電気ハイパーカー『エヴァイヤ』のデザインを空力チーフが解説。並のスポーツカーとは「戦闘機と凧ほど違う」

2000馬力で走るマシンの空力の秘密

Munenori Taniguchi
Munenori Taniguchi, @mu_taniguchi
2020年05月14日, 午前 11:30 in Transportation
0シェア
FacebookTwitter
Lotus

スポーツカーメーカー、ロータスで30年以上にわたりロードカーやレーシングマシンのプロジェクトに関わってきたエアロダイナミシストにして熱管理エンジニアのリチャード・ヒル氏が、ロータス初の完全EVとなるEvija(エヴァイヤ)の空気力学面でのデザインフィロソフィーについて語りました。

ヒル氏は、エヴァイヤのデザインにおける全体的なフィロソフィーは、空気の流れを低くフラットに保ち、それをボディ内に導き、リアで高く浮かび上がらせることだと述べています。
通常のスポーツカーは、その流麗なフォルムで走行時に抵抗となる空気を押しのけるようにして走ります。エヴァイヤもそれらのスポーツカーと同様に流麗なシルエットをもっていますが、要所要所には空気が通り抜けるための"抜け穴"が多数設けられています。

空気の流れを可視化した動画を見れば、エヴァイヤはこの"多孔性"によってまるで「呼吸をするように」空気を飲み込み、全体的にその空気がクルマを地面に吸い付かせるダウンフォースを生み出しつつ、リアへと導かれているのがわかります。

Lotus


エヴァイヤのフロント下部は3分割されたデザインとなっています。中央の大きな開口部はドライバーおよびナビゲーターのシート背後に設置されるバッテリーパックを冷却するための空気を導入します。また両サイドの開口は、空気がフロントの"Eアクスル"、すなわち電気駆動モジュールを冷却したうえでダウンフォースも生成し、サイドへと抜ける構造になっています。


Lotus

前端部から車体下面に潜り込む空気はその量が適切に抑えられることで空気抵抗と揚力の発生を低減します。さらに後端部分はレーシングカーではおなじみのディフューザー形状を採用し、マシン下面を流れてきた気流を跳ね上げてできる圧力差でダウンフォースを得ています。

エヴァイヤの大きな特徴になっている、テールランプを兼ねる巨大なトンネルは、その入り口が車体の両サイドに設けられています。これは"ベンチュリートンネル"と呼ばれ、車体表面で抵抗になる伴流を後方へと抜き出し、ドラッグを大きく低減させる役割を果たします。

Lotus

最近の高級スポーツカーと同様、エヴァイヤは高速走行時にリアウイング状のスポイラーがせり出す仕組みを備えています。カーボンファイバーの一枚板で成型されるこのウイングは、ボディワークの最も高い位置まで掲げられ、車体の上を通ってきたクリーンな気流を捉え、リアエンドにおけるさらなるダウンフォースを発生させます。F1マシンと同様のDRS(Drag Reduction System)も備えており、高速走行時は水平に、減速時は角度を付けることで運動性能を向上します。

「速いクルマは美しい」とはよく言われることですが、"美しさ"にこだわりすぎるあまり機能面が疎かになってしまうケース(またはその逆)はクルマに限らずとも少なくありません。しかしエヴァイヤの場合は、ヒル氏が外面的なデザインと熱管理の橋渡し役となり、車両冷却やキャビンの換気性、熱管理システム全体が正しく機能するようにサポートしたとのことで、美しさのなかに機能性をうまく両立させているように思えます。ヒル氏は、一般的なスポーツカーとエヴァイヤの空力の違いを問われ「それは戦闘機と凧を比べるようなものだ」と返しました。

ちなみにヒル氏は1990年代、カーボンモノコック構造を採用したトラック競技用自転車「ロータス108」やそのロード版「ロータス110」の開発にも関わったとのこと。風洞で徹底的に空力を突き詰めて開発されたこの2車種は様々な大会で速さを見せ、自転車競技の世界に開発競争をもたらした結果、国際自転車競技連合(UCI)がモノコック構造の車両を禁止させるに至りました。

ヒル氏は最近もUCIの新レギュレーションに適合する斬新なエアロフォルムのトラック用自転車「HOPE/Lotus HB.T」を手がけています。この自転車は東京オリンピックに向けて開発され、エヴァイヤと同様にとてつもないスピードと記録を生み出すことが期待されています。

 
 

TechCrunch 注目記事新型コロナのソーシャルディスタンスを支援するビデオチャットアプリ8選

新型コロナウイルス 関連アップデート[TechCrunch]
関連キーワード: aerodynamics, electric vehicle, ElectricVehicle, EV, Evija, hypercar, Lotus, sportscar, supercar, Transportation
0シェア
FacebookTwitter