「全地球の高速通信網」に一歩、成層圏から地上のLTEエリア化に成功

ソフトバンク子会社と米Alphabet子会社が共同実験

小口貴宏(Takahiro Koguchi)
小口貴宏(Takahiro Koguchi), @TKoguchi787
2020年10月8日, 午前 11:40 in hapsmobile
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Googleを傘下に置く米Alphabetの子会社Loonと、ソフトバンクの子会社HAPSモバイルは、成層圏の無人電気飛行機から地上をLTEエリア化する共同実験に成功しました。

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この実験は、米国ニューメキシコ州で現地時間の9月21日に実施したもの。HAPSモバイルが3年をかけて開発した電気飛行機「Sunglider」に、約30kgの無線機を搭載し、ソーラーパネルで発電しながら5時間以上にわたって成層圏を自律飛行。その際にMIMOを用いたLTE通信を実施しました。

その結果、地上の商用スマートフォンが同飛行機が搭載する無線機を経由して、LTEによる高品質・低遅延のビデオ通話に成功しました。また屋内だけでなく屋内での通信にも成功しています。つまり、成層圏を飛ぶ飛行機によって地上のLTEエリア化に成功したわけです。

実験に使用した周波数は、スマートフォンと飛行機間がLTE Band 28(700MHz帯)、飛行機と地上ゲートウェイ間が70〜80GHz帯です。また、成層圏通信ネットワーク向けとして検討が求められている周波数帯の一部について、国際標準化に向けた電波伝搬基本測定も実施しています。HAPSモバイルとLoonは、今後も協力して標準化団体の3GPPやITUへ標準化を働きかける方針です。

LTEや5Gなど高速なモバイルネットワーク網の整備が進むなか、山間部や過疎地域、海上、開発途上国など、陸上の基地局を用いるには採算が合わない『ラストワンマイル』のエリア化が課題となっています。そのため、地上に基地局を置くのではなく、成層圏や宇宙からダイレクトに地上に高速通信を展開する構想が注目を集めています。

日本ではソフトバンクのほか、楽天が人工衛星から4G・5Gネットワークの展開を目指す米ベンチャー「AST&Science」に出資しています。楽天の三木谷浩史社長は仮に構想が実現した場合、楽天モバイルでも同技術を早期に導入し、日本全国津々浦々のエリア化を図る方針も示しています。

なお、技術開発はまだまだ途上にあります。ソフトバンクグループが出資し、AST&Spaceと同様に、宇宙からの全地球高速通信サービスの提供を掲げていた「OneWeb」は2020年3月に破産を申請しています。しかし、仮に実現すれば、地上のどんな場所でも低コストで高速通信できる未来が到来することになります。

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Source:HAPSモバイル


 

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