第3世代光ディスク競争に敗れた「HD DVD-R」:スイートメモリーズ File011

記録用メディア発売から1年半での撤退でした

宮里圭介(Keisuke Miyasato)
宮里圭介(Keisuke Miyasato), @miyasa
2020年04月27日, 午前 07:00 in sweetmemories
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removable media
[名称] HD DVD-R
[種類] 光ディスク(405nm)
[記録方法] 有機色素(追記型)
[サイズ] 120mm
[容量] 15GB(1層)
[登場年] 2006年頃~

今や淘汰された懐かしの記録メディアたちに光を当てるこの連載企画では、ゆるっと集めているリムーバブルメディア・ドライブをふわっとご紹介していきます。

「HD DVD-R」は、東芝を中心にして開発された追記型の光ディスク。HD DVDは第3世代光ディスクとして東芝・NECによってDVDフォーラムで提案されたもので、読み取り専用のHD DVD-ROM、追記型のHD DVD-R、書換型のHD DVD-RW・HD DVD-RAMなどが規格化されました。

HD DVD-RはDVD-Rと比べ、トラックピッチを740nmから400nmへ、最小ビット長を400nmから200nmへと微細化し、より高密度で読み書きできるようになっているのが特徴です。これにより、1層で15GB、2層で30GBという、DVD-R比で約3倍の容量を実現しています。

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使用するレーザーは405nmで、色でいえば青紫。これはライバルとなったBlu-ray Disc(以下、BD)と同じですが、BDはトラックピッチが320nm、最小ビット長が150nmとさらに細かく、1層で25GB、2層で50GBという容量を実現していました。

容量面では一歩及ばずといったところでしたが、HD DVD-Rの強みとなっていたのが、メディア製造コストの安さです。記録材料に有機色素を採用することでDVD-Rと同じスピンコート法で記録層が作れたことに加え、保護層の厚みが0.6mmとDVDに合わせてありましたから、従来のDVD-R製造ラインと大きく変わらない設備でHD DVD-Rが製造できることになります。つまり、追加の設備投資負担が少ないため、コストが下げられるわけです。

ただし、これはあくまで初期段階での話。スタートダッシュの要素としては魅力的ですが、製造設備が整ってしまえば材料費と製造難易度の勝負となるため、最終的には「数が作れる方が勝つ」ことになります。HD DVD陣営の辛いところは、録画機器やPC用の記録型ドライブを作っていたのが東芝くらいしかなく、いくらメディアの製造がしやすいといっても、使うシーンが限られてしまっていたことでしょうか。

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メディアそのものは120mmの光ディスクということで、DVD-Rとの見た目の違いはほぼありません。ただし、特徴的なのが記録面。日立マクセルのデータ用メディアの記録面を見てみると、驚きの金色でした。有機色素を使った光ディスクとなると緑や青といったイメージが強いだけに、これは結構意外です。

日立マクセルのメディアは色素について触れられていなかったので詳細は分からないのですが、同じくHD DVD-Rのメディアを製造していた三菱化学メディアの製品ではAZO色素を採用していると明記されていました。ということで、実は色が違うのかなと気になったので、入手してみたのですが......

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こちらも金色ですね。なお、データ用メディアは入手できなかったため、録画用メディアでの確認となります。録画用といっても、AZO色素を採用しているのは同じです。


当時のPC用のメディアは、すでに小容量ならUSBメモリー、大容量ならHDDが主流となっており、DVDですら出番が少なくなっていました。そのため、HD DVD(BDもですが)はデータ用としてあまり注目されませんでした。

実際、HD DVD-Rメディアの発売時期をチェックしてみると、録画向けのメディアは2006年7月に発売されているのに対し、データ向けのメディアは2007年1月と大きく遅れていることが分かります。もちろんこれは、「そもそもPC向けのドライブがほとんどない」ということも影響していますが。

この映像重視というのは最後まで変わらず、HD DVDとBDとの争いもセルビデオ用メディアとして、どちらがどのくらい供給元を説き伏せられるかという競争になっていた記憶があります。

途中、Xbox 360で採用されるというミラクルはあったものの、主力のはずのプレーヤー・レコーダーで対応機器があまり増えず、徐々に劣勢になっていきました。そして、2008年2月には、ついに撤退表明。記録用の最初のメディアが発売されてから、約1年半での出来事でした。

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