McGill University
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われわれの住む銀河系(天の川銀河)の内部で、初めての高速電波バースト(FRB)が観測されたのは4月下旬のことでしたが、このたびその発生源に関する研究論文が複数、科学誌Natureに発表されました。

高速電波バースト(Fast Radio Burst:FRB)とは、数分の1ミリ秒から数ミリ秒という、非常に短時間だけ強力な電波が発せられる現象。これまでは天の川銀河以外の、非常に遠い銀河で発生したものが観測されていたのみで、その発生原因なども全くわかっていませんでした。

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研究者らがFRBの原因として考えて来たのは、巨大な恒星が超新星爆発を起こした後に残る中性子星であり、そのなかでもマグネターと呼ばれる非常に強力な磁場を持つ中性子星ではないかというもの。

MIT、マギル大学、ブリティッシュコロンビア大学、トロント大学、ペリメーター理論物理学研究所、カナダ国立研究評議会などの天文学者らは、カナダ・ブリティッシュコロンビア州のドミニオン電波天文台にあるCHIME電波望遠鏡で一連のFRBを観測しました。

そしてこのFRBはその近さから、地球から約3万光年離れた位置にある「ありふれたマグネターのひとつ」SGR 1935+2154が発したものであることが特定できました。

発生源がマグネターであることがわかったことで、研究者らは、マグネターがなぜFRBを発するのかという新たな課題に取り組んでいます。

宇宙における電波放射は、そのほとんどが放射光と呼ばれる、超大質量ブラックホールや超新星残骸(超新星爆発後に残る構成の残存物や星間物質)、銀河内における高温のガスなどによって強力な電波として発生します。

しかし研究者らは、マグネターはまったく別のプロセスで強力な電波を発生させている可能性を疑っています。

FRBでは、電子が磁場とランダムに相互作用して発生するのでなく、とにかく大量に発生します。たとえば電線によって電子を特定の方向に向けるアンテナと同じような何らかの現象が、マグネターの磁場に一斉に作用している可能性があると研究者は仮説を立てています。しかし、それを調べるにはさらなる観測が必要になるでしょう。

研究者は「いま重要なことは、この発生源に関する研究を掘り下げてFRBがどのように作られているかを突き止めることです」と述べています。

source:MIT News, Nature