Nando Harmsen、TU / e

オランダ・アイントホーフェン工科大学(TU/e)の研究者が、光を放出するシリコン合金の開発に成功したと発表しました。

おなじ半導体でも窒化ガリウムなどがLED材料として実用化されているのとは対照的に、シリコンを発光させる技術の開発は非常に困難とされてきました。しかしそれが実現すれば、これまで電子の流れでデータを伝送していた回路が光子による伝送に代わり、発熱やエネルギー消費が非常に少なく高速な伝送が可能になります。TU/eの説明では、オンチップおよびチップ間通信の速度を1000倍に高速化できると説明されています。電子回路では電子が導体内を通過するとき、その抵抗によって熱が発生します。しかし、光子の場合は抵抗を受けることなく質量もないため、通過する材料で熱ロスが発生せず、また電気通信に比べて高速化も可能だと考えられます。ただ、シリコンを発光可能にすることは非常に難しく、科学者たちにとって長年の研究課題とされていました。

TU/eの研究者が最初に六方晶構造のシリコン-ゲルマニウム合金が持つバンドギャップ構造から光を放出する可能性があると考えたのはおよそ50年前のことです。ただ、シリコンを含む六方晶構造の成形は容易ではなく、ナノテクノロジーを応用してそれを実現できたのは2015年のことでした。

ただ、2015年当時ではそれを発光させるには至らず、研究者らは六角形のシリコン-ゲルマニウム合金の不純物と結晶欠陥を取り除き、品質を向上させることに注力してきたとのこと。その結果として得られたシリコン-ゲルマニウムナノワイヤーは、外部レーザーによって励起され光を透過させることができました。

研究者は、すでに半導体レーザーに使われるリン化インジウムやガリウムヒ素などに匹敵する光学特性を実現できていると述べ、2020年内にもシリコンベースのレーザー光源が実現できるとしています。

さらにチームは次の段階でこの六方晶シリコン-ゲルマニウムを立方晶を使う現在のマイクロエレクトロニクスに統合する方法を調査しています。発光シリコンベースの技術が実用化段階にまで至れば、光通信やコンピューティング、太陽エネルギー関連のデバイスの高性能化に役立つことが予想されています。