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日本から地球の反対側まで、中継局や人工衛星を経由せずに直接電波を届けられる日本唯一の送信所「KDDI八俣送信所」をKDDIが報道公開しました。

「KDDI八俣送信所」は、KDDIの前身となる国際電気通信株式会社が1940年に開設した送信所です。現在はNHKの海外向けラジオ放送「ラジオ日本」の放送業務を受託しています。

同送信所が地球の反対側まで電波を届けられる理由は、電波の一種である「短波」を利用しているためです。短波とは電磁波のうち3〜30MHzの周波数帯のことを指し、上空200〜500kmの電離層と陸地や海面で反射しながら進む性質があるため、外国や南極、地球の反対側といった遠く離れた場所でも受信することができます。

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この「短波」はかつて国際通信に利用されていましたが、その後海底ケーブルや人工衛星の発達によって、国際通信の主役ではなくなりました。

しかし、遠隔地まで電波を届けられる性質上、有事や災害によって中継局や海底ケーブルなどの通信インフラが破壊されても、短波ラジオを持っているだけで世界中のどこにいても日本からの情報を得られるため、国際通信の手段として現存しています。

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東京ディズニーリゾートとほぼ同じ面積に広がる巨大アンテナ群

この短波を送信するための施設が、茨城県古河市の東京ディズニーリゾートとほぼ同じ敷地面積に広がる「八俣送信所」です。ここには、200kW送信機が5基、100kW送信機が2基設置されています。

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そして、圧倒されるのが巨大な15基のカーテンアンテナ群です。カーテンアンテナは高さ70mと35mの鉄塔に2面で展開されており、これがセット構成となって短波帯の全周波数をカバーします。また、予備としてLPアンテナを3式備え、こちらは100kW送信機を利用しています。

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同施設はなぜ茨城県古河市に立地しているのでしょうか。そこには明確な理由がありました。担当者によると、国際放送を担う短波送信所は広い平地が必要で、積雪や台風が少なく、さらに海から遠く塩害がない立地である必要があります。担当者はその条件を満たす立地について『日本のどこを見ても茨城県古河市しかありえない』と話します。

また、竣工当時は戦時中にあたり、同じく茨城県古河市にあった名崎送信所とともに、軍事関連の国際放送を行っていました。1971年に国際放送が八俣送信所に統合され、以降八俣送信所が日本唯一の国際放送を担う短波送信所となっています。

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なお、鉄塔が群立するユニークな景観ゆえ、茨城県古河市から「観光資源として夜間にライトアップしないか」という提案があったとのこと。しかし、日本唯一の国際放送を担う短波送信所という性質上、セキュリティ上の懸念からライトアップは断念したそうです。現時点でも一般公開はされていませんが、遠くから眺めるだけでも圧巻なので、ドライブなどでの目的地にするのも良さそうです。