4G周波数の5G転用は「有利誤認」を招く恐れ──ドコモが慎重姿勢

「通信速度は大きく変わりません」

小口貴宏(Takahiro Koguchi)
小口貴宏(Takahiro Koguchi), @TKoguchi787
2020年03月27日, 午後 05:20 in mobile
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NTTドコモは、4G周波数を転用した5Gエリアの拡大について、消費者の有利誤認を招く可能性があるとして、早期の実施には慎重な姿勢を示しました。

この方針をざっくり噛み砕くと『4Gの周波数を使って5Gエリアを広げても、アンテナピクトが5Gになるだけで、実際の通信速度は4Gと大きく変わりませんよね』ということ。

というのも、国が携帯キャリアに割り当てている5G向けの周波数は、広大な帯域幅を確保でき、通信を大容量化できる反面、遠くに飛びにくく、エリアを広げにくい欠点があります。

そんな5Gのエリアを一気に広げる秘策が、4G周波数の5G転用です。

例えば、現在4Gで用いている800MHz帯のプラチナバンドを5Gに転用すれば、5Gエリアを一気に広げられます。また、4Gサービスを維持しながら、同じ周波数で5Gサービスを同時展開できる「DSS(ダイナミック・スペクトラム・シェアリング)」という技術もあり、これらによって、5Gエリアは意外にもすぐに全国展開できるのです。

一方で落とし穴もあります。それは、4Gの周波数を5Gに転用したところで、通信の空きスペースである帯域が増えるわけではない点です。5Gの利点の1つである「大容量」を実現するには、新規に割り当てられた、遠くに飛ばない周波数でしっかりと基地局を打つ必要があります。

この、4G周波数の5G転用については、ソフトバンクが積極的で、KDDIもある程度は積極的。両社が発売した5Gスマホも、ハードウェア的には転用を想定した設計となっており、総務省からの認可が降りれば、実施を前向きに検討するといいます。

ドコモも転用の必要性は認めるが...

転用についてはNTTドコモも『将来的には、4Gの周波数が必要となるユースケースもあると考えており、今後のサービスの動向やユーザーの利用シーンなどを考慮して、転用の検討を行っていきたいと考えております』とコメントし、必要性は認めています。

しかし、早急な実施には否定的です。ドコモは次のようにコメントしています。

『まず5Gの特長である高速大容量が実現できる3.7GHz帯、4.5GHZ帯、および28GHz帯における基地局展開を、計画通りあるいは、計画以上にしっかり進めることが重要であると考えています』(ドコモ)

『4Gの周波数を用いた5Gの通信速度は4Gと大きく変わらないこともあり、有利誤認が起こらないようユーザー保護の観点に細心の注意を払ってまいります』(ドコモ)

つまり、他キャリアが4G周波数を用いて、5Gエリアを広く見せようという動きに、半ば牽制球を打った格好とも言えます。

そもそも「DSS」などの仕組みは、5G単独でエリアを構築する「スタンドアロン5G」(以後 5G SA)の構築に威力を発揮します。しかし、携帯キャリアから出ている現行の5Gスマホは、モデムの制約上「5G SA」に対応していません。

また、革新的ともてはやされる5Gのメリットを享受するには、前述の通り新たな周波数で基地局をしっかり整備する必要があります。

つまり、早急に周波数を転用しても、ユーザー側のメリットは大きくないということになるようです。

 
 

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