2月25日KDDIは、宮城県仙台市の夢メッセみやぎにて「2021 KDDI 災害対策訓練」を開催。災害時のシミュレーションや新たに導入された災害対策用の「水陸両用車」、そして実証実験中のヘリコプターを使った移動基地局などが披露された。

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▲2021 KDDI 災害対策訓練が行われた仙台市の夢メッセみやぎ

KDDIは車載基地局を始め、災害時の通信エリア消失といったトラブルに対して備えており、有事にスムーズに活動できるよう、災害対策訓練を行っている。今回のような大規模な災害対策訓練は3度目で、小規模な訓練は日本各地で随時行われているとのこと。

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▲災害対策事業を担当しているKDDI 技術統括本部運用部長 大河内恭雄氏

今回の災害対策訓練では、夢メッセみやぎのホール内をいくつかのセクションにわけ、KDDIの災害対策についての取り組みを説明。まず「ETWSエリア」では、災害が発生した際の緊急地震速報ETWSを体験でき、ETWSの10年の進化について解説された。

続いて「運用災害対策本部エリア」では、東京都新宿にある運用災害対策本部を再現。災害発生後30分以内に本部を立ち上げたり、災害対策本部と現地とのやりとりをシミュレートし、復旧作業の様子を披露した。

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▲新宿にある運用災害対策本部を再現

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▲現地からの情報を映像でチェックし適切な指示を出す

次のホールでは「車載型基地局エリア」、「水陸両用車エリア」、「ドローンエリア」として展示されており、「車載型基地局エリア」では、旧型車両に加えて2019年8月から運用しいている市販車をベースとした新型車載基地局車も展示。実際にアンテナ部分などを動作させ、基地局設置までの解説を行った。

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▲1年半前から導入されている新型車載基地局車

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▲車載基地局車のアンテナはこのコントローラーで操作し、設置作業を行う

また組み立て式のパラボラアンテナを使った「可搬型基地局」も展示。こちらも組み立てから運用までを実際に行い、組み立て時間を計測する訓練を披露。可搬型基地局はバッテリーに発電機を使用するが、この発電機を外部に燃料タンクを設置できる新型に変更したことで、連続24時間の運用が可能になっている。

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▲可搬型基地局の組み立て訓練

こういった車載型基地局を50台、可搬型基地局を137台と現在全国に187台を配備しており、災害時には必要な台数を手配できるようなっているとのこと。

「水陸両用車エリア」では現場への駆けつける際の足となる、バイクやクルマを展示し、国内通信業者としては初めて導入される「四輪バギー」と「水陸両用車」を披露した。

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▲災害時に投入されるのが、バイクと四輪バギーそして水陸両用車の3つ

四輪バギーの「OUTLANDER Hmr 1000R」は悪路の走行性能が高く、タイヤを雪上用のキャタピラに替えることで、雪の上での走行にも対応する全地形対応車両。本体後部のキャリアは100kgの積載量があり、災害現場への燃料搬送などに活用できる。

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▲四輪バギーの「OUTLANDER Hmr 1000R」

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▲屋外では雪上仕様で走行していた

水陸両用車の「AURORA 850SX HUNTMASTER」は、陸上での車輪走行に加え、ボートとして水上でも走行可能。本体への搭載に加え、816kgの牽引力があるため、別途キャリーを牽引して荷物などを運ぶことができる。

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▲水陸両用車の「AURORA 850SX HUNTMASTER」

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▲合計八輪で悪路の走破性も高い

「ドローンエリア」で展示されていたのは、VirtualFinderと連携させたドローンを飛行。災害によって人が立ち入ることができなくなっている場所などを飛行させ、基地局の被害などが遠隔からビデオでチェック可能だ。

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▲ドローンが現場上空で破損した基地局の映像を送り遠隔地でチェックできるシステム

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▲展示されていた長時間飛行も可能な「PD4-XA1」

今回の災害対策訓練で注目のポイントとなるのが「ヘリコプター基地局エリア」のブース。屋外に実際のヘリコプターを用意し、KDDIが開発した小型の移動機地極を搭載、飛行を行う実験を行った。

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▲ヘリコプターへ搭載する小型の移動機地極

この実証実験の背景には、車両型基地局や可搬型基地局は道路が寸断された場合、現地での展開が不可能となる。そんな中でもケータイやスマートフォンからSOSや生存確認ができるよう考え出されたもの。

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▲座席の取り付けるだけでセットできる

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▲ソフトケースで作成した小型基地局

移動基地局を搭載したヘリコプターで150mほどの上空を飛行しながら移動し、地上や海上にある端末からの電波を受信する。接続回線の有無によって「単独型」、「連携型」の2種類ある。「単独型」は人命救助が主目的で、ヘリコプターに小型基地局と一緒に同乗している担当者とローカル通話やメッセージやりとりが可能。災害で周囲の基地局がダウンし、SOSを発信できないようなときに、KDDIのヘリコプターが飛んでくるのが見えれば、そのヘリコプターとつながり、ヘリコプターの搭乗者へと連絡ができるという感じだ。

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▲「単独型」の運用イメージ

「連携型」は主に通信確保が目的。ヘリコプターに搭載した移動基地局が衛星回線などを介してセンター設備につながることで、通常の通話やインターネットへの接続まで行えるようになる。

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▲「連携型」の運用イメージ

今回は実証実験ということで、実用化にはまだまだハードルが高い。特に法整備が問題で、そもそもモバイルの基地局は、自由に移動しながらアンテナの方向や出力を変えて運用することは想定しておらず、免許も交付されない。車載型・可搬型基地局も設置場所までの移動はできるが、運用時はその場に固定するのが前提。KDDI担当者は「非常事態のときだけでも、こういった基地局が運用できるような法整備ができれば」と話していた。

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▲実際に運用をイメージしたフライトテストが行われた

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▲筆者もヘリコプターに搭乗して体験

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▲基地局の隣に担当者が座り、地上の端末からの電波状況をチェックするといった運用になる

通話や通信が重要なインフラと位置づけられるようになり、特に2011年の東日本大震災を契機に、今回災害対策訓練を行ったKDDIをはじめ、各社このような災害対策に力を入れている。使う機会がないのに超したことはないが、災害など非常時でも安心してケータイやスマートフォンが使えるよう対策をしていることに心強さを感じさせる訓練だった。

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▲避難所などに設置される充電器やWi-Fiアクセスポイント、衛星電話なども展示

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▲充電機には急速充電タイプも登場し、より多くの端末を素早く充電できるようになっている