スタンフォード大学とカリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究チームが、IPS細胞から試験管培養した脳細胞が、実際の胎児と同様の速度で成長することを発見しました。実験では、20か月にわたって実験室で育てられた脳オルガノイドを使った初めての分析で、それらが人間の脳のように順調に成長したことを確認しました。

この研究は、人間の脳のミニチュア版を培養することで、認知症やてんかん、自閉症、統合失調症といった、いまだ謎の多い脳に関する病気の研究に役立てることを考えています。また向精神薬を使用した際のいろいろなタンパク質への影響なども調べる予定をしています。

研究者らは20か月培養した脳オルガノイドの遺伝子解析でその発達速度を調査し、実験室で育てたミニチュア脳が250〜300日で出生の頃の脳(早産児)とほぼ同じ成熟状態にあることを確認したとのこと。研究リーダーのアーロン・ゴードン氏は「培養された脳オルガノイドが、約280日で出生後の成熟レベルに達し、神経伝達物質のシグナリングで知られる生理的変化を含む脳の反応を再現し始めた」と述べています。

実験室で育てられた脳細胞は一般に、胎児の域を超えて発育しないと考えられていました。従って今回の早産児の脳に近い電気信号的反応は注目に値するのだそう。そして、この研究を進めることで脳が成長を続けられるようになれば、統合失調症や認知症などの成人発症型疾患の研究にも役立てられるかもしれません。

論文の上席著者ダニエル・ゲッシュウィンド氏は「これまで誰も脳オルガノイドをこれほど時間をかけて成長させることができなかった」と述べ、「成長した脳オルガノイドが正常な人間の発達の多くの側面を再現し、人間の病気を研究するための良いモデルになる」と将来の研究用に期待を述べています。

ちなみに、早産児と同様とはいえ出生後の脳のレベルにまで成長しても、脳そのものを完全に再現しているわけではないため、実験用の脳モデルには意識などは備わらないとのことです。

Source:Nature Neuroscience}
via:Neuroscience News, UCLA Health