武田総務大臣

武田良太総務大臣は11月27日の記者会見で、記者から質問を受ける形で新聞各紙に掲載されたKDDI高橋誠社長のインタビュー記事に言及。菅内閣が求める携帯料金の値下げについて、KDDIがメインブランドのauではなく、サブブランドのUQモバイルで対応したことについて、auからUQモバイルへの移行コストが最大で1万5500円かかる点を問題視しました。

また、高橋誠社長が『国に携帯料金を決める権利はない』と発言したことにも言及。武田大臣はKDDIが『公共の電波を使っている立場』であることを強調し、値下げなどに関連して『国民に対して誠意を見せてほしい』とも発言していました。

この大臣発言について、KDDI側はコメントを発表。『移行に係る手数料などについてのご指摘は真摯に受け止め、その内容の見直しも含め前向きに検討していきたい』とし、今後、auからUQモバイルへ移行する際の手数料の引き下げを検討すると明かしました。

総務大臣会見の質疑応答の全文は下記のとおりです(該当部分を抜粋)


問:

携帯電話の値下げに関してです。大臣が先週金曜日に発言されたことに対しまして、KDDIの社長が複数の新聞で、すぐには値下げには応じられないという趣旨の発言をされています。こうした発言への受け止めと、先週金曜日の発言を含めて、携帯大手にどんなことを要望されているのか、可能な範囲でもう少し具体的に教えていただければと思います。

答:

個別企業のコメントに関して、私の方からコメントは差し控えたいところでありますけれども、指摘された記事、私も読ませていただきました。非常にがっかりしました。我々が、なぜメインブランドの料金値下げに触れたのかを、もう少し理解していただきたいと思っております。

サブブランドにおいて、低廉なプランを用意した。この選択肢の広がりに対して、私は一定の評価をいたしました。しかし、一向に、ここに皆さんが移ろうとしない。それはなぜなのかを多くの方々から意見を聞いたり調べたりしましたら、そこの間に大きな壁があったんです。

それは何かといえば、我々が再三指摘した「囲い込み策」、「ハードル」が存在したわけであります。要するに、同じ事業者でありながら、例えば、メインからサブに移る時には、多くの手続がいるんです。そして、その間には手数料として1万5,500円かかっているんです。低廉なプランを作りました。それは、私は評価したいと思います。

高いプランから低廉のプランに移る時には、複雑な手続と1万5,500円という手数料を取るんです。これでは低廉化に向けた動きに対して、利用者は乗ってこないと思うんです。

料金値下げに向かって走っているのに新たに料金を取る制度を設けている。しかも、他社に移るのではなくて、自分の会社の中の、同じ事業者の中の別のプランに移るために、なんでこれだけ多くの手続と手数料を取るんだと。これは、私は今、消費者庁とともに連携して、自由な選択を阻害する制度については、しっかりとした指導をしてまいりたいと考えているんです。

一方で、サブブランドからメインブランドに移る時、安い方から高い方へ移るところの優遇策は0円なんです。つまり、むしろ逆に、安い方から高い方に誘導しているような感じがある。そして、もう1個言えるのは、まさに、料金が高いところからどの顧客も出て行かないようにしっかりとした制度設計されているのが今の現状なんです。

であるから、「これはいかん」と思って、私は、であるならば、メインブランドの方の価格を下げてもらうしか、国民に実感を持ってもらえないと判断した。それが、私のコメントだったんです。

しかも、サブからメインにいった時は、月額割引で3万5,000円という特典も付くんです。ですから、明らかに低いブランドに移行する推進運動ではなくて、高いブランドにむしろ移す。高いブランドに囲い込みをするスキームを堅持しているのが今の現状なんです。ですから、全然ユーザーの方々が、料金が下がったという実感が湧かない。何の意味もないんです。私はそう思います。

問:

主力ブランドの中でも、容量の低いものを使う人が多いという中では、主力ブランドの中でも容量が少ないものの料金に対する問題意識が、大臣の値下げの要請にはあるんでしょうか。

答:

いや、私が再三言っているのは、このコロナ禍の中において国民の財産である公共の電波を使った公共性の高い事業が、いろんな複雑なスキームを作って、家計の負担に重くのしかかって、みんな苦労している時に、なんで新たにお金を取ろうとする制度を作るのか。もうちょっと公共性を見つめてほしいと私は言いたいんです。

もう1個、加入する料金プランと実際のデータ通信量ですね。加入する料金プラン別で見た利用者の割合ですけれども、月上限20ギガバイト以上のプラン、これは、比較的高いプランです。42.8%の方がこれを利用している。ここは、要するに2ギガバイト以上7ギガバイト。容量の低い方はこれだけしかいない。ですから、シェアはほとんどが20ギガバイト以上のプランの利用者なんです。

では、この方々が全部この能力を使い込んでいるかというと、そうではない。実際に使っているのは、月20ギガバイト以上使っている人は11.3%。42.8%の中の11.3%の人は、たったこれだけのものしか使ってない。しかし、無用な部分が料金に乗っているんです。それだけ、国民にとって制度をわかりにくくしているんです。

ですから、私はいつも言っているように、利用者の皆さんには、もう1回皆さんが使っている実態を見つめ直してくださいと。使わない部分のために毎月お金を払っているというのが現状なわけですから。それは何のためかと言ったら、皆さんこれを知ってしまったら当然プランを変えると思いますよ。しかし、知らないってことは、よく説明をしてない、また、わかりにくいシステムになっているからだと私は思うんです。

こういったところもしっかりと誠意を見せて、国民の財産の公共の電波を使った事業なわけですから、こういった実態を自ら見つめ直して、改める努力をしてもらうことが私は重要だと思います。それが国民に対する誠意だと思います。あるべき姿だと思います。

問:

関連してお伺いします。同じKDDIの社長のインタビュー記事の中で、国に携帯料金を決める権限はないんだというような発言も載っていました。今、大臣のご説明で、まさに公共の電波を使う事業者ってことを、大臣が、かねがねおっしゃってて、それを意識した対応を求めていらっしゃったと思うんですけども、それも踏まえて、この発言についての受け止め、お願いできればと思います。

答:

先ほど申し上げたように、コメントにあえてコメントするというのはいかがなものかと思いますけれども、非常に私はがっかりしたし、残念な思いもいたしました。

何度も繰り返しますように、公共の電波を使った事業者が、コロナ禍、国民生活は非常に窮しておるし、その負担が重く大きくのしかかってきているのが現状の中において、相当な利益を上げている。その利益は各家庭の固定費にのしかかる負担の積み重ねなんです。

今、コロナ禍において、すべての人たちが協力して、ともすれば自分のできる限りの犠牲を人にふるまう気持ちでコロナに打ち勝っていって、みんなで力を合わせようとしている時に、全く国民生活に還元しようとしない。まだ、今でもこういった複雑なプランを使って更に国民から別に料金を取ろうとする、こうした姿勢が果たして国民から納得が得られるのかという問題に対して、私は指摘をしていきたいと考えております。

この真の目的は、我々は、利用者のほうにしっかりとした実感を持っていただきたいという思いでアクション・プランを用意して、公正競争環境の整備に努めているわけであります。そのためには、わかりにくい乗り換えの自由選択のハードルを徹底的に除去してもらわなければいけないのです。

国が料金を決めるとか決められないというレベルではなくて、公共性の高い事業として、国民に対してどういうサービスを提供しなければいけないのかぐらいは、常識で考えてわかると思うんです。そこのところは、自分の判断で正しい道を歩んでいただきたいと思います。

自分の会社の中での乗換えであるにも関わらず、手数料と多くの手続を踏まなければ、新たなる低廉なプランの方に乗り換えられないという、国民の気持ちをもっとわかっていただきたいし、この実態の差が重くのしかかっていることをしっかりと国民の方に知っていただく努力をやっていただきたいと思います。

公共の電波を使っているという立場を十分認識した上で、コロナ禍における社会貢献、日本を代表する企業ですから、利潤を追うのはわかりますけれども、その向こうには人や社会に貢献することが企業のある意味で大きな役割と思いますので、しっかりと実行に移して、国民から信用され、納得のいく制度を生み出して、低廉化を生み出していただきたいと考えています。

問:

自社ブランドの乗換えのハードルを下げれば、メインの価格を下げる必要はないのではないですか。

答:

下げていませんから。

問:

いや、下げればです。

答:

「下げてから来てください」という感じです。いくら我々が「下げてください」と言っても下げないわけですよね。

問:

それは、ずっと言い続けられてきたということですか。

答:

私、記者会見でもずっと言ってるじゃないですか。

問:

10月末の記者会見で、各社とアクション・プランというものに対してしっかり対応していただいているとおっしゃってますよね。

答:

それは、新しい選択肢を増やしたという部分なんです。ただ、選択肢に中身がないですよね。そこの間に高いハードルがあるわけですから。ハードルを取っ払ってくださいと。選択の自由をしっかりと確保してくださいと言っているわけですから。

問:

そのハードルがあるっていうことはご存じの上で、対応していただいているというコメントってことですか。

答:

いや。ハードルが自由な選択を阻害しているわけですよね。これを取っ払ってくださいと、何度も私は言っているわけです。その上で、初めて新たなるサブブランドが活きてくるわけですから。ハードルを取っ払わない中で、いくらサブブランドを作ったところで意味がないんです。

問:

おっしゃることはわかるんですけど。

答:

わかりますよね。

問:

今日そのことの指摘は初めておっしゃいましたから。

答:

私は、かねてから言っています。ハードルは取っ払ってくださいと。毎日来ていますか。

問:

来ていますし、各社のプランを評価された会見を。

答:

新たなる低廉のプランをきちっと用意したことは評価します。しかし、それは絶対条件として、乗換えのハードルをなくさなければ意味がないということを言いたいのです。

問:

そろそろお時間なので。ありがとうございました。

答:

はい。そう理解してください。

via:総務省KDDI高橋誠社長インタビュー(日本経済新聞)