ドイツ政府、新型コロナ接触追跡アプリでアップルとGoogle寄りに転換

GoogleのほうがフランスよりGDPR重視という皮肉

Kiyoshi Tane
Kiyoshi Tane
2020年04月28日, 午前 11:30 in google
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世界各国で新型コロナウイルス感染拡大を止めるため、感染者と濃厚接触した可能性のある人達を追跡するアプリの開発が進められています。

それに対応してアップルとGoogleが協力し、まず公衆衛生当局の提供する接触履歴追跡アプリにiOSとAndroid間の相互運用を可能とするAPIを提供することを発表。これに対してフランスを初めとするEU諸国がプライバシー保護へのアプローチの違いから、両社にAPI仕様の変更を要求していました

これまで足並みをそろえていたEU諸国ですが、その中でドイツが方針を変更し、アップルとGoogleの取り組みに沿った方向に転じたと報じられています。これまでEU諸国が推進していた濃厚接触追跡システムは、スマートフォンから中央サーバーに直接データを送信するというもの。すなわち保健当局が感染の疑いある人を直ちに把握でき、連絡を取れるアプローチです。迅速な対応が期待できる反面で、機密性の高い医療データを公的機関に引き渡すことから、将来的には監視国家の道を開きかねないとして批判を集めています。

それに対してアップルとGoogleが開発を進めているのは、一般に分散型システムと呼ばれるもの。こちらは新型コロナの診断結果が出るまでデータ(過去14日間の各デバイス識別キー。毎日ランダムに生成される)はユーザーのデバイス内にのみ保存され、結果が出た時点でユーザーの同意を得てからデータを送信すると説明されています。つまりデータは各デバイスに「分散」され、保健当局はユーザーが同意した後でしか受け取ることができないわけです。

さてReutersによれば、ドイツの ヘルゲ・ブラウン首相府長官とイェンス・シュパーン保健相は「分散型」アプローチを採用し、上記の中央サーバー構想を放棄する共同声明を出したとのことです。政府高官の匿名情報筋によると、アップルが(中央サーバー案を)拒否した時点で、方針を変えるほか選択肢はなかったと述べています。

実際フランス政府の中央サーバー型システムは、iOSのBluetooth使用制限(バックグラウンドでデータを外部に送信できない)により開発が遅れているとして、アップルに制限解除が求められていました。これを同社は受け入れず、代わりに5月予定だったAPI提供を4月28日に前倒しして応えたかっこうです。

ドイツがアップルとGoogleの方針を支持すると、直接に表明したわけではありません。が、「このアプリは自発的で、データ保護規則(EUのGDPR)を満たし、高レベルのITセキュリティを保証するものでなければなりません」「主な疫学的目標は、感染の連鎖をできるだけ早く把握して解消することです」とのこと。そうしたプライバシー保護とスピードをともに目指すなら、両社の提供するAPIをそのまま受け入れるしか道がなさそうです。

フランスほかEU諸国は2018年5月にGDPRが発効して以来、Google等にプライバシー情報の保護や透明性を厳しく求めてきました。それがプライバシー侵害の恐れもある中央サーバー型を強く主張し、対してアップルらがユーザーの同意を重んじる分散型を打ち出したのは、かなり皮肉な事態と言えそうです。
 
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関連キーワード: apple, coronavirus, COVID-19, eu, french, GDPR, google
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