NVIDIAの研究者「数分で作れる人工呼吸器」開発。コスト約4万円、オープンソース化

FDAに緊急使用許可を申請中

Munenori Taniguchi
Munenori Taniguchi, @mu_taniguchi
2020年05月2日, 午後 05:50 in Medicine
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NVIDIA

GPU製品やAI製品を開発するNVIDIAのチーフサイエンティストBill Dally氏が、約400ドル(約4万3000円)の低コストで簡単に組み立てられる人工呼吸器の設計資料をオープンソース化して公開しました。Dally氏はこの人工呼吸器を数週間で設計しましたが「人工呼吸器が不足するほどの人が重症化しないことを願っている」と述べています。

しかしDally氏によれば新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染した患者のうち0.3~3.6%が人工呼吸器を必要とするほど深刻な急性の呼吸窮迫症候群、つまり重度の呼吸不全を引き起こします。Dally氏は「もしそうなったときのことを考えて、(いつでも作ることができるように)こうしたものを準備しておきたいと考えた」と述べました。
この人工呼吸器は既存の部品を使って設計されているため、必要なものさえ揃えばプラスチック製のプロテクターケースに組み付ける格好でわずか数分で組み上げられるとのこと。そのままでも400ドルほどの部品で構成されているものの、量産すればそのコストはさらに低下し、オープンソース化されている3Dプリントパーツを使えば100ドル以下になる可能性もあるとDally氏は述べました。NVIDIAは、既存の人工呼吸器は通常2万ドル以上の費用がかかるとしており、それが100ドルで使えるようになるのならこんな素晴らしい話はありません。
公開した動画のなかで、Dally氏はこの人工呼吸器は供給する空気の圧力、流量を正確に測定管理できると語っています。またこの呼吸器はただ設計コンセプトを示すためのものではなく、肺をシミュレーションする機器でテストを重ねており、NASAが短期間で開発した人工呼吸器のFDA承認を得たのと同様に、緊急の使用許可が得られるよう米食品医薬品局(FDA)に申請中とのこと。

Dally氏はスタンフォード大学の教授でもあり、この人工呼吸器を大学の同僚やOBの協力を得て開発したとのこと。ほかにも自身の人脈を活用し多方面の専門家に働きかけ、とくに主要部品の機械工学的分野は自動運転車とロボット工学の仕事で知られるPaul Karplus氏の力を借りたほか、ハーバード医学部の学生Emma Tran氏には医療分野とのパイプ役になってもらったと話しています。

英ダイソンのように当局の承認に時間がかかることから採用が見送られるようなケースもないわけではありませんが、FDAが必要な製品や薬に緊急使用許可を出している米国などでは、まだまだ独自開発の呼吸器が活躍する場がありそうです。

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