IIJの「eSIM」が超低価格で正式サービス開始、メリット・デメリットは(石野純也)

月150円で回線を維持できる

石野純也 (Junya Ishino)
石野純也 (Junya Ishino)
2020年03月17日, 午後 07:00 in mobile
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ベータ版として昨年7月からeSIMを提供してきたIIJが、3月19日から、ついに本サービスの「eSIMデータプランゼロ」を開始します。物理SIM用の「ライトスタートプラン」がほぼそのままだったベータ版だったときとは打って変わり、最低利用料が150円、1GBあたり450円という超低価格を打ち出してきました。

ベータ版での動向をふまえ、よりeSIMらしいサービスに磨き上げたプランと言えそうです。ここでは、その狙いやユーザーにとってのメリット、デメリットを見ていきましょう。


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▲IIJは、eSIMのサービスをついに正式スタート。ビックカメラグループでの販売も行う

eSIMのニーズを満たしていなかったベータ版

元々のベータ版では、物理SIM用のライトスタートプランと同じで、料金は1520円、高速通信可能なデータ容量は6GBとなっていました。一方で、IIJmioの一般的な料金プランである月2GBの「ミニマムスタートプラン」や、12GBの「ファミリーシェアプラン」はeSIM用には提供されていません。あくまでベータ版という位置づけだっため、プランがど真ん中の1つに絞られていたというわけです。

IIJmioでは、物理SIMの場合、「ミニマムスタートプラン」と「ライトスタートプラン」で最大2枚、「ファミリーシェアプラン」で最大10枚のシェアを組むことができますが、ベータ版のeSIMはこれにも非対応。大手3キャリアの料金プランと比べると安価ではありますが、6GBだと容量が多すぎるというユーザーや、プリペイド的に使いたいとユーザーのニーズは、満たしきれていませんでした。

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▲7月にスタートしたeSIMサービスは、あくまでベータ版という位置づけ。料金、容量も1種類しかなかった

eSIMは、オンラインで簡単に発行ができ、すぐに使い始められるのがメリット。逆に言えば、使わないときは休止も簡単にできるのが特徴と言えます。これに対し、ベータ版として展開されてきたeSIMのライトスタートプランは、定期契約が前提の物理SIMカード用プランをeSIM用に焼き直したにすぎません。iPhoneなどに2回線目として設定して、MNOの段階制プランと併用すれば確かに料金は抑えられましたが、eSIMならではの色合いは薄かった印象があります。

月150円で回線維持できる「正式版」

正式なサービスとしてリリースされるeSIMデータプランゼロは、こうしたユーザーからの声にある程度こたえたものになります。

プランの基本使用料は150円。これは、データ通信を使おうが、使うまいが、必ずかかる料金です。1GBの容量を購入すると、300円が追加でかかり、合計は450円に。以降は1GBごとに450円となり、容量は最大で10GBまで追加できます。基本料と1GBまでの料金が分かれているため、少々分かりにくいかもしれませんが、ザックリ言えば、料金は1GBあたり450円です。

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▲料金は1GBあたり450円。まったく使わないときも、150円で維持できる

ただし、3GBで1350円、4GBで1800円になるため、3GBを超えた時点でベータ版のライトスタートプランよりも料金は高くなってしまう点には注意が必要です。そのため、IIJはベータ版の料金プランを残しつつ、eSIMデータプランゼロを投入しています。

eSIMのデータ通信をある程度メインとして使うのであればベータ版のライトスタートプラン、2回線目のサブとして使うのであればeSIMデータプランゼロといった形で、2つのプランを使い分けるといいかもしれません。

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▲3GB以上、コンスタントに使うときはベータ版のライトスタートプランを検討したい


メリットは小容量、Rakuten Miniのような小型端末とも相性抜群

データプランゼロのメリットは、小容量にあると見ていいでしょう。ライトスタートプランよりも、MNOの段階制プランとの組み合わせがしやすくなっているのが、1つ目のメリットです。たとえば、ドコモのギガライトは、1GBまでは2980円ですが、これを超えると料金が1000円上がり、3980円になります。

3980円で使えるデータ容量は3GBまでですが、仮に2GB使いたい場合でも、1000円払わなければなりません。1GBを超えそうになったとき、データ通信をIIJのeSIMデータプランゼロに切り替えれば、この料金を450円と半額以下にできるというわけです。

ドコモのギガライトは1GBあたりで計算しても500円になるため、2GBぶんをeSIMデータプランゼロで通信しても、そのままドコモ回線を使い続けるより100円安くなります。わずか100円の違いではありますが、大手キャリアの回線を最低料金で維持しつつ、ある程度データ通信を使う人にはちょうどいい料金プランと言えるでしょう。

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▲1GBあたり450円という料金設定は、各社の段階制プランと相性がいい

データ通信を使わなかった月の料金が150円とリーズナブルなため、とりあえず契約しておき、ギガ不足を補うといったこともできそうです。3大キャリアはいずれも、追加のデータ容量を1GBあたり1000円に設定していますが、eSIMデータプランゼロであれば、これが450円で済みます。

さすがに大容量プランでは不要かもしれませんが、auの「auデータプラン7プラス」のように、7GB程度の中容量プランを主力にしているキャリアもあるため、一定のニーズがありそうです。

ワイモバイルやUQ mobileといったサブブランドの場合、追加のデータ容量は500MBあたり500円。単位は大手キャリアの半分で、細かく容量を追加していくことが可能な半面、1GB単位で見たときの料金はメインブランドと同じ。いずれの場合でも、料金の安さではeSIMデータプランゼロに軍配が上がります。

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▲ギガ不足のときの容量追加用としてもリーズナブル。サブブランドよりもコスパが高い

Rakuten Miniのような小型端末との相性もよさそうです。予備の端末として持っておき、普段はデータ通信を使わず150円で維持しながら、必要なときだけデータ通信を買い足すことができるからです。普段は電子決済端末としておサイフケータイを使いつつ、いざというときにテザリングなどを使うといったこともできそうです。Rakuten Miniはスマホではありますが、IoT端末ライクな使い方と言えるでしょう。150円で維持できるため、通信障害が起ったときの備えにもなりそうです。

再発行も無料に

もう1つ特筆しておきたいのが、eSIMの再発行が無料になったこと。これまでは、eSIMの再発行手数料として2000円、SIMカード発行手数料として200円の計2200円がかかっていましたが、前者の2000円が0円になります。eSIMの場合、SIMカードの情報が端末に内蔵されたチップに書き込まれてしまうため、物理的なSIMカードとは違って、簡単に抜き差しできませんでした。そのため、一時的に別の端末で使いたいときには再発行が必要になります。ベータ版のときには、その都度2200円がかかってしまったのです。

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▲機種変時にマストとなるeSIMの再発行にかかっていた手数料の2000円が無料になる

筆者も、この仕様に泣かされた1人。eSIMは、真っ先に試すため、iPhone XRにインストールしましたが、2カ月も経たずにiPhone 11が発売されeSIMを再発行。このときには、キャンペーンで料金がかかりませんでしたが、その後発表されたグーグルのPixel 4/4 XLを試す際に再びeSIMの再発行が必要になり、2200円がかかってしまいました。厄介なのは、iPhone 11に戻すには往復で再発行が必要になる点。SIMカードを別の端末に入れ、元に戻しただけにも関わらず、行って来いで4400円になってしまいました。

これの料金が、3月19日から200円になります。しかもeSIMデータプランゼロだけでなく、ベータ版のライトスタートプランも対象。さすがにまったくの無料というわけではないため、1日に何回もeSIMの再発行をするわけにはいきませんが、複数台持ちには大幅な節約になります。このぐらいの料金であれば、普段はiPadでeSIMを使いつつ、必要なときだけiPhoneにeSIMを移すといった使い方もできます。

eSIMは始まったばかり。今後の広がりにも期待

プランの内容を刷新したIIJのeSIMサービスですが、まだまだ足りない点もあります。現状では、物理SIMと同じプランが選べず、シェアも組めません。IIJmioをメインのスマホで使いつつ、サブとしてiPadにeSIMを入れるといったニーズを満たせないないからです。

とは言え、あくまでeSIMサービスは始まったばかり。IIJのMVNO事業部コンシューマサービス部長、亀井正浩氏は「まずは広く展開したかった」とeSIMデータプランゼロを投入した理由を語っています。ベータ版での契約数は1万4000ほど。この数が広がったとき、切り口がまったく異なる料金プランが登場することになりそうです。

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▲1万4000契約を超えたeSIMだが、eSIMデータプランゼロではより間口を広くした

 
 

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