ドコモ5Gを探しもとめて、ポケモンGOのようにさまよった1日

エリア展開の難しさは実感できました

石井徹(TORU ISHII)
石井徹(TORU ISHII), @ishiit_aroka
2020年03月20日, 午前 07:15 in 5G
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5Gレポート
いよいよ3月から次世代のモバイル通信「5G」がスタートします。「日本は1年遅れ」など散々言われていますが、日本での立ち上げから1年はスロースタートになりそうです。

なぜなら、5Gで使う周波数帯はこれまでの4G LTEより扱いが難しいから。特に超高速通信実現の要となる「ミリ波帯」の利用開始は、ドコモでは3か月遅れの2020年6月以降に開始、ソフトバンクは2021年度からと5Gの開始よりもさらに後になります。

それでは、3月からスタートする「サブ6」でのエリア展開は順調なのか。ドコモやソフトバンクの状況を見るに、そうとも言いがたい印象です。

ドコモの5Gサービス開始前に5Gスマホ「arrows 5G」を借りることができたので、実地で5Gの電波を浴びに......確かめるために「5Gが使えるスポット」に出向いてみました。

■5Gは「ポケモンGO」

「5GはポケモンGOのようだ」とは、通信業界に詳しい経営コンサルタントのクロサカタツヤ氏の表現です。筆者は「モバイルフォーラム2020」のオンライン配信でこの言葉を聞き、言い得て妙だと得心しました。

この言葉は、クロサカ氏が韓国で5Gサービスがスタートした当初の体験を語ったものです。街中で電波を探して歩き回ってもなかなか5Gを掴まず困っていたところ、人だかりができている場所を発見。そこに行くと世界中から5Gの電波を体験しにきた人達が集合していた......。この経験をクロサカ氏はリアル空間と連動するスマホゲームに例えて話しました。

▲ポケモンGOのイベント風景(撮影:砂流恵介氏)

この「ポケモンGO状態」は日本の5Gサービスでも当てはまりそうです。ドコモが3月の5Gサービス開始当初の基地局が展開するのは、150施設500局とかなり限られています。

その一部の場所は「5Gが使えるスポット」として、ドコモのWebサイト上で公開されていますが、このリストを見ると東京では駅はなく、東京スカイツリーの商業施設や羽田空港、一部のドコモショップなどが並んでいます。しかもかなり具体的な場所の指定付きで。

▲ドコモ公開の「5G通信可能施設・スポット一覧(3月18日更新)」より駅・空港と商業施設の部分を抜粋

■スカイツリーに行ってみる

5Gの動向を取材しつづけてきた筆者にとって、ドコモの5Gにゆかりのある場所としてまず思い浮かんだのは東京スカイツリーでした。ドコモはここに、「PLAY 5G」という体験スポットを構えて、5Gをアピールしています。そこでまずはスカイツリーに向かってみました。

なお、ここからのレポートは3月25日の商用サービス開始前の状況です。スマホも今夏発売のarrows 5Gで検証しています。ネットワーク側、デバイス側どちらも調整が完了していない状態での検証ということは前置きしておきます。

ドコモの「5Gスポットリスト」によると、東京スカイツリーではスカイアリーナ周辺、ソラマチひろば周辺、PLAY5Gの3か所で5Gサービスを提供するとのこと(3月末時点)。まずはスカイツリーのふもと、スカイアリーナで5Gをつかめるか試してみました。

5Gレポート

平日の昼間の人が少ない中で、スマホ片手に広場をうろつくことおよそ5分。ピクトがはじめて「5G」を示しました。ただし、最初の数回はピクトを眺めていた数十秒の間に「4G+」のピクトに変化。スピードテストアプリを動かす暇もありませんでした。

引き続きしばらくうろうろしていたところ、広場の中心部に安定して繋がる地点を発見。スピードテストをすると、下り220Mbps、上り15Mbps前後のスピードでした。

3月から開始の「サブ6」周波数帯の5Gでは理論値で下り最大3.4Gbps/上り182Mbpsというスペックですから、上りはともかく下りは物足りない印象を受けます。それも2mくらい動くとすぐ4Gに落ちてしまう状況です。正式サービス開始前とはいえ、「これを全国展開するのは大変そうだ」という印象を抱かざるを得ません。

■下り725Mbpsを記録したPLAY 5G

東京スカイツリーのイーストヤード5階にあるドコモの5G体験施設「PLAY 5G」。現在はコロナウイルスの世界的な流行を受けて、現在は展示に入れないようになっています。ただし、その目の前までは入れるようになっているため、今回は展示の前で試してみることにしました。

ドコモ 5G

ここでは、5Gらしい高速な通信を体験できました。おそらく電波を飛ばしているであろう基地局が数m先にある位置で、何度かスピードテストしてみたところ、実測で下り725Mbpsという高速を記録。4回の平均でも下り621Mbps、上り29Mbpsと安定していました。YouTubeでHD動画を再生しても、2〜3秒で高画質な表示になり、安定しています。

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5Gレポート▲画像左の電波測定アプリ(NetMonitor Pro)は4G LTEまでしか対応していません。5G接続時は「アンカーバンド」を表示しているものと思われます

■羽田空港はチェックインカウンター前がスポット化

屋外、屋内と試してみたところで、今度はその中間のような場所に行ってみようと、羽田空港に向かいました。ここでは各ターミナルのチェックインカウンター付近がエリア化されてます。

第2ターミナルのチェックインカウンター前でうろうろしていると、掴みました。5G。チェックインカウンターの反対側から、ホールの中心に向けて電波を飛ばしているようで、チェックインカウンターに背を向けて立つと速度が向上したのが印象的でした。

5Gレポート

同じように第1ターミナルに移動して同じように試して見るみたとき、気付いたことがありました。5Gのピクトを掴んで最初のスピードテストは下り100Mbpsとあまり振るわない速度になりがちで、同じ場所で何回か5Gのスピードテストをしていると、速度が向上していく傾向にあります。5Gで使うような高い周波数帯は、スマホの移動にあわせて電波を当てるビームフォーミング技術の効果が出やすいのかもしれません。

■安定の4G LTEエリアに加わるスパイス「5Gスポット」

なかなか変わらないピクトを眺めながらうろうろ歩き回る筆者は、はたから見たら不審者でしょう。正式サービスが開始されたら、5Gがつながる場所にはガジェット好きがむらがる光景が容易に脳裏に浮かびました。改めて、「5GはポケモンGO」とは言い得て妙ですね。

サービス開始前かつ、発売時期が数か月先の開発機を試験機にしているという状況ではあるものの、実際、数メートル動くと4Gに落ちてしまう状況を目にすると、5Gのエリア展開の難しさを懸念せざるを得ません。サブ6帯でこの状況なら、おそらくミリ波帯の展開はよりいっそうシビアになるのでしょう。



一方で検証を通して、実際に5Gにつながらなくても、5Gスマホはすこぶる快適だとも感じています。なぜなら、「最新の5Gスマホは最高の4G LTEスマホ」だからです。ドコモの5G対応モデルは、4G LTEでも下り最大1.7Mbpsで接続可能です。

スマートフォンとともに成長した4G LTEの初期と比べて、5Gの草創期は状況が異なります。すでに成熟したスマホ技術と、安定した4G LTEネットワークが構築されたアドバンテージの上で、初期の5Gがスポット的に展開されることになります。

5Gが「スポット」ではなく「エリア」として広がりを見せていくには、今後1〜2年はかかることでしょう。4G LTEベースの5Gネットワーク(NSA)ではない、完全な5Gベースのネットワーク(SA)が展開されるのはそれ以降になるはずです。5Gスマホに買い替えるのは、そこまで待っても遅くはないかもしれません。

ただし、5G初期のスマホに買い替えても不満を感じることは少ないはずです。ドコモの4G LTEネットワークでは、混雑時でも下り30Mbps前後、空いている時には100Mbpsは観測できます。現代のスマホの利用シーンにおいて、この速度で支障がでる使い方は多くはなさそうです。

「5Gの未来」として語られる自動運転やらロボットやらが実現するのはもっと先、それこそ5〜10年以上先と考える必要があります。それでも、失望する必要はありません。現代の4G LTEネットワークの中で、じょじょに広がる5Gスポットは、料理を引き立たせるスパイスのように、快適なスマホライフを支えていくことでしょう。
 
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