第2世代 iPhone SEが小さく角ばっていない理由を3Gまで振り返りながら読み解く(本田雅一)

性能とサイズ、コストの再バランスから生まれた"新いベースライン"

本田雅一
本田雅一, @rokuzouhonda
2020年04月22日, 午後 10:03 in iphonese
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iPhone se第2世代iPhone SEは、簡単にいうならばiPhone 8の箱(筐体)にiPhone 11の頭脳を入れ、シングルカメラ仕様にリメイクした端末だ。搭載されるメインメモリ量は3GBとなり、iPhone XRと同容量(11 / 11 Proは4GB)であること以外、性能面でのビハインドはない。

メモリに依存する機能、例えばカメラ撮影時に多くのバッファが必要となるDeep Fusionやナイトモード(いずれも多数のフレームを合成することで高画質化しているためメモリを多く消費する)こそ利用できないが、ほぼ真っ暗なシーンや暗い夜景で動くナイトモード以外では、上位モデルとの違いを感じないだろう。

また、リメイクするにあたって、Neural Engineを用いた顔認識と、機械学習による被写体識別でのポートレイトモードなどに違いはあるものの、iPhone 11世代のラインナップをそのまま下に広げた形だ。

なお、他の記事で触れられているように、iPhone 8と同じ箱の設計ではあるが、精度の要求は全く同じではない。具体的には前面ガラスを削って平滑にしている部分の精度が異なるため、ガラスプロテクターなどは個体差によって周辺が浮いてしまうといった問題が起きる。

iPhone se
▲とあるiPhone 7 / 8用のガラスプロテクターを第2世代SEに貼ってみたところ周囲が浮いてしまった

ガラスプロテクターを一緒に購入する予定の方は、必ず第2世代iPhone SE用を選ぶようにされたし。

......と、長めの前振りになったが、今回は我が家にあった過去のiPhoneを引っ張り出してきて、その設計の変遷を振り返ってみることにした。

iPhone se
▲初代SE(左)と第2世代SE(右)

画面比率3:2、3.5インチ時代(iPhone 3G / 3GS 〜 iPhone 4 / 4S)

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▲iPhone 3G(左)とiPhone 4S(中)と初代SE(右)

2008年7月、日本で最初に導入されたiPhoneがiPhone 3Gである。この設計は、高速化された3GSまで続いた。3:2比率の3.5インチ画面はiPhone 4世代でも同じだが、筐体設計のコンセプトは大きく異なる。iPhone 3G世代は初代モデルのコンセプトを拡張し、手のひらにすっぽり収まるようなカーブを描いていた。

その後、iPhone 4では品質感への強いこだわりから、アンテナを兼ねたステンレスフレームを強化ガラスで挟み込むという、実に贅沢かつ高級感に溢れた設計へと変化していく。

この時には、手で強く握ると電波の受信感度が落ちるという問題が発生し、Appleは対策としてバンパーを配布するという対応に追われたが、一方でその後のアンテナ設計を見直すきっかけにもなったように思う。

筆者的に持ちやすさではiPhone 3G世代がダントツ。質感ではiPhone 4世代が良いと感じている。全体にサイズが小さかったこともあり、iPhone 4世代はステンレスフレームとガラスを使った割に軽量で、重さ137gに収まっていた(4Sは140g)。

画面比率16:9、4インチ時代(iPhone 5 / 5s / 5c / 初代SE)

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▲初代SE(左)と第2世代SE(右)

Android端末の画面が大きくなっていくなか、Appleは頑なに大型化を拒否していた。現在とはデジタルコンテンツの楽しみ方も異なっていた、という側面もあるだろう。iPhone 5で初めて16:9の画面を採用した際には、iPhone 4シリーズと横幅が全く同じに揃えられ、その握りやすさを訴求していたことを記憶している。

当時、ジョークで「Appleはこのまま縦方向に伸ばしていき、最後にはiPhone Blade(刀)になっていく」なんて加工画像が出回ったものだ。

アルミ切削によるボディとなったのはここから。もともとMacでは採用されていた生産方式だが、試作のために使われていたマシニングセンターで生産した筐体は極めて高精度。アンテナもフレームではなく背面上下のプラスティック部などを活用して、対応バンド数を増やしつつも、高い質感と生産性、コストのバランスがとられた。

また、マシニングセンターによる切削のため、バスタブ構造のシャシーとなり、背面にガラスが必要なくなっているところもポイントだろう。

この構造はTouch IDを盛り込んだ5sでも引き継がれ、また"バスタブ"をポリカーボネートで作った低コストかつカラフルなiPhone 5cも作られた。

Touch IDを持つiPhone 5sは、iPhoneのひとつの基本形ともいえる製品で、その後、初代iPhone SEが登場するまで生産されている。

SEは「Special Edition」だと当時は説明されていたが、いろんな意味での基本形。Basic Editionの方がしっくりくるかもしれない(これは第2世代でも同じだろう)

画面比率16:9、4.5インチ / 5.5インチ時代(iPhone 6 / 6s / 7 / 8およびそれぞれの"Plus"版)

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▲iPhone 6(左)とiPhone 7(中)と第2世代SE(右)

このあたりになってくると、ほとんどの読者がよく知っている、今でも現役で使っているというモデルが多くなってくる。

全部をひとまとめにしてしまったが、実際にはiPhne 6 / 6sとiPhone 7の間にはアンテナ設計、iPhone 7とiPhone 8の間には背面ガラスの有無といった構造的な違いがある。

また、iPhone 7からはTouch IDのボタンが非可動式になり、圧力センサーで押し下げを検出後、Taptic Engineでクリック感を演出するよう変更された。これは信頼性を高め、故障率を下げるための設計だと考えらえる。

アンテナについてもiPhone 6 / 6sでは、背面の上下端に加えて背面にもプラスティックのスリットがあり、ここから電波を透過させていたが、iPhone 7以降は上下端のみとなり、すっきりしたデザインに。このデザインを生かし、背面をグロス仕上げとしたJet BlackはiPhone 7世代だけの特別な仕上げだった。

そしてホームボタンを備えるiPhoneの最終形となるiPhone 8の設計では背面仕上げが強化ガラスに切り替えられている。これは内蔵モデムのマルチバンド化を進めるなかで、アンテナの配置自由度を高めるためではないかと推察している。

バスタブ構造では、背面からの電波透過が期待できないため、ガラスのサンドイッチにすることでアンテナ設計の自由度を高めたのではないだろうか。同じ設計はステンレスとアルミというフレーム素材の違いこそあれ、iPhone X以降でも踏襲されている。

なお、世代的に言えば、ガラスを用いたことを除けば、iPhone 7の強化版だったiPhone 8だが、その分、少しだけ分厚く(0.2ミリ)、重く(10グラム)なっていた。

小さく角ばったSEを望む声はあるけれど

iPhone se

第2世代iPhone SEの設計は、iPhone 8と全く同じ構造だ。

初代iPhone SEと同じエッジ感のあるデザインや4インチ画面を望む一部からの声も耳にするが、コンテンツやアプリの画面設計もトレンドが変化してきており、またより多くのバンドに対応するアンテナ設計といった面、それに内蔵するプロセッサの性能を引き出せるだけの熱設計なども考慮するなら、選択肢はiPhone 8の踏襲しかなかったはずだ。

それにiPhone SEの生産ラインはすでに現存しないだろう。iPhone 8の組み立てラインを流用できるからこそ安価にできるのだとするなら、SEに全く新いメカ設計を求めることはできない。

また、再びiPhoneが角ばるという噂もないわけではないが、現在の幅で手のひらへのフィットを望むのであれば、丸く仕上げた方が持ちやすい。それはAndroid端末でも同様だ。

もっとも、ほとんどの方は保護ケースに入れてしまうのだろうけれど。


【告知】
Engadget 日本版では無料オンラインイベント「新iPhone SEは買いなのか 2020春のスマホ事情」を4月27日(金) 夜19時に開始します。ぜひ、ご自宅よりご参加ください。

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