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ソフトバンクがオンライン専用ブランド「SoftBank on LINE」を発表した。月額2980円で月間20GB。この設定は、NTTドコモのオンライン専用プラン「ahamo」と全く一緒。いわゆる「横並び」というやつだ。

ahamoはあくまで料金プランであり、NTTドコモとしては頑なにサブブランドを作ろうとしなかった。

一方、ソフトバンクにはワイモバイルというサブブランドが存在する。ワイモバイルでahamoに対抗するという見方もあったが、ワイモバイルはすでに街中にショップが存在するなど、リアルのサポートに対応できるブランドとなっている。リアルのサポートをしつつ月額2980円でahamoに対抗するのは無理がある。結局、ソフトバンクとしては、これまでオンラインを中心に展開していた別会社のLINEモバイルを子会社化して吸収合併し、サブブランドとして提供した方が、ahamo対抗に相応しいと判断したのだろう。

絶対に失敗できないKDDIの”秘策” 

NTTドコモ、ソフトバンクと相次いでオンライン専用料金プランやブランドを投入する中、気になるのがKDDIの動向だ。

KDDIは「来年1月に料金体系を見直す発表をする」としている。

KDDIは10月28日にUQモバイルで20GBで3980円の料金プランを発表したものの、武田良太総務大臣から「メインプランを値下げしないのが問題。誠意を見せろ」と、こっぴどく怒られた。高橋誠社長が一部メディアのインタビューで「国が携帯電話料金を決めるものではない」と語ったと報道されるやいなや、武田総務相からは「ガッカリした」と三行半を突きつけられた。

NTTドコモが「ahamo」を発表した翌週にAmazonプライムとセットになった料金プランを発表したところ「ahamo対抗になっていない」「割引後の金額が強調されており、不親切」とSNSで大炎上した。

中身的には従来と変わらないプレゼン手法であったのだが、ahamo以降、世間の空気が変わっていたことを読み違えたのが敗因だった。

KDDIとしては、1月に予定している対抗料金プランの発表は、もはや絶対に失敗できない。おそらく、ahamoやSoftBank on LINEの内容や発表会を徹底的に調べ上げ、さらにネットの反響などもチェックして上で、対抗プランを練っていることだろう。

そんな中、KDDIの対抗プランにおいて、ヒントとなりそうなのが、10月30日に出された「KDDI、オンライン特化のMVNO新会社『KDDI Digital Life』を設立」というプレスリリースだ。

KDDIでは、デジタルネイティブのユーザーに向けたMVNOを作ろうと、すでにシンガポールを拠点に実績を持つCircles Asia社とパートナーシップを結んでいるのだ。

つまり、若者をターゲットにしているahamoよりも先に世間には「KDDIがデジタルネイティブ向けのオンラインに特化したMVNOをやります」と宣言していたのだった。

KDDIでは新たにKDDI Digital Lifeという会社を設立。2021年春のサービス開始に向けて準備を進めている。

「デジタルネイティブ向け」「オンライン特化」ということで、おそらくahamoやSoftBank on LINE対抗として、KDDI Digital Lifeを担ぎ上げることになるのではないか。MVNOとして準備を進めていたようだが、LINEモバイルのようにKDDI本体に取り込んでしまい、KDDIが提供するブランドとして展開することも予想される。

ahamo対抗の鍵を握っていそうなCircles Asia社とは

では、Circles Asia社とはどんな会社なのか。Circles Asia社が提供するサービスをチェックすることで、KDDIによる「ahamoとSoftBank on LINEへの対抗策」が見えてくるのではないか。

Circles Asia社は2016年に設立されたシンガポールの格安SIM会社で、ここ最近、急成長を遂げているスタートアップだ。次々に投資家から資金を調達し、現在はシンガポール、台湾、オーストラリアで事業を展開。他のアジア諸国への進出を狙っている。

日本での展開を考えた際、KDDIに声をかけたことで、今回のパートナーシップの話が実現した。

Circles Asiaは携帯電話会社が提供するサービスなどがプラットフォーム化されているのが特徴だ。

シンガポールにはSingtel、Starhub、M1というキャリアが存在するが、格安SIMとしてCircles Asia社が「Circles Life」というブランドを提供し始めたことで、3大キャリアが脅かされつつある。

 Circles Lifeでは、現在、20GBで月28シンガポールドル(約2170円)で提供する。まさにahamoやSoftBank on LINEが提供する20GBと同じ設定だ。もちろん、金額的には国によって物価が異なるため、同じにはならないが、いい線をついている値付けだ。 

Circles Lifeではオプションとして20シンガポールドル(1550円)を支払うと100GBを追加できる。

Circles Lifeが人気になっている背景は、全てオンラインで手軽に新規契約ができるという点にある。国際ローミングや国際通話などのオプションも自分でチェックを入れて追加するだけだ。

あとはSIMカードが届くか、eSIMで使えるようになる。ちなみに日本ではeSIMをメインにしていくという話であったが、KDDIのメインプランとなればeSIMだけでなく普通のSIMカードも対応してくるかもしれない。

 政府からの要請並びにahamoとSoftBank on LINEへの対抗だけを考えるならば、20GBプランだけを提供すればいいのかもしれない。しかし、Circles Lifeが受けているのは、オンラインで気軽に容量を変えられるという点にある。

KDDIの高橋誠社長はCircles Lifeについて「MVNOだから安いのではなく、実際には、MNOのARPUよりも高いケースもあるようだ。今月はNetflixでドラマを見るために多めのデータ量にしていたが、見終わったので来月は少なくしよう、といったことができる。いろんなことをトライしたい」を抱負を語っていた。

 KDDIが「NTTドコモとソフトバンクの真似っこ」で横並びのプランにならずに、月額2980円、20GBプランを作るのならば、いかにCircles Lifeを活用し、他社にはない個性を出していけるかが重要となってきそうだ。


(訂正:2021/1/12 11:40)初出時に「SoftBank on LINE」の月間データ容量を30GBと記載しておりましたが、正しくは20GBです。訂正しお詫び申し上げます。