強烈なデジカメ志向、スマホらしさは薄く──Xperia 1 IIのカメラを解説(石野純也)

Photography Pro はソフトウェア更新後に対応予定

石野純也 (Junya Ishino)
石野純也 (Junya Ishino)
2020年04月29日, 午前 06:07 in camera
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Xperia 1 Mark 2 Junya Ishino

ソニーモバイルは、5月に発売予定の「Xperia 1 II」に搭載されるカメラ機能の詳細を解説しました。型番こそ「II」ですが、説明を聞くと、カメラ機能を大きく刷新していることが分かります。他メーカーとの違いは、"デジカメ志向"です。

Xperia 1 Mark 2 Junya Ishino
▲日本では5月にドコモとauから発売されるXperia 1 II

Xperia 1 IIは超広角、標準、望遠のトリプルカメラに、深度の測定ができる3D iToFカメラを搭載しています。3つのカメラのレンズは、いずれもZEISSブランドを冠し、「T*(ティースター)」と呼ばれるコーティングが施されました。

Xperia 1比で受光量1.5倍の大型センサー採用

このカメラの最大の特徴とも言えるのが、35mm判換算で24mmの標準カメラです。Xperia 1より大きな1/1.7インチと大型のセンサーを搭載しています。

Xperia 1 Mark 2 Junya Ishino▲背面にT*コーティングが施されたトリプルカメラが搭載される

広角カメラのセンサーを大判化することで、ピクセルピッチは1.8μmになり、「受光量が大幅にアップし、Xperia 1の1.5倍になった」(ソニーモバイル マーケティング部門 プロダクトマーケティング部 テクノロジーコミュニケーション課 森田徹氏)といいます。

このセンサーは、撮像エリア全面に大型の位相差AFセンサーを配置しており、環境に左右されず、オートフォーカスが速いのも特徴。結果として、「暗所での高速オートフォーカスや高感度撮影が実現した」(森田氏)格好です。

ここ最近のスマホには、100MPを超えるセンサーを搭載している端末もあり、特にハイエンドモデルでは高画素化が進んでいます。10MPまでいかなくとも、64MPや48MPのカメラを搭載した端末は徐々に増えています。切り出しでズームとして使えたり、複数のピクセルを1つにすることで感度を上げたりできるのがそのメリットです。

Xperia 1 Mark 2 Junya IshinoXperia 1 Mark 2 Junya Ishino
▲標準カメラのセンサーを1/1.7インチに大型化。ピクセルピッチが大きく、読み出し速度も速い

画素数より明るさや速度を重視

一方で、Xperia 1 IIは12メガピクセルで画素数は初代Xperia 1と同じです。ここにはソニーモバイルならではのポリシーがあるといいます。

というのも、フル解像度で撮影すると暗くなってしまううえに、「108メガピクセルだと読み出し速度が1枚あたり100ms(0.1秒)になり、動いた被写体を撮ると斜めに写ってしまう現象も起きる」というのがその理由。フルサイズの一眼カメラでも12メガピクセルのものはあり、Xperia 1 IIでも、画素数以上に明るさや速度を重視したというわけです。

また、高速なセンサーを搭載した結果、秒間20枚の連続撮影や秒間60回のAF/AE演算が可能になりました。Xperia 1 IIはフレーム内の測距点が247点と広く、AIを活用して主要な被写体を検出する技術を併用しています。

これによって、常にフォーカスを合わせ続けながら、高速な撮影が可能になりました。暗所では3D iToFセンサーがAFを高速かつ高精度で合わせます。さらに、Xperia 1にも搭載されていた瞳AFは、人間だけでなく犬や猫といった動物にも対応しました。

Xperia 1 Mark 2 Junya Ishino

Xperia 1 Mark 2 Junya Ishino
Xperia 1 Mark 2 Junya Ishino
▲秒間60回のAF/AE演算や、AIも組み合わせた高速なAFを実現。AFにはiToFセンサーも活用する


トリプルカメラは「大三元レンズ」を意識

トリプルカメラのうち、ほかの2つは、16mmの超広角と70mmの望遠カメラになります。画角については、望遠カメラの望遠率がXperia 1のときより上がり、倍率で約3倍になりましたが、これはレンズ交換式カメラの「俗にいう大三元レンズを意識した」(森田氏)ためだといいます。

そのため、いずれのセンサーも12メガピクセルに統一。倍率を変えると画像のサイズまで変わってしまう──というようなことがない仕様になっています。

Xperia 1 Mark 2 Junya Ishino▲トリプルレンズの焦点距離は、大三元レンズを意識したという

もちろん、レンズ交換式カメラのレンズのように焦点距離を変えることはできず、16mm、24mm、70mmの間と70mmから200mmまではデジタルズームを介する必要があり、大三元レンズをそっくりそのまま再現できているわけではありませんが、スマホとして、その使い勝手を疑似的に実現したものと言えるかもしれません。


デジカメの使い勝手を再現する「Photography Pro」

こうしたカメラ機能を最大限引き出せるのが、「Photography Pro」と呼ばれるアプリ。一眼カメラのαに搭載されるUIを、スマホ用にアレンジしたものですが、単なるカメラアプリとは異なり、Xperia 1 IIのハードウェアとも密接に連携しているのが特徴です。

一般的なスマホのカメラアプリと大きく異なるのは、画面上にシャッターボタンがないところ。Xperia 1 IIは、側面にシャッターボタンを備えており、Photography Proはそれを利用して撮影することを前提にUIが設計されています。

半押しでAF/AEロック、全押しで撮影という流れもまさにデジカメ。横持ちで、デジカメのように撮影するためのカメラアプリと言えるでしょう。

Xperia 1 Mark 2 Junya Ishino▲Photography Proは、画面内にシャッターボタンがなく、シャッタキーで撮影する

また、上記の秒間20枚の連写機能や、秒間60回のAF/AE演算についても、Photography Proの利用が前提になります。お作法がカメラに近いという点では、これまでのスマホカメラとは一線を画している印象です。

ソニーグループとしても、Xperia 1 IIは「ソニーのイメージングプロダクトのファミリーと位置付けている」(森田氏)そうで、撮影機能が搭載されたスマホではなく、5G対応の通信機能を備えたデジカメと考えていることがうかがえます。

Xperia 1 Mark 2 Junya Ishino▲αシリーズやRXシリーズ以上にすそ野を広げるカメラと位置付けられた

ただし、それがゆえに、スマホで一般的な撮影機能が搭載されていないこともあります。たとえば、複数枚の写真の連写合成で暗所での写りを大幅に向上させる、「夜景モード」なり「ナイトモード」なりといった機能はその1つ。

Androidスマホはもちろん、iPhoneにも同様の機能は搭載されていますが、こうした撮影モードはあえて採用しなかったといいます。「肉眼とは異なる見え方をする、リアルから離れる絵作りをするモードは設けていない」(森田氏)というわけです。

ズームのUIも、3つのレンズ交換を再現するというコンセプトを優先した結果、超広角、標準、望遠カメラは1つ1つ明示的に選択しなければならず、UI上でズームしている最中に自動でカメラを切り替える機能は搭載が見送られています。

とは言え、スマホのカメラにはスマホならではの良さがあります。具体的には、チップセットの処理能力を生かした機能で、上で挙げた夜景モードなりナイトモードなりは、その1つです。

サイズゆえにどうしてもデジカメには勝てないところをコンピューターの力で補うのが、スマホらしさとも言えます。コンピューテーショナル・フォトグラフィーを標榜するGoogleのPixelシリーズに搭載されたカメラは、その典型例です。

もっと単純なところで言うと、Photography Proは縦位置の写真が撮りづらいのも難点。動画ですら縦で作られるようになっている中で、スマホのカメラとしてのUIがこれでいいのかという疑問はわきました。

Photography Proとは別に、通常のカメラアプリを搭載するのであれば、そちらはそちらで、もっとスマホ的なカメラに振り切ってもよかったのではないでしょうか。差別化は図れていると感じた一方で、説明を聞けば聞くほど、スマホらしさからは微妙に乖離(かいり)していることが少々気になりました。



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