▲G'zOne TYPE-XXには、G'zOneを使い続けるユーザーを巻き取る狙いもあるという

3Gの停波に向けたカウントダウンが始まり、22年3月にその先陣を切るKDDIは“巻き取り”の動きを加速させています。12月10日には、カシオのデザイナーが関わることで復活を遂げた「G'zOne TYPE-XX」を発売。依然として残るG'zOneユーザーを移行させるのが、KDDIの狙いです。「3Gとりかえ割」を使えば無料で入手可能な点からも、その思惑が透けて見えます。

SDGsをうたい、ボディに再生プラスチックを用いたシャープの「AQUOS wish」をコンシューマー向けの端末として採用したキャリアも、現時点ではKDDIのみ。廉価モデルを拡充させることで、巻き取りを進めたい意図が見え隠れします。AQUOS wishも元々の価格が安価な端末なため、3Gからの移行キャンペーンを使えば限りなく無料に近い価格で手に入ることになりそうです。

▲AQUOS wishを真っ先に導入したのもKDDIだった。移行を促進するための廉価モデルが求められている

KDDIの3Gユーザーは、残すところあと3カ月と少しで端末を利用できなくなってしまう格好ですが、停波に関して誤解が広がっているのは少々気になるところ。新聞やテレビなど(の一部)で、「ガラケー(フィーチャーフォン)終了」と伝えられることがあるからです。

Engadget読者にはここを誤解する人は少ないかもしれないため、釈迦に説法になってしまいますが、3Gや4Gはあくまで通信の世代の話。正確に言えば、端末の種類とは関係がありません。

▲3G停波とガラケー終了を結びつけた報道は多い。Googleのニュース検索でも、多数の記事がヒットする状況だ

実際、KDDIが11月下旬に案内したとおり、3Gの停波によって一部のスマホも利用ができなくなります。分かりやすいところで言えば、iPhoneは「Phone 5s」や「5c」といった端末が非対応になります。iPhone自体は、「iPhone 5」で4GであるLTEに対応していましたが、音声通話の際には「CSフォールバック」と呼ばれる3Gへの切り替えが必要になります。LTE上で音声通話をやり取りするVoLTEは「iPhone 6」からの機能。iPhone 5sや5c以前のiPhoneが利用できなくなるのは、そのためです。

▲写真はiPhone 5。LTEには対応しているが、VoLTE非対応のため利用ができなくなる

これはAndroidも同様で、Xperiaの場合は比較的新しめの「Xperia Z3」以前の端末がVoLTEやLTEに非対応。ここには、根強いファンを生んだ「Xperia Z Ultra」も含まれます。Androidにも3Gのみの端末が多数存在しますが、こうした端末が軒並み非対応になるというわけです。

「ガラケー終了」というと、折りたたみケータイだけが使えなくなるように聞こえますが、さにあらず。かなりの数のスマホも、3G停波と同時に利用できなくなることがお分かりいただけるはずです。

▲VoLTE導入と同時に発表された端末だが、au版のXperia Z3はVoLTEに非対応だった。このモデルも3G停波以降、利用ができなくなる

逆に、いわゆるガラケー型の端末でも、4GやVoLTEに対応してさえいれば、機種変更の必要がなく、そのまま利用を続けることができます。冒頭で挙げたG'zOne TYPE-XXのような端末はその1つ。こうしたモデルは、LinuxをカスタマイズしたAndroidのようなOS(Androidと呼んではいけないのはお約束)を採用しており、VoLTEでの通話や4Gでのデータ通信を利用できます。

ただし、あくまでカスタマイズOSのため、Googleの各種サービスは使えず、アプリのインストールも厳しく制限されています。3G停波後もガラケーを使い続けたいと思ったら、こうした端末に乗り換える選択肢は残されています。

▲京セラ製の「かんたんケータイ KYF32」。どこからどう見てもいわゆるガラケーだが、3G停波後も利用できる

新聞やテレビ(の一部)は伝わりやすさ重視で「ガラケー終了」と言い換えていると思われます。確かに、(大部分が3Gの)ガラケーが使えなくなり、(比較的4GやVoLTE対応の端末の方が多い)スマホは使い続けられますが、ケータイやスマホは契約者の母集団が多いだけに、カッコでくくった少数派もかなりの数にのぼります。ディテールが不正確だと、あらぬ誤解を与えかねません。

例えば、3GスマホやVoLTE非対応のスマホを持っている場合、まだまだ使い続けられると思って機種変更をしないまま、突然通話ができなくなってしまうといった事態が考えられます。

OSアップデートが打ち切られている端末も多いため、今も使用に耐えられるかどうかは微妙なところですが、「URBANO L03」(14年6月発売)あたりを使い続けているシニア層がいる可能性はありそうです。

KDDIも巻き取りのため、あの手この手で連絡をしているため、停波前のタイミングで気づくことはできそうですが……。

▲「URBANO L03」のような端末を使うシニア層は、若い世代と比べ、機種変更の頻度が少ない。こうしたユーザーがスマホだからと安心してしまう可能性もある

その意味で、より問題なのが、すでにVoLTE対応の4G LTEケータイに乗り換えている人が、「ガラケー終了」報道を見て不要な機種変更をしてしまうこと。機種変更にはコストだけでなく、手間もかかるからです。

キャリアショップなどの店頭でも、3G停波を理由にスマホへの機種変を促すPOPやポスターを見かけるため、キャリア自身や販売店の伝え方にも思うところは多々ありますが、通信方式と端末の種類はきちんと分けて伝えてほしいと感じた次第です。