新 iPad Proの「LiDARスキャナ」解説。3D認識でARが進化、モノのオクルージョンも対応

現実と仮想の境界が曖昧に

Ittousai
Ittousai , @Ittousai_ej
2020年03月19日, 午前 06:30 in IpadPro
0シェア
FacebookTwitter

Apple

アップルが発表した新 iPad Pro 最大の進化点は、背面にアップル製品として初めて『LiDARスキャナ』を搭載したことでした。

LiDARスキャナは光を使い広い範囲の距離(奥行き)を測る装置。自動運転やロボットのナビゲーションなどでも広く使われる歴史ある技術ですが、スマホの機能として耳にすることはほとんどないため、一体なんなのか、具体的に何ができるのか分かりやすいとはいえません。

ここでは LiDARスキャナのかんたんな概説と、新 iPad Pro で何ができるのかをまとめます。

LiDARとは

LiDAR
(LiDARスキャナの動作概念図。光の点ごとに距離を測り3Dモデルを得る)

LiDARスキャナの LiDAR は「Light Detection and Ranging」(光検出と測距)の略。光で距離を測定する技術のこと。

iPad Proでは Xbox One の Kinectセンサと同じく、光が物体の表面に反射して戻ってくるまでの時間を測定して距離を測る ToF (Time of Flight)方式を採用します。

カメラのオートフォーカスのためのレーザーレンジファインダを載せたスマホはありましたが、LiDARスキャナは広い範囲をスキャンすることで、周辺環境の詳細な3Dマップを得られることが特徴です。

LiDARスキャナの使いみち

Apple
(IKEAのARアプリ。今年リリース予定の新バージョンでは、ひとつの仮想家具を表示するだけでなく、複数を組み合わせて模様替えシミュレーションができる Studio もーどに対応予定)

・ARアプリ開始が速く、シームレスに、正確に

iPad に LiDARスキャナを載せた理由は、ここ数年のアップルが全社的に注力する AR (拡張現実)を強化するため。

ARといえば、ポケモンを目の前にいるかのように表示したり、標準アプリの「計測」では現実の物体の長さや面積を測るといった用途に使われています。

通常のカメラしか搭載していない従来の iPhone や iPad では、こうしたARアプリを開始する前に、「カメラを明るい場所に向けて動かしてください」「円を描くように動かし続けてください」などという謎の儀式をする必要がありました。

これはカメラで取得した画像から特徴となる点を画像認識で探し出し、本体のモーションセンサなどの情報と組み合わせて、AR表示の基準点となる床や机がどこにあるかを推定する必要があったため。

一方、新 iPad Pro ならばカメラ画像だけでなくLiDARでそのまま周囲の奥行き・形状が分かるため、儀式不要でシームレスに、より正確にARアプリが使えます。

アップルによれば、新 iPad Pro では ARアプリの開始がすばやく簡単になるだけでなく、「計測」アプリがより使いやすく正確に、人体のサイズや動きの認識もより精度が増すとのこと。

人体の計測はスポーツのフォームを分析するアプリや、ヘルスケア系など実用的なARアプリにつながります。

Apple

さらに 新 iPad Pro では、LiDAR で周囲の3Dモデルを得てARと組み合わせることで、家具など現実の物体の向こう側にARキャラクターなどが隠れる「オブジェクトオクルージョン」にも対応します。

ポケモンGOの AR写真撮影をしたことがある人ならご存知のように、従来の iOS のARでは床や地面のうえに仮想オブジェクトがあるように見えても、結局はカメラ映像の上にかぶせて描画しているため、ARが現実の物体を貫通して前後関係が破綻してしまう限界がありました。



Apple
(ゲーム Hot Lava の新しいARモード。部屋がARゲームのマップになり、現実の家具がゲーム内の障害物に。年内のアップデートで提供予定)

しかしiOS ARKitの新機能「オブジェクトオクルージョン」を使えば、現実の複雑な形状や奥行きを認識して、仮想オブジェクトとの前後関係を正しく描画できるため、自然に物陰に隠れるような表示が可能になります。

ゲームでは部屋の椅子や机をキャラクターがよじ登ったり隠れたりといった表現が、実用アプリではたとえば仮想の椅子と現実の机をちゃんと組み合わせてさまざまな方向から見られるインテリアアプリなどが考えられます。

アップルによれば、新 iPad Pro は従来のARアプリを使うときでも、素早い開始や高い精度といった恩恵を受けられるとのこと。オブジェクトオクルージョンなど新しい機能は、アプリ側で新しい ARKit 機能に対応する必要があります。


アップルは近い将来、スマホの次に来るものとして、メガネ型のARデバイスを発売するのではとのうわさが続いています。新 iPad に広角カメラと LiDARを載せてきたのは、うわさのARメガネ発売に向けて、開発者に新しい ARKitを使いこなしてもらい、ARアプリを拡充しておく必要がいよいよ迫ってきたことを示すのかもしれません。


Google検索の動物3D表示が「物に隠れるAR」対応。ARCoreの奥行き認識でもっとリアルに


 
 

4眼仕様のAI活用カメラでさらに美麗な写りになった「HUAWEI P40 Pro 5G」

Sponsored by ファーウェイ ジャパン

 

TechCrunch 注目記事「新型コロナのソーシャルディスタンス(社会的距離戦略)を強力に支援するビデオチャットアプリ8選

新型コロナウイルス 関連アップデート[TechCrunch]
関連キーワード: apple, ipad, iPad pro, IpadPro, LIDAR
0シェア
FacebookTwitter

Sponsored Contents