BMWモータースポーツ、中止レース代替のeSportsでも手綱緩めず。実戦同様の戦略で勝利

モータースポーツはeSportsとの親和性も高い

Munenori Taniguchi
Munenori Taniguchi, @mu_taniguchi
2020年04月22日, 午前 07:00 in Entertainment
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IMSA iRacing Pro Series

2020年1月、フロリダ州にあるデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで開催されたロレックス・デイトナ24時間レースで2年連続となるクラス優勝を果たしたBMWは、その勢いを保ったまま3月のセブリング12時間レースに臨んでいました。ところが米国ではこの時点で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染が次第に拡大しており、大規模なイベントなど人々が密集する状況を避けなければならなくなってしまいました。

しかし、仕事を奪われたレーシングドライバーたちは一時的に暇になりこそしたものの、すぐに有志や一部のモータースポーツカテゴリー公式が、モータースポーツファンを楽しませるためにそれぞれeSportsシリーズを立ち上げたことで、いまや毎週のように(バーチャルながら)レースを戦うようになっています。そしてBMWはモータースポーツの世界がそっくりバーチャルに移行した状況でも、ドライバーたちを強力にサポートしています。公式ゲームソフトを使うF1はともかく、多くのモータースポーツカテゴリーはiRacingやrFactor 2といった高度な設定が可能なレースシミュレーターソフトをバーチャルレースのプラットフォームに採用しています。そしてBMWはデイトナ24時間レースやセブリング12時間レースを開催するIMSAのiRacing Proシリーズにおいて、実車と同様のアプローチでドライバーをバックアップする体制で望んでいます。

BMWの車両開発マネージャー、ルドルフ・ディトリッヒ氏は「新型コロナウイルス感染症の影響で特殊な状況になっているものの、レースに参加する側も視聴者側も現在の状況に注目していることがわかったため、われわれは活動の幅を拡大し実際のモータースポーツのように体系的なバックボーンを構築することに意味があると考えました」とArs Technicaに語っています。

IMSA

BMWは、iRacingに対して可能な限り実車に近い特性を実現すべく、BMW M8 GTEの膨大な技術資料や画像をソフトウェア開発チームに提供しています。そしてBMWは独自のシムレーシングシリーズ(BMW Sim Cups)を主催しつつIMSAのiRacing Proシリーズにもチームとして参戦しています。

BMWのファクトリードライバーでIMSA iRacing Proのセブリング戦を制したレーシングドライバー、ブルーノ・シュペングラーは「eSportsで飯を食っているような化け物プレーヤーたちは(実際のモータースポーツのようなテスト制限がないため)、普段から練習にものすごく時間を費やしているだろう。でもディトリッヒは現実世界と同様に、われわれが自分の時間を最大限活用できるようにしてくれている」と述べ「現実のレースと同じようにチームで作業を行い、(長時間に及ぶ普段の)レースで同じマシンを走らせる2人以上のドライバーが、互いにアイデアを出し合ったり、セットアップデータを交換したりしてそれぞれのマシンを仕上げていく。それがチーム全体を速くしている」としました。

またBMWはバーチャルでのレースにおいても、コースレイアウトから天候、気温、路面温度といった条件設定を分析し、現実のレースと同様の戦略を立てる体制を整えています。

IMSA iRacing Pro Series
とはいえ、いくら実車に近い特性を実現できても、現実のマシンのサーキットごとのセッティングシートをそのままバーチャルに転用できるほど物事は単純ではありません。iRacingの物理エンジンの制限や、レースにおいては性能調整も施されます。ディトリッヒ氏は、最終的にはサスペンションやエアロパーツのセッティングを実車とまったく同じにするのではなく、実際と同じアプローチ、方法論で詰めていくことが重要だと語りました。

その結果、4月23日に行われたIMSA Pro iRacingシリーズの第2戦ラグナ・セカ戦では、シュペングラーがセブリング戦につづく連勝をみごとに獲得、チームメイトのニッキー・カッツバーグも3位獲得の好成績を残しています。
ちなみに、こうした実戦さながらの体制を整えるのはIMSAのBMWだけではありません。NASCARやインディカーのバーチャルシリーズなどでも、参加するドライバーにチームスタッフがついてマシンのセッティングを手助けしたり、レース中のコース状況を伝えるスポッターを用意したりして、少しでも速く集中して走行し好成績を残せるよう体制を整えているドライバーも多いとのことです。

延期されている大規模なイベントがいつ開催できるようになるのかは、まだまだわかりません。外出を控える毎日は多少息苦しくはあるものの、少なくともモータースポーツのファンたちは、プロドライバーたちによる実戦さながらのバトルをeSportsで見ることができています。
 
 

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