木星の公転軌道に彗星のフリする小惑星「2019 LD2」発見。小惑星なのに尾を観測

型にはまらないヤツ

Munenori Taniguchi
Munenori Taniguchi, @mu_taniguchi
2020年05月25日, 午後 12:45 in Space
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JD Armstrong/IfA/LCOGT

宇宙、それもわれわれの住む太陽系でさえ、まだまだ知らないことがたくさんあるようです。ハワイ大学の小惑星地球衝突最終警報システム(Asteroid Terrestrial-impact Last Alert System:ATLAS)が、木星の近くに他とは全く異なる性質を持つ小惑星2019 LD2を発見しました。この小惑星は、木星と公転軌道を共有する小惑星群「木星トロヤ群」のひとつと考えられますが、なぜか彗星のような尾を引いています。われわれが知る彗星は長楕円形の周回軌道を持つ氷の塊であることが多く、彗星が太陽に近づくと露出した氷が蒸発して、表面に堆積した塵とともに噴出し、長い尾を生成します。一方、小惑星は岩石室のものが多く乾燥し、内部活動もないと考えられます。

しかし、ATLASが発見した2019 LD2はこうした一般的な定義にはおさまらない奇妙な小惑星でした。この小惑星は、他の数千の木星トロヤ群と同じ(つまり木星と同じ)軌道を通っていると考えられますが、彗星のような尾を引いていました。


トロヤ群は、惑星の強力な重力に引き込まれ、その惑星の軌道に落ち着いた小惑星で形成されます。これは木星に限った話ではなく、たとえば地球にも少なくとも1つのトロヤ群小惑星が確認されており、海王星は数十個のトロヤ群小惑星を携えています。

木星のトロヤ群は約40億年前に形成されたと考えられ、小惑星がかつて表面に持っていたかもしれない氷塊はすべて蒸発してしまっていると考えられます。そのため尾を引く2019 LD2は、彗星としてどこかから飛来して、トロヤ群の軌道に取り込まれたばかりの、新しい小惑星である可能性がまず考えられます。また別の可能性としては、古くからこの軌道を周回していて、何かの拍子に他の小惑星と衝突して軌道が乱れ、内部に持っていた氷が露出したとも考えられます。

アイルランドのクイーンズ大学の天文学者アラン・フィッツシモンズ氏は「われわれは何十年もの間、トロヤ群の小惑星の表面の下に大量の氷があると信じていましたが、これまでその証拠はまったくありませんでした。ATLASは、その予測が正しい可能性があることを示しています」と述べています。

ハワイ大学は「(この発見で)確かなことは、宇宙は驚きに満ちているということです。そして危険な小惑星から地球を守るための調査は、われわれが住む太陽系の歴史を解明するための無害で魅力的な物体を予期せず発見することがよくあります」と今回の発見を評しました。ATLASは小惑星地球衝突最終警報システムという名前のとおり、本来は地球に衝突する可能性のある危険な小惑星の接近を検知するためのものですが、それが捉えた2019 LD2は、少なくとも地球に住むわれわれに危険や恐怖をもたらすことはありません。

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