さてこの新iPhone SEですが、実にバカ売れしそうなモデルですね。Engadgetを好んで読みに来るような読者の皆様は、かなりこだわりを持ってスマートフォン選びをすると思うので、今回の新iPhone SEは期待外れかもしれません。ですが、世の中は飲み屋でメニューも見ずに「とりあえずビール」とオーダーするように、「とりあえずiPhone」という人が大多数です。
実際、新iPhone SEのベースモデルとなっているiPhone 8は、昨年12月にBCNランキングが発表した調査結果で、日本で最も売れたiPhoneシリーズとなっています。
iPhone 8の登場はiPhone Xシリーズと同じ2017年。その後iPhone XSシリーズ/XR、iPhone 11シリーズと2度モデルチェンジをしていますが、販売台数としてはiPhone XRが8位と大きく差が付いています。カメラが増えようが、ノッチまでつけて画面占有率をあげようが、結局のところ「安いのでいいからiPhoneちょうだい」という客が多いわけです。
▲A13 Bionicを搭載してこの価格なら、ほかのモデルももうちょっと安くできるのでは......と思わなくもない
というわけで、「とりあえずiPhone」層に向けて作られた新iPhone SEですが、実に良くできてますね。プロセッサーはiPhone 11 Proと同じA13 Bionicで第3世代のNeural Engineも搭載しています。指紋でロック解除できるTouch IDもついてます。それでいて価格は4万4800円からと、iPhoneの新モデルとしては破格の低価格。iPhone 8の販売台数から考えると、売れそうですよね。
▲Touch IDはスマートフォンでの決済時にスムーズなので、筆者も好きです
ちなみにBCNランキングの調査結果では、販売台数1位こそiPhone 8ですが、実は2位はiPhone 6です。iPhone 6とiPhone 8は見た目のデザインはあまり変わっていませんので、新iPhone SEはiPhone 8と見た目はまったく同じというのは、「とりあえずiPhone層」にはネガティブなポイントにはならなそうです。
個人的には見た目のデザインが変わらないのって、新しいデバイスを買った気がしないんで購買欲が満たされず好きじゃないんですが。加えて上下に幅のあるベゼルは、今のスマートフォンのデザイン文法からするとダサいです。
それとカラーバリエーションは(PRODUCT) RED、ホワイト、ブラックの3色ですが、ベゼルの色はブラックで統一されています。
価格を抑えるには極力同じ部材を使うのが鉄則ですから仕方がないのかもしれませんが、「ホワイトモデルはベゼルもホワイト」といったあたりがApple的なこだわりであり、デザインの良さだと思っていたので、この点ではなりふり構わず安いモデルを作ったんだなという印象です。
またチラ裏とかSNSで言われそうな内容になってきましたが、eSIM機能も搭載してますしWi-Fi 6にも対応してます。プロセッサーも最新モデルということで、コレを買っておけば3~4年は十分使えそう。
そう考えるとコスパとしては最強モデル。スマートフォンにこだわりがなく「とりあえずiPhone」と考えているなら、「新iPhone SE買っておけ」とイチオシできるモデルです。
▲個人的には64GBモデルをラインアップに入れるのはやめて欲しかった
ただし老婆心ながら忠告しておきますと、「64GBモデル」だけはやめておきましょう。
だいたい安いiPhoneを買う人って、iCloudにもお金払わないんですよね。それで「iPhoneのメモリーがいっぱいだしiCloudにもバックアップできない」という相談を受けます。「メモリーじゃなくてストレージな」という言葉はぐっと我慢して、「パソコンにつないで写真とか移動させれば?」とアドバイスすると、「パソコンは古くて動作が重いから使いたくない」とか言われます。
もうホントお願いだから最初からストレージ容量の大きいモデル買ってください。今回の新iPhone SEも64GBモデルが4万4800円で128GBが4万9800円と価格差は小さいです。「新iPhone SEを買うなら128GBモデル」というのを声高に主張したところで、この記事の終わりといたします。
それ、もっと声高に言ってあげて(エントリーモデル使う層ほど容量必要説) https://t.co/8uhQrVvkJp
— ACCN_Engadget 日本版 (@ACCN) April 15, 2020