スマホやPCで新型コロナウイルスの研究に貢献する方法を探してみた(佐野正弘)

手元にあるコンピューターパワーで研究に協力できるかもしれません

佐野正弘(Masahiro Sano)
佐野正弘(Masahiro Sano)
2020年04月17日, 午前 10:00 in 5g
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eg20200411 Masahiro Sano

新型コロナウイルス感染症拡大を防止する措置として、政府が緊急事態宣言を発令し、不要不急の外出自粛が求められていることから、東京在住の筆者もほとんどの日を自宅で過ごしている状況です。そうなると必然的に、使い道に困ってしまうのがモバイル機器の数々です。

筆者は取材などでノートパソコンやタブレット、そして複数台のスマートフォンを持ち歩いて活用していますが、家にいる間はそのほとんどに出番がありません。

最近では楽天モバイルがサービスを開始したり、携帯3社が5Gの商用サービスを開始したりしたことで、それに対応するスマートフォンを購入したことから、よりいっそう端末が増えている状況。ですが、自宅では活躍の機会が少なく持て余してしまうというのも事実です。

外出自粛の要請は当面続くと考えられることから、その間持て余しているコンピューターパワーを、新型コロナウイルスの対処に役立てる方法がないものか探してみたところ、いくつか存在するようなのでご紹介します。

中でも現在のところ、最も良く知られているのは「Folding@home」ではないでしょうか。Folding@homeは膨大な量の計算処理を小さいタスクに分け、世界中のコンピューターリソースを活用して計算することでスーパーコンピューター並みの処理を実現する、分散コンピューティングを活用したプロジェクトの1つです。

米スタンフォード大学が中心となって展開しており、分散コンピューティングのパワーをタンパク質の構造解析に活用し、難病治療の研究に役立てているようです。

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▲「Folding@home」のウェブサイト。分散コンピューティングを難病治療の研究に活用しているプロジェクトの1つで、新型コロナウイルス研究への活用を打ち出したことで話題となった

そして2020年3月、Folding@homeは新型コロナウイルス(COVID-19)の解析に対応したことを公表。これが高性能なパソコンを持つ人達の間で話題となり、エヌビディア(NVIDIA)が高性能なGPUを持つPCゲーマーに参加を呼び掛けるなどしたことで関心が高まり、3月26日にはその計算能力が、既存のスーパーコンピューターを超える1エクサフロップスに達したというのです。

いかに世界中で、新型コロナウイルスの研究に貢献したい人の参加が急速に増えているかを見て取ることができるでしょう。

Folding@homeに参加するにはWindowsとmacOS、Linux等を搭載したパソコンが必要。Start Foldingのウェブサイトから専用のアプリをインストールし、起動した後「Start Folding」をクリックするだけで、あとは自動的に計算を開始してくれます。

eg20200411 Masahiro Sano▲Folding@homeを実行しているところ。対応するパソコンを持っていれば、アプリのインストール後に「Stat Folding」を押すだけで簡単に始められる

それゆえパソコンを持っている人にとっては非常に参加しやすいのですが、現在スマートフォン向けのクライアントアプリは提供されていないようで、高性能なスマートフォンを持っていても貢献できないのが残念なところです。

では、スマートフォンで新型コロナウイルスの研究に役立つ方法がないものか探してみたところ、「Rosetta@home」というプロジェクトが見つかりました。

こちらは「BOINC」という分散コンピューティングのプラットフォームを活用した米ワシントン大学のプロジェクトで、やはりタンパク質の構造解析で難病治療の研究に役立てるというもの。こちらも4月より、新型コロナウイルスの研究に活用されることになったようです。

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▲「Rosetta@home」のWebサイト。「BOINC」という分散コンピューティングのプラットフォームを活用したプロジェクトで、こちらでも新型コロナウイルスの研究が進められている

Rosetta@homeに参加するにはBOINCのクライアントアプリが必要ですが、BOINCはパソコン用だけでなくRasberry Pi、そしてAndroid版のクライアントも用意されていることから、Androidスマートフォンを持っていれば簡単に参加できます。

参加するにはまずGoogle Playから「BOINC」をインストールしたあと、起動して「Rosetta@home」を選び、メールアドレスと名前、パスワードを入力してアカウントを作成します。

あとは充電中でバッテリーが90%以上、なおかつWiFiに接続しており画面をオフにしている状態であるという条件を満たせば、勝手にタスクをダウンロードして計算してくれます(条件は設定で変更可能)。1つのタスクが完了するには7〜8時間、あるいはそれ以上かかるようなので、多少気長に待つ必要があるでしょう。

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▲Android版の「BOINC」アプリでRosetta@homeに参加しているところ。タスク名に「COVID-19」と入っていることが分かる

筆者も手元にあるいくつかのAndroidスマートフォンでRosetta@homeに参加しましたが、実際に試してみるとスマートフォンに意外と性能を求める印象です。特に重要なのがRAMで、RAMが4GB以下のスマートフォンではそもそもメモリ不足で計算を開始することができませんでした。

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▲RAMが4GBの「moto g7」でBOINCを使いRosetta@homeに参加したところ、メモリ不足で計算を開始できなかった。4GB以下のスマートフォンではおおむねメモリ不足となるようだ

そうした性能の高くないAndroid端末や、iPhoneなどiOSデバイスで利用できるプロジェクトがないものか、さらに探してみたところ、「Vodafone Foundation's DreamLab」というものが見つかりました。

こちらは名前の通り英国のボーダフォン財団が実施しているもので、やはり分散コンピューティングを難病の研究に役立てるというもの。4月から英国のインペリアル・カレッジ・ロンドンと共同で、新型コロナウイルスの治療に関する研究に活用することを打ち出しています。

DreamLabが他のプロジェクトと大きく違っているのは、携帯電話会社が立ち上げた財団ということもあり、当初よりスマートフォンのコンピューターリソース活用が前提となっていること。それゆえAndroidだけでなくiOS用のクライアントアプリもしっかり用意されていますし、Rosetta@Homeへの参加が難しい性能のスマートフォンでも計算ができたことから、スマートフォンではかなり参加しやすいプロジェクトといえるでしょう。

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▲ボーダフォン財団の「DreamLab」は、スマートフォンを前提とした分散コンピューティングの難病研究プロジェクトなので、AndroidとiOSの両方に対応している

DreamLabに参加するには、まずAppStoreやGoogle Playから「Vodafone Foundation's DreamLab」をダウンロードして起動したあと、「Projects」のタブで「Corona-AI」を選びます。

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▲DreamLabで新型コロナウイルスの研究に協力するには、「Projects」タブで「Corona-AI」を選ぶ

続いて「Tha Lab」のタブから「Power DreamLab」のボタンを押し、充電中の状態にすれば自動的に計算を開始してくれます。ただしiOSの場合バックグラウンドでの計算には対応しておらず、スリープ状態にしてしまうと計算が止まってしまうことから、アプリ起動後電源キーを押さないよう注意が必要です。

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▲「Tha Lab」のタブを選んだ後、「Power DreamLab」のボタンをタップすると計算を開始する。iOSデバイスの場合は電源キーを押さないよう注意

執筆時点では新型コロナウイルスの感染者がまだ大幅に増えるなど勢いはとどまる所を知らないようで、連日の報道と自宅待機でストレスを抱えている人も多いかと思います。

ですが、そうした状況の改善に少しでも貢献したいと考えているなら、ソーシャルディスタンスの確保や手洗いなどといった予防策はもちろんのこと、手元にあるコンピューターパワーで研究に協力できるということも、ぜひ知っておきたいところです。

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