「SE」は何の略? 第2世代iPhone SEが担う役割と2020年のiPhoneエコシステムとは(松村太郎)

「SE」に隠された意味を推測していきます

松村太郎(Taro Matsumura)
松村太郎(Taro Matsumura)
2020年04月16日, 午前 11:30 in iphone
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iphone seAppleは日本時間4月16日午前0時に、最も安い価格に設定したiPhone SEの第2世代を発表。米国では64GBモデルで399ドル。初代iPhone SEから価格を据え置き、ストレージを倍にしています。日本では64GBモデルで4万4800円(税別)から、128GBモデルでも5万円(税別)を切る価格が設定されました。今までのiPhoneと比べても、安くなりました。

iPhone SEという名前を引き継いだのは、2016年の初代iPhone SEが3年にもわたるロングセラーになったこと、そして今回の第2世代iPhone SEも、初代と全く同じ方法論で製品開発が行われていたことに由来します。コンセプトも、高いパフォーマンス、小さいこと、価格が安いことで共通しています。

今回は特段「SE」の意味について言及はなされていません。前回はSpecial Editionという指摘もありましたが、今回、「SE」が持つ意味合いから、このスマートフォンに与えられたミッションを探っていきましょう。

「Standard Edition」なら、競合には厳しい

iphone se

確かに前作から4年が経過していますが、同じ値段でも性能面での飛躍は著しいものと言えます。

まずA13 Bionicプロセッサは初代と比べ、パフォーマンスが2.4倍、グラフィックス性能が4倍に。さらにニューラルエンジン8コアも内包されており、機械学習アプリのパフォーマンスが高まりました。ストレージも2倍です。

そしてApple Payに対応し、日本ではSuica、iD、QUICPayが利用できます。ワイヤレス充電、ギガビットLTE、eSIM、感触タッチ、前後カメラのポートレート撮影、Smart HDR、映画品質の手ぶれ補正など、iPhone 11世代のほとんどの体験をiPhone 8と同じ4.7インチボディで実現しているのです。

つまり、2019年モデルの最新iPhoneで実現している機能の多くを、価格が安いモデルで実現しており、iPhone SEでできることが、現在のiPhoneの本当の「スタンダード」な体験と位置づけられます。iPhone SEがスタンダードとなると、価格帯で競合するミドルレンジのAndroidスマートフォンにとってはなかなか厳しいかもしれません。

ディスプレイの質、カメラの性能、iOSのでき、アプリのラインアップなど、そもそも高いポテンシャルを持つiPhoneのほぼ最新モデルが、同じ価格で店頭に並ぶからです。

今まで薄利多売だったミドルレンジ以下のAndroidスマートフォンにとって、ブランド力がある最新に近いiPhoneが競合となっては、ほぼそのビジネスの死を意味すると言っても良さそうなほど、脅威になっていくと考えられます。あるいは、現在85:15よりも更に押し込んでいるAndroidとiOSのシェアにも、変化を及ぼす可能性は否定できません。

「Subscription Expander」なら2020年らしい戦略

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Appleはちょうど初代iPhone SEを登場させた2016年を基準にサービス部門の売上を2020年までに2倍に拡大させるという数値目標を持って動いています。

新型コロナウイルスの影響は製造が関わるサービス以外の部門に大きな影響を及ぼしていますが、一方でApp Storeのダウンロードによる売上は成長しているとの見方もあります。詳しくは4月30日の決算を待つ必要があるでしょう。

Appleはサービス部門の潜在ユーザーである「アクティブユーザーベース」を発表するようになり、全体で15億、iPhoneで間もなく10億に差し掛かろうとしています。これに対して、Appleを通じたなんらかのサブスクリプションサービスを利用している数は5億。つまり、全体の1/3、iPhoneのユーザーベースの1/2は、毎月Appleに何か支払ってサービスを利用していることになります。

iPhoneユーザーベースの増加は、サービス部門の売上に連動しますから、iPhone SEの役割は明確です。新規ユーザーを獲得し、購読者数を増やせ、ということに尽きます。

価格が安く最新のプロセッサを搭載するiPhone SEであっても、iPhone 11 Proであっても、ユーザーベースの増加数は同じ。であれば、売りやすいiPhone SEの方がこの数字を最大化できます。特に、新型コロナウイルスの問題長期化で、人々の購買力が落ちることは明白です。しかし既に生活に浸透しているスマートフォンでのデジタル消費は、Appleにとっての活路と言えます。その活路を整備する役割がiPhone SEにある、と見ることができるでしょう。

相対的には「Smaller Edition」

iPhone SEは初代で4インチ、2代目は4.7インチと、iPhoneに限らず、多くのスマートフォンでも、ディスプレイサイズが拡大しています。そこで浮かぶのはより小さなモデルを意味するSmaller Edition。

2016年当時、すでに4.7インチ・5.5インチへとiPhoneは拡大しており、4インチは最も小さいモデルでした。そして2020年は、最新のiPhoneが5.8インチ、6.1インチ、6.5インチへと拡大していますので、確かにこれらと比べれば4.7インチは小さいモデル。オリジナルの4インチサイズを期待していた方には残念かもしれませんが、4.7インチもすでに相対的に小さなサイズということになります。

iphone se

以上のように、「SE」が意味するところは様々考えることができます。その一方で、やはりSpecial Editionという初代のテーマの再来でも良い、と思える側面もあるのです。

iPhone SEにはシングルカメラが背面、そして前面についています。これはiPhone 8までと同じでした。しかし搭載されるA13 Bionicのパワーによって、写真を撮影するときにコンピュータのアシストを受けるのですが、A13 Bionicによってその画像解析と写真を瞬時に最適化する能力が格段に上がりました。

AppleはiPhone SEのハードウェアでも、A13 Bionicチップを駆使する絵作りを追究し、シングルカメラ向けの新しいカメラシステムを専用設計しました。もちろん物理的に複数のカメラが必要な機能、例えば超広角や望遠、ナイトモードなどには非対応ですが、ポートレートへの対応やSmart HDRをサポートするなど、1つのカメラでできる写真の限界に取り組んでいるのです。

シリコンチップとソフトウェアの組み合わせという非常にモダンなアプローチで再設計しているiPhone SEは、やはり特別な存在、と見ることもできるのではないでしょうか。



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