかも?

過去には第3のOSとして参入を試みた企業は数多くありましたが、いずれもアプリ配信のエコシステム構築がネックのひとつとなって撤退していきました。

ファーウェイの場合は、すでに十数億人の中国市場でHMSとAppGalleryのエコシステムを稼働していますので、これを海外に広げていけばいいので、これまでのケースよりはハードルは低くなっています。

Mate30Pro5G
▲すでに日本のアプリもAppGalleryで配信されている

Mate30Pro5G
LINEもAppGalleryからダウンロード可能(更新:2020/03/16 19:09)HUAWEI P30 Proなど日本で発売しているファーウェイ端末のApp Galleryでは「LINE」はダウンロードできますが、Googleサービス非対応のMate 30 ProのApp GalleryではLINEはダウンロード不可でした。

ファーウェイがGoogle陣営の一員としてこれまでどおりの戦略を進めるか、天下三分の計を目指して3つめのエコシステムを構築するのか、今後も注目です。

TechCrunch 注目記事「新型コロナの影響で自宅待機中のTechCrunchスタッフを熱中させているもの

新型コロナウイルス 関連アップデート[TechCrunch]

TechCrunch Japanへの広告掲載についてのお問い合わせはad-sales@oath.com まで。媒体概要はメディアガイドをご覧ください。

79シェア

Sponsored Contents