なぜ今「スマホで8K撮影」なのか:AQUOS R5G 開発者インタビュー(前編)

そのまま見るだけではない新たな楽しみ方の提案

石井徹(TORU ISHII)
石井徹(TORU ISHII), @ishiit_aroka
2020年04月11日, 午前 08:00 in smartphone
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AQUOS R5G
シャープ初の5Gスマホ「AQUOS R5G」の開発者インタビュー。前編では注目機能の「8K動画撮影」にフォーカスします。

この春、3キャリアの5Gサービス開始にあわせて発売となったAQUOS R5G。他のメーカーのスマホも軒並み打ち出しているように、カメラとディスプレイが強みとなっています。

AQUOS R5G▲AQUOS R5G。NTTドコモ、au、ソフトバンクの5Gサービス開始にあわせて3月末に発売されました


とくにカメラはAQUOSスマホとして初の8K動画撮影に対応。4Kの4倍、フルHDの16倍という高解像度での動画撮影をサポートします。

この春、8K撮影に対応するスマホを投入したのはシャープだけではありません。ライバルサムスンの「Galaxy S20シリーズ」やシャオミ「Mi 10」も8K動画を撮れることを売りとしています。

一方でAQUOS R5Gの画面解像度はQuad HD+(3168×1440ドット)と4Kにも及ばず、8Kテレビで再生するにはUSBメモリで動画を転送する必要があるなど、手間もかかります。YouTubeなどに8K解像度でアップすることはできますが、高速な5G通信は現状ではエリアがほとんど存在しません。

そんな8K動画をなぜ、このタイミングで投入したのかを開発陣に率直に聞いてみました。

AQUOS R5Gインタビュー▲なお、このインタビューは2月中旬に実施。新型コロナウイルス感染症の流行をうけて、東京とシャープの広島事業所をビデオ会議でつないで行っています

■一足飛びの進化で「R5G」に

AQUOS Rシリーズは2017年に登場したシャープのフラッグシップスマホ。今年のモデルで4世代目にあたります。これまでAQUOS R、AQUOS R2、AQUOS R3と代を重ねてきたため、今年は「AQUOS R4」になるものかと思われましたが、新しい通信規格に由来して「AQUOS R5G」と名付けられました。

「5Gがスタートするタイミングに、『4』を1段飛びで超えた新しい価値を提供したいという想いで商品を開発した」とAQUOS Rシリーズの商品企画チーフを務める楠田晃嗣氏は語ります。

AQUOS R5Gは現世代では最上位のもので、チップセットはSnapdragon 865を搭載。メモリも12GBとふんだんに搭載します。そのAQUOS R5Gの高い処理性能を、カメラで生かしたのが「8K動画撮影」。今後はテレビの新製品も多く登場し、身近になってくる8Kの世界の中で、スマホはいち早く手に入る撮影機器という立場を受け持ちます。

AQUOS R5Gインタビュー▲AQUOS R5Gの開発陣。左上から、関文隆氏(ディスプレイ技術担当)、中川伸久氏(AI機能企画担当)、田邊弘樹氏(機構設計担当)、田中陽平氏(商品企画担当)、小野直樹氏(カメラ機能企画担当)

■8K映像をスマホで手軽に撮影

シャープは「8K」をテレビのAQUOSシリーズやプロ向け動画カメラなどで展開していますが、AQUOS R5Gは、シャープのスマホとしても初めて8K撮影に対応する製品となります。

シャープ 8K

AQUOS R5Gでカメラの商品企画を担当した小野直樹氏は「一番最初の5Gスマートフォンに8K撮影機能を搭載することで、『8K=シャープ』というイメージを打ち出したかった。初めにやることで、市場からの8Kに対しての要望も上がってくると思うので、より使いやすい8Kのシステムを生かしていくことができる」と語ります。

AQUOS R5Gの8K撮影機能は手軽に残せるようにシンプルな設計となっています。使い方はカメラアプリから「8Kビデオモード」を選び、動画ボタンを押すだけ。シンプルに8K映像を撮影可能です。

■"今"から8Kを楽しめる「フォーカス再生」

ただし、前述した通り、8K映像を「8K解像度の画面で」再生するには手間がかかります。そこでシャープが用意したのが「フォーカス再生」。AQUOSスマホでこれまでも搭載していたAIによる被写体認識の技術を生かして、「8K映像の中から、選んだ人だけにズームする」という機能です。

AQUOS R5G▲8K映像を人にフォーカスして再生する「フォーカス再生」機能

ズーム再生すると表示解像度が落ちることになりますが、元の動画が8Kなら切り出しても画質は保てます。そしてフォーカス再生では、人の動きにあわせてズームをかけたり、広角に戻したりとテレビで編集された映像のようにズームを切り替えるようになっています。

また、複数の人が写る映像では、その中から1人を選んで再生可能。さらに人以外にもイヌ、ネコの動きも追って再生できます。

この「フォーカス再生」でシャープが意識したのは、「動画のズームは難しい」というユーザーの悩みに答えることでした。一般に動画撮影時には、その瞬間の光景を自分の目ではなく画面越しに見ることになります。たとえば子どもの学芸会を撮ろうとしたとき、記録に残そうと思うあまり画面の操作ばかり意識してしまったというたぐいの失敗は、動画を撮ろうとする人なら誰でも経験することでしょう。

AQUOS R5G
AQUOS R5Gインタビュー

8K映像は容量が大きくなるため、SNSで"シェア"することは現代のSNSや通信回線の状況からは実用的とは言えませんが、シャープでは「フォーカス再生」でそれを補う計画を持っています。今後のアップデートによって、フォーカス再生の動画をフルHD解像度で保存する機能が実装される予定です。なお、ライバルGalaxy S20シリーズが実装したような8K動画をより低い解像度で保存する機能はインタビュー時点では検討していないとのことです。

AQUOS R5Gインタビュー

■8K動画カメラのためにレンズを設計

シャープはこれまで、スマホAQUOSの開発を通して、カメラ関連の技術を磨いてきました。AQUOS R5Gでもそれが生かされ、独自に設計した8K撮影特化の光学レンズユニットを投入しています。これは8Kの動画撮影に特化したもので、画角19mmの超広角仕様でありつつ、映像の端まで解像感を落とさないような設計となっています。

AQUOS R5G

■8Kセンサーは「明るい4Kセンサー」として使える

高解像度な8K映像カメラを搭載したメリットは、8K撮影時以外でも発揮されます。シャープでは8Kセンサーの4つの画素を「1つの大きな画素」として扱うことで、光を取り込める量を増やす技術をAQUOS R5Gで投入しています。つまり、より暗いシーンでも「明るい4K動画」の撮影が可能になったということです。

AQUOS R5G

AQUOS R5Gの8Kカメラは暗所にはあまり強くなく、主に自然光の下で撮影したときに良く写るような設計になっています。屋内で撮るときには、4K撮影の方が実用的と言えそうです。

ちなみにこうした技術はGalaxyスマートフォンのようなライバルも投入しており、スマホカメラではトレンドの1つとなっています。

小野氏(カメラ商品企画担当)「8Kならではの価値を取り入れなければ、技術誇示で終わってしまいます。スマホならではの動画の楽しみ方を研究したところ、ズームで楽しむのにも8Kの高解像度が生かせるのではないかという発想に至りました」

■8K映像をシェアするツールも検討中

まず8Kテレビなどを用意して、映像をなんらかのかたちで転送しなくてはなりません。USBメモリなどを介してテレビAQUOSへ8K映像を転送する機能が用意していますが、やはりフルHDの動画と比べて扱いには難があります。

この点では「8K映像を手軽にシェアできる、使い勝手の良いワイヤレス転送ツールの開発を検討している」としています。

8K映像はこのスマホの発売時点ではSNSなどでシェアする環境は整っているとは言いがたいものの、近い将来には8Kの再生環境も整うでしょう。

一方で、"今"の映像はそのときにしか撮ることができません。たとえば子どもの成長のように、その時しか撮れない記録を高解像度で残しておくと、将来価値が出てくるかもしれません。

クアッドカメラやディスプレイ、さらには熱設計など、「8K」以外のAQUOS R5Gならではの特長は、後日公開の続編にて詳しく紹介します。
 
 

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