トヨタが「ブロックチェーン」の活用本格化へ。『クルマID』で中古車価値向上など

2020年内に「実サービスに近い環境」で検証

石井徹(TORU ISHII)
石井徹(TORU ISHII), @ishiit_aroka
2020年03月16日, 午後 06:45 in toyota
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トヨタ自動車とトヨタファイナンシャルサービスは16日、ブロックチェーン技術の活用に関する説明会を実施しました。トヨタグループ6社で作る「トヨタ・ブロックチェーン・ラボ」という組織をアピールし、ブロックチェーン技術を持つ外部の企業に対して連携を呼びかけました。

ブロックチェーンは、ネットワーク全体で信頼性が高い(改ざんが困難な)データベースを管理するという仕組みです。「分散型台帳技術」と呼ばれるように、多数にコンピューターが連携し、更新された情報を相互に承認しあう仕組みを備えています。

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そのブロックチェーンの仕組みはビットコインやLibraのような仮想通貨(暗号資産)のみならず、国際送金システム、契約手続きの効率化(スマートコントラクト)、美術品などの真贋情報の確認、流通経路の管理(トレーサビリティ管理)、ユーザー認証(ID管理)など、データベースを含むあらゆる用途で活用できると見込まれています。また、これらの用途では、従来の技術よりも管理にかかるコストが低く、大規模なデータベース管理もしやすいとされています。

ざっくり言うと、ブロックチェーンは大規模なデータベースを(従来より)低コストで管理できる仕組みと言えるものです。グループ売上で30兆円を超えるトヨタ自動車は、本格的なブロックチェーンの活用により、大きなコスト削減と付加価値の提供が見込みます。


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それでは、トヨタはブロックチェーンを具体的にどのように活用するのか。現時点では研究段階としつつも、昨年9月〜12月に展開した、3つの実証実験をもとに、トヨタが目指す将来像が紹介されました。

■ヒトとクルマのID化

ブロックチェーンの現実的な用途の1つが「ID管理」です。1つのユーザーアカウントに対応するブロックチェーン上の識別記号(トークン)を割り当てれば、ブロックチェーン上でID認証ができます。これを活用してたとえば、トヨタ内外のさまざまなサービスを1つのアカウントで利用する仕組みを構築できます。本人確認の結果を信頼性の高いブロックチェーンで共有できれば、クルマを買う際の売買、割賦や法定登録などの際の本人確認で一回だけで済ますこともできるとしています。

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トヨタらしい取り組みとしては、車ごとにアカウントを発行する実験を行っていることがあります。車IDを通じて販売や修理の履歴を蓄積できるようにすることで、たとえばトヨタ以外の修理店で修理した場合であっても透明な履歴が残り、中古販売時の価値を高めることができるとしています。

さらに、トヨタの車の製造現場においても、ブロックチェーンの活用を見据えているといいます。自動車産業は、国内外に多数の系列部品メーカーがつらなっり、さまざまな工場での生産、組み立てされた部品が最終的に統合され、1つの自動車が作られます。このサプライチェーンに並ぶトヨタの子会社や関連会社は多数の伝票をやりとりして決済を行っていますが、この伝票のやりとりをブロックチェーンに置き換えれば、手続きが簡素になり、よりスムーズになるとしています。これは「カイゼン」で世界に知られるトヨタらしい取り組みと言えるでしょう。

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■2020年内に「実サービスに近い環境で」検証

そのブロックチェーン活用を進めるトヨタ・ブロックチェーン・ラボは、2019年4月にトヨタ自動車、トヨタファイナンシャルサービス、トヨタファイナンス、トヨタシステムズ、デンソー、豊田中央研究所の6社を中核企業として設立されました、。加盟各社のブロックチェーン技術者の勉強会から発展し、トヨタグループでブロックチェーン活用を進めるための中核的な存在となったとしています。今後、トヨタグループ内外でブロックチェーンを活用する企業と連携し、実用化の可能性を模索していくとしています。



具体的な取り組みについては、「2020年中に実サービスに近い環境で検証する」としていますが、その内容は検討中とのこと。ただし、発表したサービス担当者は「たとえばポイントプログラムのような、世の中で問題が起きにくい性質のサービスもある。この裏側の仕組みはブロックチェーンで実装されている例もある」とコメント。決済アプリ「TOYOTA Wallet」やMaaSアプリ「my route」での展開が示唆されました。

このほかにも、トヨタが開発を発表した"都市"のプロジェクト「Woven City(ウーベンシティ)」においても、ブロックチェーンを暮らしの中のサービスで活用する検証する予定としています。
 
 

 

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関連キーワード: automotive, blockchain, car, industry, IoT, technology, toyota
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