Googleの医療用画像認識AI、タイでの実地試験で真価発揮できず

精度9割のはずが…使用環境も整えておく必要がありました

Munenori Taniguchi
Munenori Taniguchi, @mu_taniguchi
2020年04月29日, 午後 05:50 in Medicine
0シェア
FacebookTwitter
Google

Googleはこれまで4年にわたり糖尿病性眼疾患、心血管リスク因子、貧血症、乳がんのスクリーニングの判定などに画像診断AIを活用することを研究してきました。しかしGoogle Healthによる最新の論文では、研究室ベースの実験では90%以上という良好な精度を誇っていた糖尿病性網膜症(Diabetic Retinopathy:DR)検出用のAIが、タイの医療機関と協力して行った試験的な実地運用で期待したほどの成果をあげられなかったことが報告されています。タイでは、開業医が患者の目の写真を撮ってからDRを確認するまでに最大10週間かかる場合があります。GoogleのAIはプロセスをスピードアップするように設計されており、およそ10分で結果を出せるとされます。タイのチェンマイなどにある11か所の診療所で行われた実地運用でも、AIで視力の歪みや喪失につながる可能性のあるDRの検出を行い、医療スタッフを手助けできる予定でした...少なくとも当初は。

しかし研究者らは予期していなかった問題に出くわしました。現地では眼科の検査プロセスが診療所ごとに大きく異なり、さらにAIの診断に提供する画像の質も著しく低いものばかりでした。特にインターネット環境の貧弱さからAIのサーバーに診断用画像をアップロードするのに非常に長い時間を必要とし、場合によっては既存のシステムのほうが効率的でさえあったとのことです。

その結果としてGoogleのAIは画像の1/5以上の診断ができず、再診断をしようにも交通や仕事などの問題から患者を呼び戻すことが困難な状況も発生。何度も診療を受ける患者の負担を心配した看護スタッフが、試験への参加を止める状況もみられたとのこと。

Googleは調査結果を記した論文で、AIを広範に展開しようとするには解決しなければならない問題が多数あることを認めています。また計画を進める前に「実地での評価・調査を手順に含める」必要があると述べ、将来的な試験候補地ではあらかじめ看護スタッフや医師、機器オペレーターも参加しての新しい診断ワークフローを設計し、実用面での潜在的障壁を積極的に洗い出すようにしていると報告しました。

少々残念に終わった話ではあるものの、それでも普段から医師やスタッフの負担が高い医療現場にAIを導入するメリットは計り知れません。今回の試験でも、特に機器を使いこなせるようになったスタッフの1人は、1日に1000枚もの画像をAIで処理できたと報告されています。また患者の側が気にしていたのは自身の病状のほうで、診断を下すのが人間かAIかはほとんど問題にならなかったということです。

 

TechCrunch 注目記事新型コロナのソーシャルディスタンスを支援するビデオチャットアプリ8選

新型コロナウイルス 関連アップデート[TechCrunch]

 

関連キーワード: AI, Diabetes, Google, Medicine, Robots, Tomorrow
0シェア
FacebookTwitter

Sponsored Contents