NTTドコモとEngadgetが共同で、女性参加者のみによるハッカソン「女性だけのEngadget電子工作部」を開催しました。女性限定イベントはEngadget初。

これまでのイベントでは女性の割合が少ないということで参加をためらう女性もいらっしゃったようです。また現在、女性によるテック系コミュニティの活動も盛んに。それなら女性だけで集まって作ってみよう! と今回のイベントが実現しました。

今回は「あなたが欲しいモノ、サービス」をテーマに、女性の「あればいいな」「どうしても欲しい」をかなえるガジェットをNTTドコモのIoTプラットフォーム『Linking』を使って作ります。 

Linkingで目指すは「フィジカル・コンピューティング」

さて、イベントは3月12日のDays1と26日のDays2の2回に分けて開催されます。今回のDays1ではチームごとにアイデアを出し、Linkingの説明を受けた上でアイデアを絞り込み、モックアップを制作して発表するという流れです。

イベントには現役大学生から、大学生の母親まで幅広い年代の女性が集まりました。また職業もエンジニア系から事務系まで様々。はたして、どんなアイデアが出てくるのでしょうか。

Days1では、最初にkarakuri products 代表、東京大学先端研特任研究員、博士(工学)の松村礼央さんより電子工作とプロトタイピングについて説明が行われました。



松村さんが今回の制作上のテーマとして掲げたのは、既存の入力系に縛られない「フィジカル・コンピューティング」。スマホではなく手首につけるバンドで体活動量を測定するガジェットや、実際のダンスがプレーの決め手になるゲームの例をひもといて紹介し、「皆さんが通常考えている入力系と違う新しいサービス を、Linkingを使って作ってほしい」と期待を込めてコメントしました。

続いて、株式会社NTTドコモ 移動機開発部 システム企画担当 原美咲さんから、今回のハッカソンで使われるLinkingの概要について説明。



LinkingはBLEに対応した外部機器をスマホアプリと簡単に連携させるためのプラットフォームです。デバイス開発者側もアプリ開発者もLinkingのAPIに対応したデバイス・アプリを開発することで、様々なサービスが作り出すことが可能。



「スマートフォンは誰もが持っていて多くのユーザーがいますが、IoTデバイスはまだそれほど普及しておりません。Linkingはソフトウェアの作り手とハードウェアの作り手をつなぎ、簡単にIoT製品を作ってほしいというのが思想になっています」(原さん)

カードとパッドを使ったブレインストーミングを開始



続いて今回のアイデアの講師として、アイデアプラント代表の石井力重さんが登場。今回、石井さんが参加者に渡したのはイラストが描かれた4色のカード「ブレインストーミングカードゲーム」と六角形の用紙「ブレインストーミングパッド」の2つの発想文具です。

カードゲームでは、カードに「誰かのアイデアをほめる」「質にこだわらずたくさんアイデアを出す」など4種類のヒントが書かれ、ブレスト時に提示することで 様々な考え方ができるというもの。また、パッドは六隅に穴が開いており、メモやアイデアスケッチしたものをつなげることが可能です。



自己紹介の後、1チーム4~5人ずつの7班に分かれます。その後は先ほどのカードを使いつつブレインストーミング。この段階ではまだ考えを詰めず、言いっぱなしでOK。ブレストを通してメンバーのアイデアと発言の傾向をとらえるのが目的です。終了後は、親睦を深めてアイデアのヒントを出せるように班ごとにランチタイムを取りました。

1日の「困った」「願った」を書き出して問題の切り口探しへ

午後からはいよいよ具体的なアイデア出しの段階に。ここでは1班を2~3人のサブチームに分け、それぞれ1日を時計のように円で表したシートに、1日の中の困ったことや「こうなってほしい」という願ったことを書き出します。



その後、シートを班で見直し、記載した中から2点を選出。今度はその2つを「人」「モノ」「プロセス」「環境」「意味価値」「五感」といった切り口から分析し、さらに問題解決の根源を考えていくプロセスへ。例えば、「朝起きると寝ぐせがひどい時がある」という場合、「環境:空気が乾燥している時は髪がハネがち」から「空気が乾燥する日は髪をセットする時間を取る」といった感じで思考を深めていきます。



サブチームごとに専用のシートに書き込みますが、石井さんは「デバイスに関係ないアイデアでも切り捨てずに深掘りしてください」とアドバイス。その後、班でシートを見比べた上で切り口をひとつ選択しました。

スイーツタイムの後はアイデアの具現化へ

問題を深掘りして絞りこんだところでいったん休憩。ここで参加者にLinkingとEngadgetのロゴが描かれたカップケーキが用意されました。



休憩後、今度はアイデアスケッチの段階に。先ほど絞り込んだ分析と問題の根源を元に、様々なアイデアをパッドに描き込んでいきます。何枚も書き込んだアイデアは班ごとに机の上に並べ、班ごとに「やってみたい」のアイデアと「やれそう」のアイデアを各3つ抜き出していきます。



ここまでの作業で絞り込まれたアイデアがどこまでLinkingで実現可能かを再確認するため、ここで原さんからAndroid版サンプルアプリと利用方法、ハードウェアの使い方について説明が行われました。



まず、サンプルアプリでLEDやバイブレーション、センサー、ビーコンといったLinkingに対応するハードウェアを搭載するデバイスの動作を確認。また、ハードウェアの仕様も紹介されました。今回のイベントで使用できる対応ハードは以下の通りです。

●「アプリ開発用ボード」:Linkingアプリを開発するためのBLE対応ボード。LED、バイブレーション機能、加速度・方位・温度・湿度・気圧・ジャイロなど各種センサーを搭載。

●「Tomoru」:LEDが搭載され、スマートフォンアプリと連携して光るデバイス。

●「Linking ap 6x」:LEDと6軸センサーを搭載。

●「Linking_tha」:温度・湿度・気圧のセンサーを搭載しビーコン発信を行なう。

●「Linking ap daughter Board」:3色のLEDを搭載。



参加者が実際にLinkingを操作してみたところで、いよいよアイデア発表に向けペーパー・モックアップ制作に移ります。45分という短い時間で、制作はもちろんユーザー像や作るものの内容、狙いを固めつつ、アプリとデバイス制作における作業分解も行わないといけないため大変です。ここでは役割分担して進めることが重要に。





最初から資材確保を行なって手を動かす班がある一方で、ギリギリまでディスカッションを進めてアイデアを固める班があり、班の特色が浮き彫りになりました。

そしていよいよアイデア発表。今回、講評を行なうメンターは、松村さん、原さん、そして株式会社TBWA/HAKUHODO/QUANTUM クリエイティブテクノロジストの佐藤彩夏さんの3人です。では、アイデアの内容とメンターのコメントを簡単に紹介します。

●1班:駅まで歩いていいかどうかLEDでお知らせ




家から駅まで行く際に電車が間に合うかどうか、歩いて大丈夫か、走った方がいいかを3色のLEDで表示する鍵です。

「Googleカレンダーから予定を取得できると、家や出張先などから使えて楽しいと思います」(松村さん)

●2班:冷蔵庫の中身を把握できるスイッチ




食材を消費した時に足りなくなった食材をボタンで入力することで、買い物時に足りない状況をスマホで把握できます。

「冷蔵庫の残量を計るのに様々なセンサーを搭載するのは大変なのですが、ボタンを利用するのはブレイクスルーですね」(佐藤さん)

●3班:ダラダラキャッチャー




ソファーなどダラダラしがちな場所を検知し、長く滞在している(ダラダラしている)場合はLEDやバイブレーションで警告される仕組みです。

「ダラダラしているのをどう検出するのがポイントになるかと思います」(原さん)

●4班:はよおきな(仮)



設定した就寝時間までにスマホを置く、設定した起床時間までにスマホを取らないと、警告を発するスマホスタンドです。

「警告だけでなく本当に起きないとマズい工夫が施されているといいですね」(佐藤さん)

●5班:寝起きブルブル



スマートフォンのアラームを5回止めるとリストバンドが振動し、ラジオ体操が大音量で流れて目を覚ましてくれるガジェット。

「腕だといつか着けなくなると思うので、枕など身に着けない形なら長く使ってもらえると思います」(原さん)

●6班:社員証ホルダー改め くさくならないでしょうホルダー



おじさんを対象にした活動量計つきの社員証ホルダー。運動の度合いを数段階で判定し、ポイントを獲得。得られたポイントによって協賛企業から消臭アイテムがプレゼントされます。

「運動量とニオイの相関が取れると一番ですが、絶対量を計るよりも他人が不快だという状態であることを暗に知らせてくれるデバイスならいいかなと思います」(松村さん)

●7班:脱・干物スポンジ



帰宅しても掃除をサボってしまう干物女(男)が対象のセンサーを内蔵したスポンジ。帰宅時間後もやるべき家事の運動量を感知しないと、スマホの画面をロックしてしまい一部の機能以外利用できなくなります。

「スポンジだとセンサーが壊れてしまうので、スポンジケースに湿度センサーをつけるなど実装に工夫していただければと思います」(佐藤さん)


どのアイデアも出勤や家事など女性の切実な悩みが反映された内容になっています。寝起きの問題やダラダラしてしまうなど、テーマが重複した班もありますが、解決へのアプローチがそれぞれ違い班ごとの個性が出てユニークです。

ただし、ここで発表されたアイデアはまだ完成形ではありません。メンターのアドバイスを元に、Facebookグループを通して班内のディスカッションを重ね、3月26日のDay2までには新たな形に生まれ変わるでしょう。最終的にどんなガジェットとして誕生するのでしょうか? お楽しみに。