Wi-Fi 6対応のメッシュルーター「LINKSYS Velop MX5300」を試す

「古い機器が無駄にならない」のはメッシュWi-Fiならではの良さ

石井徹(TORU ISHII)
石井徹(TORU ISHII), @ishiit_aroka
2020年04月1日, 午後 06:50 in wifi
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Velop MX5300
次世代のWi-Fi規格「Wi-Fi 6」をサポートするメッシュWi-Fiルーターがついに市場投入されるようになりました。そのうちの1つ、Belkin製の「LINKSYS Velop MX5300」を検証しました。

■Wi-Fi 6とは何者か

Wi-Fi 6について今一度おさらいしておきましょう。Wi-Fi 6は正式な名称をIEEE 802.11axという無線LAN規格です。高速性や低消費電力性能などの新技術を盛り込むとともに、覚えやすい二つ名がつけらられたのも特長です。

Wi-Fi 6の発表にあわせて、世代をさかのぼってIEEE802.11acには「Wi-Fi 5」、さらに前のIEEE 802.11nには「Wi-Fi 4」という別名が付けられました。

Wi-Fi 6

Wi-Fi 6では最高通信速度を数Gbpsクラスに高速化しています。ちょうど10Gbpsサービスが登場しつつある固定回線サービスの進化にあわせて、無線部分のスピードも強化されるかたちです。

さらに、混雑した環境での通信速度低下が抑えられるのも特長です。OFDMA方式という、モバイル通信でも使われている技術が取り入れられています。今までのWi-Fi規格では複数の機器が同時にデータ通信するとき、一定時間ごとに同じ電波帯をシェアして通信していましたが、OFDMA方式ではさらに必要な単位だけ周波数を切り分けて同時に通信できるようになっています。

OFDMAにより、通信量が多くないスマート照明のような機器が多い環境でも安定した通信が可能に。さらに今後はWi-Fi待受時の消費電力を抑えるTarget Wake Time(TWT)という技術も利用できるようになるため、省電力性能もより向上するとされています(TWTは対応機器の登場待ちです)。

Velop AX5300▲LINKSYS VELOP MX5300はWi-Fi 6対応としては早い段階で発売されたメッシュWi-Fiルーターです

こうした機能強化もありつつ、Wi-Fi規格では後方互換性も備えているため、Wi-Fi 6対応のルーターでも以前の規格に対応するスマホやスマート家電、ゲーム機などと接続できます。

Wi-Fi 6対応の機器はまだ多くはありませんが、スマホではiPhone 11シリーズが対応するほか、2020年春に発売される5Gスマホの多くが対応。ノートパソコンでも採用例が増えつつあります。今後数年は使うことを考えると、早めに更新するのもアリでしょう。

■メッシュルーターならではのポイント

筆者は以前、LinksysのWi-Fi 5対応メッシュルーター「VELOP」をレビューしたことがあります。このレビュー時には安定的な通信ができることを確かめたため、アパートに引っ越した際にVELOPを本格的に導入しました。

筆者がVELOPを導入したのは、Wi-Fi 6に対応した新版がでることを見据えてのものでした。メッシュWi-Fiルーターの良いところは、1つのルーターを親機としても子機としても使えること。

つまり、「親機をWi-Fi 6に対応したバージョンに置き換えれば、今まで親機として使っていたルーターはWi-Fiエリアの拡張用として有効活用できる」というわけです。

なお、今回はBelkinより借り受けた製品サンプルを試用して検証しています。

■機器追加の設定は手間少なめ

昨年。掲載したレビューでも述べた通り、LinksysのWi-Fiルーターはアプリによる設定に特化した仕様になっています。スマホを用意してアプリをインストールすれば、あとは画面の指示に従っていくだけで初期設定が完了します。

筆者の場合はすでにLinksysのメッシュWi-Fi環境を構築していたため、アプリから新しい機器の設置を選んで進めました。設置前に使っていた構成は、Wi-Fi 5対応の親機と子機の2つ。

Linksys▲前世代モデル(左/VELOP AC4400)と比べると迫力のある大きさ
Velop AX5300
▲同梱のクイックスタートガイドはアプリに導入方法を説明するのみというイマドキのパッケージ
Wi-Fi
今回は、固定回線につながっている親機の置き換えを選択しました。この場合、新しいネットワークを構築することになり、すべてのルーターの設定が必要となるようです。

ただし、固定回線の設定などは保存されており、新しいネットワークのSSIDやパスワードを変えずに登録すれば、スムーズに置き換えができます。子機の接続も再設定が必要ですが、基本的にはスマホを置いて待っているだけで完了します。

Velop AX5300▲設置したところ。存在感がありますが、ACコンセントプラグの周りは細くなっています
Velop AX5300▲MX5300はWANポートとは別にLANポート4基を装備。有線LAN側も大幅に拡張されています

■Wi-Fi 5の方が高速?

検証の中で、Wi-Fi 6対応のスマホ2台(iPhone 11 ProとAQUOS R5G)と、Wi-Fi 5対応のiPhone 8 Plusで何度か実効速度を計測してみました。

検証としては条件が不十分な面もあるため、参考として記載しますが「最大5.7Gbps」という高速な通信速度を体感することはできませんでした。その一方、興味深い結果となったのが、Wi-Fi 5対応のiPhone 8 Plusの方が総じて高速な記録を残したこと。たとえばiPhone 11 Proが平均100Mbpsを記録する時間帯に、iPhone 8 Plusで測定すると約200Mbpsの速度を記録しました。

もしかしたらWi-Fi 6で接続していた帯域がたまたま混雑していたのかもしれません。また、多数の機器が接続していない環境ではWi-Fi 6の真価を発揮できないのかもしれません。また、そもそも筆者の契約している固定回線が1Gbps契約の「ビッグローブ光」(光コラボモデル)のため、速度向上にも限界があります。このあたりは固定回線側の整備を待ちたいところです。

確実にいえるのは、すでにある環境に新規格のメッシュWi-Fiルーターを増設するのは無駄にならないということ。親機をWi-Fi 6ルーターで置き換えた分、以前の親機は手薄になっていた書斎へ移設して有効活用することができます。機器全体でカバーできる余力が増えたため、混雑しにくくなるでしょう。

Velop AX5300
▲今まで使っていたルーターも無駄にならないのはメッシュWi-Fiのいいところ
Wi-Fi▲アイオーデータのWi-Fi状況確認アプリ「Wi-Fiミレル」で測定した図。手薄だった右下部分(書斎)がカバーされています

現時点では筆者の部屋のWi-Fi環境については、Wi-Fi 5対応の旧製品でも十分に確保できていると考えていますが、今後10Gbpsの固定回線を導入した際には、順次アップデートしていく方針です。MX5300は1台売りで実売5万円前後と安くはないため、より安価になった次世代製品の登場にも期待したいところです。
 
 

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