新型iPhone SEのライバルは、OPPOやシャオミの中華コスパスマホ:山根博士のスマホよもやま話

シングルカメラに5G非対応だが、入門機や旧モデルユーザーの乗り換えに最適

山根博士 (Yasuhiro Yamane)
山根博士 (Yasuhiro Yamane), @hkyamane
2020年04月18日, 午前 08:00 in mobile
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iPhone SEの2020年モデルが発表されました。外観はiPhone 8相当、チップセットを強化するなどして機能を高めつつ4万円台からの衝撃的な価格で日本では大きな人気となりそうです。エントリーモデルでもトリプルカメラや大型ディスプレイが当たり前という中国メーカーのAndroidスマートフォンと比べると、スペックに物足りなさを感じる消費者も多いかもしれません。しかしアップルはこのiPhone SE新モデルでiPhoneユーザー層の拡大を狙っているのでしょう。

中国の各スマートフォンメーカーは2020年に入ってからも新製品を次々と投入しています。特に中国国内向けの5Gスマートフォンは低価格モデルが相次いで出ており、ファーウェイの「Honor 30」は2399元(約3万6000円)から、OPPOの「Reno 元気版(Youth)」は2999元(約4万6000円)から、Vivoの「S6」とZTEの「AXON 11」は2698元(約4万1000円)からといずれも3000元を切っています。さらにはシャオミの「RedMi K30 5G」が1999元(約3万円)からと、日本円で5万円以下の製品でも5G対応モデルが次々と出ています。

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iPhone SEの中国価格は最低モデルが3299元(約5万円)で、各社の5G低価格モデルより若干高いもののほぼ肩を並べるレベルに抑えて登場します。それまでの最低価格はiPhone XRの4799元(約7万3000円)でしたから、より手軽にiPhoneを買えるようになったわけです。

アップルの販売戦略は、新製品が出ると旧モデルを値引きして低価格モデルとして販売してきました。iPhoneの性能が比較的高かった数年前ならばそのやり方でも十分消費者の満足度を高めることができましたが、前述したように今や5Gスマートフォンが3万円台から買える時代になっています。中国メーカーがスマートフォンの機能で先を進む中、iPhoneの旧モデルの魅力は以前よりも落ちてしまっています。

iPhone SEのスペックは4.7インチディスプレイ、上下に幅のあるベゼル、顔認証は無く指紋認証のみ、カメラ画素数は1200万でフロントカメラも700万画素と、数値だけを見ると目新しさは感じられません。とはいえスマートフォンをSNS中心に日々のコミュニケーションツールとして使うなら必要最低限のスペックは満たしているでしょう。

なによりもiPhone 11シリーズと同じ最新のA13 Bionicチップを搭載したことでレスポンスは高速化されています。すなわちコスパを重視した最新モデルであり、最高のスペックは求めないけれども快適に使える最新のiPhoneを欲しいと考える層をターゲットにしているわけです。そのメインターゲット層はiPhone 6やiPhone 7など古いモデルを使っているユーザーと言えるでしょう。

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それではiPhone SEの主力な販売市場はどこになるのでしょうか?もちろん全世界のiPhoneユーザーをターゲットにしていることは間違いありません。しかし一番重点を置いているのは劣勢気味の中国市場でしょう。それはiPhone SEの価格設定が毎月のように登場する国内メーカーへの強い対抗表示と見えるからです。

中国のスマートフォン全モデルの販売台数のトップ10には常にiPhoneがランクインしており、ネット上を見ても注目度は高いままです。ところが出荷台数は年々下がっており、Canalysの調べによると、アップルは2019年に中国で2750万台を出荷しシェア7.5%でしたが、これは2018年の3460万台、シェア8.7%からマイナス21%となっています。「人気があるのに出荷台数が下がっている」ということは、新製品は大きな話題になるものの他のメーカーを選ぶ消費者が増えていると考えられます。

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中でも古いiPhoneを使っているユーザーが、低価格で高性能な中国メーカーAndroidスマートフォンに乗り換えている動きが進んでいると考えられます。たとえばReno Youthは5G対応、6.4インチディスプレイは水滴型ノッチとしほぼ全面を表示エリアにしています。カメラは4800万画素を含むクワッド仕上げ、フロントカメラも3200万画素と美しい自撮りが撮れます。さらにバッテリーは4025mAhあります。このスペックのスマートフォンが3000元なのです。

しかも中国ではWeChatやAlipayなど国内のWEBサービスを使うことが生活必需となっており、そのほかにも数多くの国内サービスが登場しています。それらはOSに依存せず、ほぼすべてのスマートフォンで使えるため、スマートフォンの乗り換えの際にOSを気にする必要性も薄れています。アップルの強みは支払いにも使えるApple Watchの存在でしょうが、中国メーカーのスマートウォッチもいまでは各都市の支払いに利用でき、この分野でも優位性を失いつつあります。

中国ではアップルのブランド力は圧倒的に強く、高所得者層を中心に高価なモデルはまだまだ売れています。しかし将来のユーザーを増やすためには入口としての低価格モデルの拡充が必要な時代になっているのです。「古いモデルや中古のiPhoneを買って、いつかは最新の上位モデルに買い替えたい」と考えていた若い世代が、中国メーカーの1000元や2000元のスマートフォンを買うようになると、数年後はそのまま同じメーカーの上位モデルに買い替えてしまうでしょう。しかもファーウェイの上位モデルが中国で好調な売れ行きを示しているように、もはや中国メーカーも高い支持を受けているのです。

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アップルは売り上げに占めるハードウェアの比率を減らし、ソフトウェア・コンテンツも提供する総合的なエコシステムを展開しようとしています。そして自社製品向けのサービスを展開する以上、iPhoneやiPadのユーザー数を増やさなくてはなりません。最新コンテンツを利用してもらうためにも旧モデルユーザーの買い換えを促す必要がありますし、アップル製品に興味を持つ若い層が手軽に買える価格帯のモデルは強い武器になります。新型iPhone SEはライバルとなる存在にまで成長した中国メーカーのコスパ重視モデルとの競争に打ち勝つための、キラー製品と言えるのです。

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