Xperia 1 IIは一眼並の速写性。Photography Proで確認したカメラの実力(本田雅一)

やりすぎな部分もあるけれど概ね良好

本田雅一
本田雅一, @rokuzouhonda
2020年05月13日, 午前 07:05 in xperia
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Xperia 1 II昨年からラインナップを一新。グレードをモデルナンバーで表現し、年次更新で同じコンセプトの端末を提供し続けることになったソニーのXperia。トップモデルには「1」というモデルナンバーが与えられえるが、その第2世代「Xperia 1 II」がNTTドコモとKDDI(au)から5月末に発売される。

ソニーモバイルコミュニケーションズ初の5G対応スマートフォンとなるXperia 1 II。そのセールスポイントはエリアが極めて狭く限定された場所でしか使えない5Gではなく、昨今のトレンドにそった"カメラの進化"だ。もちろん、すでに発表されているとおり、様々な点で進化したXperia 1 IIは、昨年のコンセプトを引き継ぎながらも改良が加えられ、使いやすさが向上している。それでもユーザーが一番に感じる進化点はカメラだろう。

実は、すでに実機のテストをひと通りさせていただいていたのだが、その際には執筆を見送った。なぜなら一番の目玉であるカメラ機能が完成していなかったため。ハードウェアとしてのカメラは完成していたが、αシリーズと同様の体験が得られるというPhotography Proというアプリが未完成だったのだ。

Xperia 1 II
しかし、グローバル版のXperia 1 IIにいよいよPhotography Proが提供されたとのことで、今回は日本キャリア版ではないグローバル版を用いて"カメラの使い勝手"だけにフォーカスしたインプレッションをお届けしたい。

結論から言えば、35mm判換算で24mm相当の画角を持ち、1/1.7インチ1200万画素センサーを備えるメインカメラは、極めて高い満足を提供してくれた。プロモーションビデオで可能性は感じていたが、カメラの操作体験、画質共に素晴らしいの一言に尽きる。

ただし、三眼カメラの設定や機能差、性能差については、その設定にやや疑問も残っている。


一番の注目点は"機能"ではなく"速写性"

1/1.7インチ1200万画素センサーというセンサーは、画素あたりのピッチが高画質と評判の1インチセンサーと同様のプロセスや構造、回路で構成されているため、画素あたりのパフォーマンス(主にはSN比)がプレミアムクラスのデジタルカメラに匹敵することが売りだ。カメラの場合、そのパフォーマンスは画質が語る。

Xperia 1 II Canera
▲150ルクスほどの暗い室内でもISO800まで増感。適切な手振れ補正と瞳AFで子供やペットの写真も手軽に簡単に、そしてストレスなく撮影できる

掲載した子供の写真は、150ルクスほどしかない、かなり暗いリビングルームで撮影したもの。決して落ち着いてじっとしているわけではない年頃の子供だが、的確に捉えたうえで、部屋の暗さを感じさせないすっきりとした描写に仕上がっている。

Xperia 1 II Canera
▲夜景のテスト。夜景はやや苦手で、iPhoneのナイトモードの方がベター

それは夜景写真などからも感じられるだろうか。ツァイスのT*コーティングが施され、点光源からのゴーストも見られず、明所でもすっきりとコントラストの高い画像が得られる。確かにこのカメラの基本性能は前評判通りにとても素性がいい。

しかし、本機のカメラの良さは速写性にある。確かに画質もいいのだが、画質に関しては単純な好みだけではなく、どのような絵を目指すのかといったフィロソフィーの部分で評価に揺れがある。

今回のXperia 1 IIは、本格的なカメラらしい情報量が多く抜けの良い絵を出すが、もっと"記憶しているあの美しい映像"に近くなるよう、ひっそりと何も言わずに美しく記録してほしいという人もいる。

その点、速写性はあらゆるユーザーにとって恩恵しかもたらさない。小気味よく動作するオートフォーカスと、操作に対する応答性の高さは、他のスマートフォンでは味わえない、現時点では本機だけ唯一の価値だ。

以下にXperia 1 IIによる作例とiPhone 11 Pro Maxによる作例を並べるので見比べてみてほしい。

Gallery: Xperia 1 II作例 | of 14 Photos

  • Xperia 1 II Canera
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Gallery: iPhone 11 Pro Max作例 | of 12 Photos

  • iPhone 11 Pro Max
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1/60単位で次々に移りゆくフォーカスフレームと的確な露出制御

昨年10月に発売されたソニーのデジタル一眼カメラα9 IIは、まさにフラッグシップとしてふさわしい驚きに満ちた製品だった。最大20枚/秒の連写に加え、最大60回/秒の演算によるAF / AE追従が行得るのに加え、併売されるα9などと同じくコンティニュアスAF時には693点のAFフレームのうち合焦しているフレームがリアルタイムで表示される。

まるで生き物がウネウネと動くように、被写体に追従する様子は衝撃的だったが、Xperia 1 IIのPhotography Proを用いると、まさにそのAFフレームの様子をスマートフォンの液晶上で体験できるのだ。もちろん、1/60秒ごとにAF / AEの演算を行い続ける。
Engadget
元々、Xperiaは先代モデルからAFが高速だったが、カメラ専用の半押しポジション付きレリーズボタンを半押しすると、その時から"あれ?これはレンズ交換式カメラだっけ?"と、あまりの応答性の高さとAFの速さに驚く。いや、像面位相差AFを持つレンズ交換式カメラでも、もっとAFが遅く、不正確な製品はいくらでもある。レンズ交換式カメラの中でも、トップクラスのAF速度を持つ製品と比べても、遜色ないと感じるほど気持ち良い反応なのだ。

また、カメラとしては当たり前の設計だが、カメラがどのような状態(設定メニューを開いているなど)であっても、レリーズボタンを操作すれば、半押しであれ、全押しであれ、即座に反応する。

秒あたり20フレームという強烈な連射機能や、人物 / 動物対応のリアルタイム瞳AFといった、αではお馴染みの機能ももちろん感動的ではあるが、本当にカメラを操作しているような感覚が得られるのは"期待した動き"をしてくれるからに他ならない。

設定もまるで一眼、しかし"やりすぎ"の側面も

速写性はもちろん、AF速度の速さも含めてのもので、ここで生きてくるのがToFセンサーだ。ToFセンサーは被写体への大まかな距離を"面"で測定するセンサーであり、Xperia 1 IIのカメラ機能は、このToFセンサー情報とCMOSセンサーから得られる映像を参照し、どの部分が被写体かを判別している。

そのうえで大まかな距離があらかじめ判別できているため、その後の位相差AFからフォーカスを合わせるまでの一連の動作を最短にできる。確かにToFセンサーが被写体を捉えられるシーンでの速度は圧巻だ。

ただし、ToFセンサーが届く4〜5メートル以内という条件から外れると、いきなり普通の位相差AFセンサーになってしまう。24mm相当という画角を考えれば、AF速度が重要なシーンは近距離だろうとは思うが、体験の落差がそれなりにあるのは残念である。

とはいえ、そんなことは重箱の隅と言いたくなるぐらい操作性が奮っている。

半押し付きレリーズボタンのフィーリングも良いが、細長いディスプレイを活かし、右手親指が届く範囲に大きく各種設定のアイコンがずらりと並んで、トグルで設定を変えらえる。一眼カメラの右手親指での設定を模しているのだろう。ダイヤル操作相当は、画面をなぞることで実現している。水準器やヒストグラム表示なども、カメラならば見慣れたものだ。

このように書くと、あたかも難しいカメラのように思えるかもしれないが、通常のカメラがそうであるように、モードを「AUTO」に設定すれば、普通のスマホカメラ並のシンプルな操作になる。

また、本機には一般的なカメラアプリも用意されており、Photography Pro(その名の通りエンスージャスト向けである)が複雑だと思うならば、通常のカメラアプリを使えばいい。レリーズボタンで呼び出されるデフォルトのカメラアプリも、通常のカメラアプリだ。

......と、本当に絶賛したいところなのだが、"やりすぎ"と思う部分もある。例えば三眼カメラの画角設定だ。

"大三元カメラ相当"と言うけれど

ソニーは、カメラの画角を16mm相当、24mm相当、70mm相当の3つとした理由をそれぞれを広角端とするF2.8ズームレンズ(俗称:大三元)に合わせて設定したと説明していた。もっとも多く使われるズームレンズの、もっとも多く使われる焦点距離だからという説明は本当に意味があるのだろうか。

Xperia 1 II Canera
▲超広角カメラ

Xperia 1 II Canera
▲標準カメラ

Xperia 1 II Canera
▲望遠カメラ

それぞれのレンズは"標準ズーム"である24-70mm/F2.8を中心に構築されている。大多数の撮影はこのレンズで行い、広角が必要な場合は16-35mm/F2.8に付け替える。標準が24mmからなのだから、広角側は16mmの設定というのは使いやすい。

一方、望遠ズームが70-200mm/F2.8であるのは、それが(35mmフィルムフォーマットに置いて)無理なく高画質を引き出せることや、必要な画角に向けて最適化した結果だ。広角端の70mmが便利だから、という感覚は、実際にカメラを使っていて(少なくとも僕は)感じない。

三眼であれば、望遠側に50mm相当前後の画角を持つ方が(iPhoneの望遠側がこれに近い)望遠カメラの使い勝手はいいだろう。また、本当に望遠撮影が欲しい場合には、200mm相当ぐらいの方が便利であるはずだ。

こうした画角への感覚は、あるいは筆者が特殊なのかもしれないが、望遠カメラに切り替えた途端に3倍近くに拡大され、70mm相当になる振る舞いには少し首を捻らざるを得なかった。

Xperia 1 II Canera
▲70mm相当の望遠レンズは少し過剰。ここではピンが奥に抜けたが画角の面で使いにくさも感じ、画質面も不利

加えて各カメラの画質には落差も小さくない。いずれも1200万画素だがセンサーサイズは、16mm相当カメラが1/2.6インチ、70mm相当カメラが1/3.4インチ。超広角カメラは脇に置くとしても、望遠カメラとの落差は気になる。

また24mm相当のメインカメラにおいても、広角端以外ではコンティニュアスAF時におけるウネウネとしたフォーカスフレームのリアルタイム更新は眺めることができない。これは電子ズームで拡大しているため、位相差を検出するセンサーの粒度が変化するためだと推察される。

とはいえ、スイートスポットにハマった時の気持ちよさは格別

このようにいくつか疑問も感じたが、冒頭でも紹介したように、メインカメラの実力が発揮される"スイートスポットにハマった"シーンでの気持ちよさは格別だ。

レリーズさえすれば、あとはスマートフォン側が機械学習処理や様々な画像合成技術を用いて高画質にしてくれる「お任せ」がトレンドの中で、こうした本格的なカメラに寄せた機能は使われるのだろうか? という意見もあるかもしれない。

しかし、写真が好きだからこそ"こうあってほしい"という、本質部分に向き合った製品というのは、実際に使い始めてみると離れられない魅力を放つようになる。繰り返すことになるが、Photography ProはXperia 1 IIが備えるカメラハードウェアを使いこなすためのアプリの実装例の一つ。

イージーに高画質という意味であれば、本機にも複数枚のフレームを参照しながら高画質化を行うといったアプローチも取られているそうだ(もっともそういったアプローチも取っていると話していただけで、実際にどのような処理が行われているかは不明だが)。

Xperia 1 II Canera
▲Dレンジオプティマイザーでの逆光撮影暗部ディテールは少ない

願わくば、設定に依存せずに「その時点で最高の絵」になるように工夫していただけないだろうか。例えば高コントラストのシーンでは、ダイナミックレンジオプティマイザーで、トーンカーブの最適化が行われる設定がデフォルトだが、オプションを変更すると2枚の異なる露出を自動撮影して合成することで、暗部・明部共に諧調を失わない撮影が行える。

ただこの設定は、1/60秒ごとに露出判別することができなくなるためデフォルトではオフになっている。しかし実際に逆光で撮影すると、明らかに異なる露出を合成した方が良い結果が得られる。

撮影機能の使いこなしとは別の領域では、もっと積極的に"自動判別"しながら、さりげなく最高の状態での撮影ができるよう振る舞ってほしいと思うのは贅沢だろうか。そのうえで、望遠レンズ側の画角や画質、機能、体験といった部分が標準レンズに揃ってくれば、この"Photography Proが欲しい!"という固定ファンがつくことだろう。



 
 

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