南予地域のJR特急や路線バスが3日間6000円で乗り放題の観光型MaaS実証実験スタート:旅人目線のデジタルレポ 中山智

アプリのインストールや決済登録が不要なのが旅行好きには嬉しいポイント

中山智 (Satoru Nakayama)
中山智 (Satoru Nakayama), @yenma
2020年10月16日, 午後 05:00 in kddi
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旅人ITライターの中山です。愛媛県南予地域で10月29日からスタートする「観光型MaaSの実証実験」について、現地松山にて発表会が開催されたので取材してきました。

今回の実証実験は、KDDI、南予広域連携観光交流推進協議会、四国旅客鉄道、全日本空輸、伊予鉄バス、宇和島自動車、瀬戸内ブランドコーポレーション、愛媛県バス協会、石崎汽船の9つの企業や団体が参画しており、愛媛県の松山および南予地域、そして広島港と呉港が展開エリアとなっています。

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▲南予地域に関係する9つの企業や団体が参画

ちなみにMaaSとは「mobility as a service」の略。現在交通手段というとバスや鉄道、航空からレンタル自転車などいろいろあります。さらに交通系ICを使って鉄道やバスに乗ったり、スマホのアプリサービスで自転車を借りたりできますが、それぞれのサービスで決済登録などをする必要がありめんどうです。そこでこういった移動手段をITでシームレスに結びつけて、便利に利用できるようにするシステムがMaaSです。

今回の実証実験では、南予地域に関係する交通系企業が参画しスマートフォンを使って「えひめ いやしの南予デジタルフリーパス」を発行。JR四国の特急・普通列車自由席、伊予鉄グループの路線バス、宇和島自動車の路線バスが乗り放題で6000円(連続した3日間有効・小児3000円)となっています。さらに松山空港または松山観光港からのリムジンバスも利用できるパスが7000円、利用エリアを松山から内子町と大須市に限定したJR線のみ対象の「内子・大洲町並散策1日パス」も2840円(小児1420円)で発売されます。

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▲実証実験のエリアは南予地域。一部列車や路線バスは適用外となるので詳細は公式サイトをチェック

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▲エリア内の駅などに掲載されるNFC+QRコード

パスの購入方法はスマートフォンからのみ。エリア内の駅や港、バス停にNFCタグとQRコードを記載した案内が貼られているので、NFC搭載スマホでタッチするかカメラアプリでQRコードを読み取ります。すると自動でパス購入サイトにアクセスできるので、利用したいパスを選んで決済するだけ。このためにアプリをインストールする必要はありません。

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▲パスの購入手順

パス購入の導線としてはANAの公式アプリとも連携しています。ANA公式アプリに用意されている「空港アクセスナビ」を使うときに松山空港と広島空港発着便の予約がある場合、もしくは松山空港および広島空港を指定した経路検索すると、「えひめ いやしの南予デジタルフリーパス」のバナーが表示され、タップすると購入サイトへとアクセスできるようになっています。

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▲基本的にはNFCタグにスマホでタッチすれば購入画面にアクセスできる

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▲ANAの公式アプリでもパス購入サイトへのバナーが表示される

また決済方法もGoogle PayとApple Payそしてクレジットカードに対応。すでにGoogle PayやApple Payを使っているユーザーなら、今回のために別途決済方法を登録する必要が無く簡単に決済できます。パスを購入した状態で同じくNFCタグやQRコードを読み取ると、購入したパスが表示されるので、鉄道やバスに乗り降りする際に係員に提示すれば利用できるわけです。

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▲パス購入後はNFCタグにタッチすると、購入したパスが表示される

今回南予地域で実証実験が行われるポイントとして、KDDIの理事 経営戦略本部 副本部長 松野茂樹氏は「南予地域では全国交通ICカードに未対応。さらにバスは均一運賃でなく旅行者にはわかりにくい」ことをあげています。

実際筆者も今回の取材のため松山空港に訪れましたが、市内へ出るリムジンバスは伊予鉄が発行している「ICい~カード」のみ対応で、SuicaやPASMOなど全国共通ICカードが使えず不便でした。JR四国もICカードとしてICOCAを取り扱っていますが、南予地域はエリア外となっています。

そのため南予地域を旅行者が訪れた際、公共交通機関を使うたびに切符や料金の支払いを現金でする必要があり、旅人的には不便なエリアだったわけです。それがパスを買ってしまえば乗り放題となり、現金も不要なので大変便利になります。

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▲今回の取材で空港を何往復かするため、既存の伊予鉄フリー乗車券を購入しましたが、こちらもコンビニでの購入は現金のみでした

さらに専用アプリのインストールが不要なのも〇。筆者のようにあちこち旅行する身としては、そこに訪れるたびにアプリをインストールしたりサービスに登録する必要があると、利用頻度の低いアプリがスマホに溢れ、多くのサービスをこまめに管理しなければならないのでありがたいのです。

実はKDDIは沖縄でも2月に観光型MaaSの実証実験に参画していて、このときの知見が今回の実証実験に活かされています。

関連記事:沖縄観光を『MaaSアプリ』で快適に、3月31日まで実験。モノレールは半額に

KDDI担当者の話によると、このときの実証実験では専用アプリのインストールとサービス利用のためにクレジットカードの登録が必要というのがハードルになって、現地でサービスを認知したユーザーが実際に利用するのは3割以下にとどまってしまったとのこと。そこで今回は専用アプリを必要とせず、決済方法にもGoogle PayとApple Payを使うことでそのハードルを下げる試みがなされているわけです。

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▲沖縄で行われた実証実験での利用風景。専用のアプリを起動している。

実証実験の期間は2020年10月29日から12月31日まで。パスの購入者には交通機関を乗り降りするごとに貯まるポイントサービスも用意されていて、ポイントは観光施設の入場券に引き換え可能です。

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▲ポイントサービスも用意されている

MaaSうんぬん以前に6000円で南予地域のJR特急や路線バスに乗り放題というのは、乗りもの好きの旅行者にはささる企画ではないでしょうか。筆者もこのパスを使った南予地域の旅行を計画してみようと思います。


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