とはいえ、そんな中でも可能な限り楽しく生活をしよう! ということで、ネットを通じた様々なエンターテイメントが試されています。たとえば参加型のライブ配信アプリ「LIVEPARK」では、新宿で行われる予定だったものの新型コロナウィルスの影響で上演中止となったエンタメ舞台「新宿角座」を無償配信するなど、無観客エンタメの支援を行いました。
その成果として、オンラインで視聴しているひとたちの声を届ける「バーチャルファンスタンプ」というアイデアも急遽追加されています。この仕組みはファンの反応、熱気を現場の演者に低遅延で伝えるというものですが、昨年、大規模なスポーツイベントで活用した仕組みを応用しているとのことで、多くのユーザーが同時にアクセスしても成立するスケーラビリティがあるそうです。
......と、今回のメインテーマであるZoomとはまったく関係ないところから始まりましたが、こうした大規模なオンラインエンタメの仕組みが提案され、グローバルでオンライン映像配信サービスの需要が急増している一方、もっと手軽な"庶民的エンタメ"の場も求められていることでしょう。
一説にはモバイルゲームの収益が急増しているなんて噂もありますが、一部で流行り始めているのが「Zoom飲み」。Zoomはオンライン会議やオンラインセミナー、講演会などに使われる電子会議システムの一種ですが、こいつで「かんぱーい!」とやる人が増えているというのです。そんなわけで早速、オンライン飲み会に参加してきました。
結論から書いておきましょう。これがなかなかに盛り上がります。安上がりなうえ、気軽に追加で人も呼べます。距離に関係なく気軽にワイワイと楽しくやれるZoom飲み。こいつはおすすめですよ。
用意するのはスマホと仲間だけ
Zoomは企業も導入する本格的な会議システムですが、個人で扱う場合も極めてイージー。とりわけ参加するだけであれば、ホスト(いわゆる会議主)になっている友人から送られてきたURLをクリックし、必要なアプリ(iOS、Android、Windows、MacOSに対応)をダウンロードして起動するだけです。面倒な設定はほとんどありません。ホストになる場合はログインが必要になりますが、とりあえず始めるだけならばZoomのIDを取得する必要はなく、GoogleやFacebookのIDを用いたソーシャルログインもできます。さらには個人レベルで使うだけならば、無料版でも大丈夫。飲み会だけならば無料版で十分です(1対1の接続なら時間無制限、複数参加の場合は40分の制限つき)。とりあえず使ってみれば使い方はわかるレベルでしょう。
自分でホストしたい場合は、新規ミーティングを作成し、ツールバーから「招待」を選択。「招待のコピー」とすると、招待用のURLとメッセージがクリップボードにコピーされるので、それをSNSなりメールなりで友人に送るだけでOKです。
さて今回、Zoom飲みをホストしてくれたのは、プロデューサーやコンサルタントとして活躍しているサトウリッチマンさん。AppleCLIPというPodcast番組にたまに出演させていただいているのですが、Zoomを通じたPodcast収録(通常はTBSラジオのスタジオなのですがコロナの影響にてリモート収録)を行うということで、じゃぁ飲み会を! となったのでした。(収録時の画面もご紹介しますが、本サイトでもお馴染み"ゆづちゃん"こと弓月ひろみさんと3人での様子)
ちなみに参加者は「本田さん以外は、モデルさんとコンピュータビジョンのエンジニアだよ」とだけしか知らされていませんでした。
距離を超えて盛り上がる宴
コンピュータビジョンのエンジニアさんは本州以外からのご参加。リッチマンさんとは同郷とのことですが、派手な応用分野かと思いきや。野菜の検品、仕分けなどに取り組んでいるのだとか。モデルのTAKAEさんは、腸内環境を整えて美しく健康に! という活動をピラティスや食事法などから提案しているとか。こちらは都内某所からの参加です。
まったく縁のなかったお二人かつ、サトウリッチマンさんは熱海在住なので、ほんとバラバラの、なかなか一緒には集まることができない宴でございます。
Zoomのいいところは、品質の高い回線さえ用意しておけば、実に自然に"全員同時に喋っていても"それなりに会話が成立すること。回線状況次第ではあるけれど、家飲みで固定回線ならば、ほぼ問題なくワイワイやれます。
背景を入れ替えられる点もすばらしい。桜の写真で花見気分も良し、酒場の写真で気分よく飲むのも良し、自宅を片付けてないって人でも気兼ねなく参加できますよ。それにこの背景、実は動画を割り当てることもできるんです。
さらに会議システムですから、別途チャットウィンドウを開いたり、アプリの画面共有をしたりしながら話題に深みを持たせることもできます。
実際の飲み会では「今日見たネットでの話題さぁ」とか「インスタで上がってたあの写真なんだけど〜」と話を振るときも、小さなスマホの画面を見せあうことになってしまいますが、URLでアクセスできる情報ならチャットに書き込めばいいだけ。さらに、もっと盛り上げたい場合には画面共有が有効です。
盛り上げに積極的に使いたい画面共有
たとえば「CESに出展していたデルタ航空の技術なんだけどね」と、Macの「写真」を共有して写真やビデオを見せてみたり、スマホからの参加なら「このアプリ結構いいのよ」とアプリ画面を共有してひと通り使ってみせたり。もっとシンプルにWebブラウザの画面を共有して、そこに話題ネタのページを出すだけでも話題転換のきっかけになります。ちなみに共有画面上にポインターを出して「ここ! ここ!」とやったり、テキストを重ねて解説を加えたり、あるいはマウスやペン、あるいはタッチパネルで落書きができたりもしちゃいます。
「あ、そうだ。イラスト描きが趣味な友達を呼んで、順番に部分部分を描いていく落書き大会なんてのも面白いかも?」 と、そんな風に思い立ったら、すぐに招待メールを送信! で飲みに参加してもらうこともできるわけです。今回は僕の思いつきでジャック・スパ......いやいや、ジャック・マジシャンさんに「キャプテン、トルトゥーガは最近、LTE圏内なのかな? よかったら来る?」と誘ってみました。
ノリ次第でパーティ拡張が簡単かつ楽しい
意外にも手品が得意なキャプテンは、元電機メーカー勤務で意外にもデジタル製品に明るいご様子。こうして無作為に飲み会の輪が広がりやすいのもZoom飲みのいいところですね。紅一点のTAKAEさんに「大腸より小腸。小腸を健康にすると痩せやすいし、お肌もきれいになるのよ!」との教えを伺っている頃には、すっかり酔いも回ってきました。普段は縁のないモデルさんと飲めるなんて、サトウリッチマンさんありがとうですよ。
さて、2時間の予定が3時間も話し込んでいた我々。ところが、かかったコストは安ものロゼワイン580円と発泡酒1本150円程度。あとは適当に冷蔵庫からつまみを持ってきたぐらいですから、1000円とかかっていません。
最後は、思い思いの背景を写して記念撮影。ちなみにホスト役の人は任意のタイミングで画面や音声を録画しておくこともできます。
ホスト側の機能を強化する有料版も月々2000円から。参加者側は常に無料です。今年53歳を数えるオジさんのワタクシは、90年代に流行した「CU-SeeMe」を思い出して懐かしさに浸ってますが、飲み会禁止と言われてる昨今、皆さんもお手軽オンライン飲みを試してみては?
ところで、とっても訳わからない状況が起きるので特に女子にはお勧めしませんが、Zoomの招待URLをTwitterなどに流すと、常に野良Zoomを探している輩がいるらしく、あっという間に世界中から接続されてしまいます。「Fワード」を連発したり、「エロムービーの共有」を始めたり、中には「コロナ、コロナ」と言いながらキスするカップルもいたりでカオス。
Twitterで見知らぬ人と飲みたいなぁと思っただけなんだけど、なんとも世知辛い世の中です。良い子は決して真似しないでくださいね。