コロナ危機下の中国はドローンをどう活用したか?(山谷剛史)

突然の災害でドローンができること

山谷剛史
山谷剛史, @YamayaT
2020年05月11日, 午後 04:30 in drone
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新型コロナウィルス感染症(COVID-19)が先に蔓延した中国で、ドローンが活躍した。有事にどのような活用がされたのか紹介していこう。

中国でドローンというと、ECでの商品運搬に使われる印象があるのではないだろうか。中国のECセール日である6月18日や11月11日には、ドローンを利用した商品運搬のアピールがあるし、高層マンションにおけるエレベーターでの移動はやや非効率的だ。中国では日本以上に厳しく家こもりが強制されECサイトへの依存度が高まったことから、ドローンによる運搬があるのではないかと期待したのだが、そうしたニュースはなかった。むしろドローン企業を取材するメディアに対し、ドローンメーカーは口を揃えて「宅配には向いていない」と語る。

だからといってドローンのニーズがなくなったわけではない。むしろ中国のドローン関連のニュースを読んでいくと、必要とされる場面はいくつもあった。

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▲アントワークはドローンを使って物流を支援

宅配便事業大手の順豊は、武漢での新型コロナウイルスの広がりのニュースを見て、配送のニーズがあると考え、ドローンスタッフを含めt社内武漢特別アクショングループを作り、武漢に向かわせたという。まず飛行経験時間が数万時間のスタッフ7人で武漢に赴き、現地で物資の配送が必要な病院を把握し、そこに至る飛行ルートの確認など準備した。後から別のスタッフが到着し、ドローンを往復させて、防護服や薬品などの医療物資や食品を緊急で運んだ。

こうしたドローン導入の話は他にもある。浙江省新昌県の病院で医療物資の運搬に活用し、15分のところを5分で運搬したという報道や、江西省で医療用品を運搬したという報道もある。ドローンのほうがより安全に素早く運べて役に立つことは間違いないが、湖北省に比べて危険度は低く、実験的な運搬といえなくもない。緊急事態であれば、順豊の手法のように、社内の指折りのヘビーユーザーが先に出向き、どうドローンを活用するかのプランを作るほうがいいだろう。

運ぶのは商品だけではない。消毒薬を運んで上空から散布するのにもドローンは活躍した。

四川省綿陽の新型コロナウイルスの指定病院となっている404医院豊谷分院とその隣の市場では、消毒設備を搭載したドローンが消毒作業を実施。そこでは5G通信ができることから、5G+ドローンで消毒作業が行われた。消毒は、1時間で10数ヘクタールを消毒できるという消毒用途用ドローンによって2か所の消毒作業は10数分で完了している。新型コロナウイルス患者を多数抱える病院であれば付近住民も不安だろう。上空から一気に消毒薬を散布することで、状況を回復するというわけだ(散布前には事前に住民に通知して洗濯物などをとりこませている)。

新型コロナウイルス期間に、ドローンが消毒の用途で使われたという報道は多かった。面白い例として、農業用ドローンを主にリリースしている「極飛科技」の動きについて紹介したい。

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▲極飛科技のドローンを活用した消毒作業

2月12日までに中国全土で285グループが計2000機超の同社の農業ドローンを利用し消毒作業に携わった。20省市自治区の14903カ所の地域、計600平方キロメートルを超える非常に広いエリアの消毒作業を行っている。これをサポートしたのがユーザーグループだ。ユーザーに前向きに使ってもらうために、購入した極飛ユーザーには、整備費用や修理費用を無料にしたうえでさらに1か月無料で保証期間が延びるという仕掛けをした。買えば早速実用として使える上に、整備してくれて保証期間も伸びる。利用したい消費者を引き付けるキャンペーンだったわけだ。さらにドローンで広い範囲の消毒を行ったという実績を作ったことで、今後生活が元に戻ろうとする際に、同社のドローンを使ってもらえるだろう、そんな狙いもあったという。

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▲広場の人にドローンで警告を発する警察

DJIをはじめとしたドローンメーカー各社も動いた。各地の警察ほか担当当局と提携し、各地の消毒作業のほか、人や車への警告や、新型コロナについての宣伝活動や、物資の運搬を行っている。中国電科研が開発した100機のドローンが同時に稼働し、荷物の運搬、消毒、巡査を行うスマートドローン管理システムというものも報じられた。巡査や人や車への警告というのは、広場で上空から人や道路を走っている車に近づいて「戻りなさい」と伝えたり、サーモセンサーを装着して人々の温度を測り体温が高い人に警告を発したりするというものだ。繁華街を自動巡回するものもあれば、警察がコントローラーを操作する場合もある。ドローンを使うメリットは素早く上空を移動できることよりも、人と人が接触することなく、問題ある人や車などに近づいてコミュニケーションすることができるというところにある。

さらにDJIなどドローンメーカーは、ドローンをアメリカ、フランス、韓国など世界各国に対新型コロナウイルス用途として送った。ドローンは中国が強いだけに、「国際貢献をした」と中国国内では高く評されている。企業のイメージ向上にもなるだろう。

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▲対新型コロナアプリ登録のお願いを見せるドローン

ドローンを活用できた国とそうでない国というのがあり、概ね途上国のほうが先進国よりドローンに関する法整備が進んでいない分、対新型コロナウイルスで自由に飛ばせたという。中国はというと、ドローン運用許可証をもっている順豊などの企業が活用して緊急対応したほか、そうでない企業も各地方政府と業界団体に目的があってそれのために飛ばせるよう直談判して許可をもらったようだ。加えてドローンでの作業中の事故にも対応できるよう、保険会社の天安財険が、ドローンによる消毒を保障する保険を販売し、ドローン業界団体に加入させた。

突然の災害にドローンを活用できる企業は動いた。被災地であったり、認めてもらうために役所であったりしたが、一大事にとりあえずドローンで何ができるか考えようと、中国のドローン操縦士や企業は動いたわけだ。認知されて復興時に買ってもらえばいい、あるいは災害を前に商品サポートを手厚くしてユーザーを増やし使ってもらうといった動きは、今後の災害でも検討したい考えだろう。

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関連キーワード: china, coronavirus, COVID-19, drone
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