2021年1月末をもって公衆PHS音声サービスが終了したことは、各種メディアにも取り上げられたこともあり、話題になりました。公衆PHSの利用者はかなり限られていたので、それほど影響はないと思われるかもしれません。

しかし、実は医療機関や倉庫、工場、建設現場など限られた範囲で自前の機器を設置して連絡をやりとりする「構内PHS」を利用する企業や機関は、まだ多数存在しています。いますぐ切り替える必要はないものの、今後どうすべきか検討を迫られることは間違いありません。

構内PHSサービスに代わるサービスとしては、すでにいくつか存在しています。そのなかでいま注目されているのが「sXGP」(shared eXtended Global Platform)と呼ばれる方式です。このsXGPはいわゆるプライベートLTEの一種となります。

sXGPの特徴は、構内PHSサービスと同様に免許不要で内線等に利用でき、かつ音声通話だけでなくデータ通信も同時にやりとりできる点です。sXGPの周波数帯に対応したスマートフォンなどで利用できます。

ただ、現状sXGPの周波数帯に対応したスマートフォンは、海外では存在しますが、日本の電波法令に基づく認定を取得した機種はほとんどありません。そんな中、富⼠通コネクテッドテクノロジーズ(FCNT)のビジネス向けスマートフォン「arrows BZ01」は、今後sXGPが普及すると予測し、いちはやくsXGPが利用する周波数帯に対応したモデルです。

富⼠通コネクテッドテクノロジーズ(FCNT)のビジネス向けスマートフォン「arrows BZ01」

今回は、ポスト構内PHSとして期待されているsXGPとはどのような規格なのか解説するとともに、sXGPで活用できる「arrows BZ01」の特長も合せて紹介します。

構内PHSサービスに代わるsXGPとは

sXGPは自営通信向けの規格で、スマートフォンなどで利用されているTD-LTE方式をベースにしたものです。音声通話での利用だけでなく、通信モジュールを搭載した監視カメラや各種センサーなどといった、IoT機器と接続しての利用も想定されています。

sXGPによる自営通信用システム構成の一例。内線による通話だけでなく、IoT機器との接続も考えられています

使用する周波数帯は、PHSで利用されていた1.9GHz帯です。LTEバンドでいうと、バンド39に当たります。利用者は免許不要で使用でき、自営通信設備を設置することで、sXGP網を構築できます。

データ通信速度は上りが最大4Mbps(理論値、以下同)、下りが最大12Mbps。内線通話だけでなく、画像などのデータ伝送もストレスなく行なえます。

このsXGPですが、周波数帯が構内PHSと重なるために、すでに導入済みの構内PHSとは共存できない課題がありました。しかし、公衆PHSサービスの終了(2021年1月に音声サービスが終了、テレメタリングサービスは2023年3月に終了予定)にあわせ、2021年1月よりsXGPの周波数帯が拡張。現在構内PHSを利用している場所にもsXGPを共存できるようになり、構内PHSから順次切り替えていくことが容易になりました。

sXGPでの通信は、LTE通信と同様にSIM認証システムを採用しているため、セキュリティが強固なうえ、接続の安定性も高く、音声品質も良いのが特徴です。

企業や自治体では、リモート会議で音声が途切れるのを防ぐために、映像はインターネット回線を使い、音声のみLTEの電話回線網を利用するケースがあります。たとえ映像がなくても音声さえ確保されていれば、会議が成立するためで、こうしたLTE通信の接続安定性と音声品質の高さはsXGPにも引き継がれています。

また、最近ではWi-Fiを用いたVoIP通話によって、施設内や社内での通話に利用しているケースも多くみられます。確かにデータ通信の速度は速く作業用PCも同時に接続できる点ではメリットは高いのですが、広い範囲をカバーしつつ、多くの人員がアクセスしても耐えられる環境にするには、アクセスポイントを多く設置する必要があります。

一方、sXGPのプライベートLTEならWi-Fiよりも遠くへ電波が届くため、1つの基地局で広い範囲をカバーでき、多くの人員が利用しても、安定した通話が確保できます。また、ネットワークの独立性やSIM認証システムにより、セキュアな環境を構築しやすく、大規模な工場や倉庫などでは、sXGPの環境を構築したほうが企業の信頼性を高められます。

また、すでに構内PHSを利用している医療機関などでは、同じ1.9GHz帯を利用するsXGPへ切り替えるほうが、様々な用途に使われる周波数帯を利用するWi-Fiを導入するより、医療機器との干渉を避けることができ、スムーズに移行できるでしょう。かつて、2G時代の携帯電話は電波の出力が強く、医療機器への影響が懸念されたため、構内PHSが導入されてきた経緯がありましたが、3GやLTEでは電波の出力も弱くなり、影響は低減されています。

また、大規模災害時はキャリアなどのネットワークに影響されることなく、通信が確保できる点もsXGPのメリットです。今後は、内線やナースコールだけでなく、電子カルテや医療用ソリューションと連携や、監視カメラやロック解除などIoT機器との接続も可能となるため、医療従事者の業務の効率化や働き方改革の一助となるでしょう。

sXGPでの利用も可能な「arrows BZ01」

先述の通り、sXGPに対応したスマートフォンが「arrows BZ01」です。ビジネス向けモデルのため、現場の使用環境を考慮した設計や手厚いサポートが用意されているのが特徴です。

まず、工場や倉庫、建設現場といった、オフィスより過酷な環境下でも安定した運用を確保すべく、防水・防塵・堅牢性に注力しています。

具体的には、アメリカ軍の部材調達に用いられるMIL規格において23項目も準拠しています。加えて、MIL規格の落下の試験条件よりも厳しい試験もクリアしており、たとえば高さ1.5mから26方向でコンクリートに落下させる試験をクリア(2020年9月。富士通コネクテッドテクノロジーズ株式会社調べ。無故障・無破損を保証するものではありません)。また、IPX5/IPX8準拠の防水性能、IP6Xの防塵性能を備えています。泡タイプのハンドソープや食器用洗剤での洗浄も可能なため、作業現場で操作した際に、本体が汚れてしまっても洗い流すことができます。

準拠するMIL規格の23項目一覧。なかなかここまで準拠している製品はない

ハンドソープの泡や食器用洗剤で洗浄しても大丈夫。誤って泥まみれになっても安心

さらに医療機関や飲食店などはもちろん、現在のコロナ禍においては、各種消毒が必要なケースがあります。そのため、次亜塩素酸ナトリウム1%、イソプロピルアルコール99.7%、エタノール99.5%で拭き取り可能な耐薬品性能を備えており、薄手の手袋をしたままでのタッチ操作も可能になっています。

本体は、5.6インチ有機ELディスプレイ(1080×2220ドット)を搭載し、OSはAndroid 10を採用。CPUに8コアのSnapdragon 450(1.8GHz)、メモリーは3GB、ストレージは32GBを内蔵しており、ビジネス利用なら十分なスペックと言えます。サイズは、約147×70×9.1mmで重量は約145gと片手でも持ちやすく軽量で、ストラップホールが用意されているので、首から吊り下げての利用も可能です。

SIMフリーなので、キャリアを選ばない。microSDカードも利用可能

背面には指紋認証を備えており、マスクをしていてもロック解除はラク

充電はUSB-C端子を使用。左隅がストラップ用の穴

キッティングに対応し企業の要望に合わせたカスタマイズが可能

ビジネス向けモデルならではのサービスとして、企業の要望に合わせた設定で出荷するキッティングサービスが利用できます。

最近では、モバイルデバイス管理(MDM)サービスを利用している企業も少なくありませんが、中小企業などではまだまだ利用していないケースもあります。

そうした企業向けに、Androidの機能を制限したり、特定のアプリしか起動できないといったカスタマイズを富士通コネクテッドテクノロジーズ(FCNT)で請け負うので、端末が届いたらすぐに使えます。

情報漏えいを未然に防ぐために、各種ポートやmicroSDカードの使用を禁止することも可能。端末の使用者が変更となった際に初期化しても業務用の設定は引き継がれるため、すぐに別の人に渡して使えるメリットもあります。1台から対応できるので、小規模オフィスでの利用にも応えてくれるのも、このサービスの特徴と言えます。

構内PHSを利用しているなら早期に切り替え検討を

sXGPは、まだこれからのサービスなため、現状ではそれなりに導入コストはかかります。しかし、Wi-Fiよりも安定した通信とセキュアな通信網を構築できることを考えれば、情報漏えいが大問題になる企業や医療機関、あるいは工場のような広い施設内で活用してほしいサービスです。

また、現在構内PHSサービスを利用しているのであれば、今後構内PHS機器の販売が終了になったり、利用している無線機器が使用期限を迎えてしまうため注意が必要です。2007年11月30日以前に製造された製品は、旧スプリアス規格に適合した機器のため、2022年11月30日を過ぎての使用は違法となってしまいます。

こうした事態を避けるためにも、早めに切り替えを検討することをオススメします。sXGPへの移行なら、併用してテスト運用が可能なので、構内PHSサービスが利用できるうちに完全移行できるように計画するのがベターです。

同時に導入するスマートフォンは「arrows BZ01」がオススメです。先述のとおり、ビジネスでの利用が考えられた仕様であるとともに、通常1年間のメーカー保証を3年間に延長する長期保証サービスを用意しています。

また、同一モデルの長期継続供給や、Android OSがバージョンアップした場合でも、利用中のバージョンで継続したサポートを提供。さらに、技術的なトラブルが発生した場合に、専門技術者が問題解決をサポートするといった、企業にとって安心して利用できるサポート体制が備わっています。

企画・開発から製造、組み立て、品質管理、梱包出荷にいたるまで、日本国内で一貫作業をしているメイド・イン・ジャパンである安心感もあり、sXGPでの利用に限らず、ビジネス利用のスマートフォンとしての導入も検討してほしいモデルでしょう。