京大、片方向のみ電気抵抗ゼロの超伝導ダイオード効果を持つ材料を発見

発熱しにくい電子回路実現につながるかも

Munenori Taniguchi
Munenori Taniguchi, @mu_taniguchi
2020年08月24日, 午前 06:30 in kyoto university
0シェア
FacebookTwitter
Kyoto University
Kyoto University

京都大学化学研究所および理学研究科、や大阪大学理学研究科からなる研究チームが、一方向のみ電気抵抗がゼロになる、超伝導ダイオード効果を初めて観測したと発表しました。

ダイオードとは、2種類の半導体材料を接合した素子で、2つの電極間で一方向にのみ電流を流す性質を備えます。この素子を使うことで、周期的に電流の方向が入れ替わる交流を直流に変換したり、電気回路の過電圧防止に利用したり、ラジオの電波から音声信号成分を取り出したりするのに用いられます。

ただし、半導体は電流を流す状態でも電気抵抗があるため、電子回路はどうしても発熱によるエネルギーロスが発生します。この抵抗値を限りなくゼロ、つまり超伝導状態にできれば、発熱の少ない低消費電力な電気回路の設計が可能になります。

今回の研究では、超伝導特性を持つニオブ、バナジウム、タンタルを、スパッタ法と呼ばれる成膜技術で三層構造の結晶格子(超伝導人工格子)の薄膜試料としました。そしてこの試料の薄膜面内や、電流と直交する方向に外部磁場をかけると、印加する電流の方向によって、流れる電流の限界値(臨界電流。子これを超えると超伝導が維持できず抵抗値が増え、常伝導状態になる)が異なることがわかったとのこと。そして電流を順方向に流したときと、逆方向に流したときの臨界電流が外部からの磁場によって大小の関係を生み出すことも判明。

この臨界電流の差を利用し、流す電流の方向と磁場をかける方向に応じて試料を超伝導状態と常伝導状態に切り替えられる、つまり超伝導ダイオードとしての機能を持たせられることがわかりました。このダイオードの切り替えは0.02T(テスラ)という比較的弱い磁場でも行えるとのことです。

超伝導ダイオードが実用化できれば、非常に低発熱な電子回路を作ることが可能になります。しかしまだこの研究は初期段階であり、臨界電流が電流の方向などで変わるメカニズムなどにはまだ不明な点が多く残されています。これらは今後も理論による推測と実験による解明が必要になるとのこと。またより電子回路への応用に適した新たな材料の探索も行われることになりそうです。

source:Nature, Kyoto University(PDF)

 
新型コロナウイルス 関連アップデート[TechCrunch]

 

関連キーワード: kyoto university, science, supercurrent, superconductivity, diode, tommorow, news, gear, tomorrow
0シェア
FacebookTwitter