最近の様子を見ているとそんな感じはないようだが、かつて、いわゆる「洋ゲー」というと大味、大雑把、難しい、説明がない、ぶっきらぼうで、ユーザーフレンドリーではないという印象だった。(個人の感想です。)無論、お国柄の違いもあるだろうし、ローカライズを施す事によってとっつき易くなったものも沢山あると思うので、すべての「洋ゲー」がつまらないというわけではないのだが……。

さて、海外ではアーケードゲームから様々なハードに移植された本作「プライマルレイジ」は、日本ではセガサターンとプレイステーションに移植された。ジャンルは格闘ものなのだが、設定がどうかしている。地球に隕石が降り注ぎ、文明は崩壊。古き神々(恐竜やゴリラ『?』の姿をしている)が蘇り、地球の覇権を巡る熾烈な争いが始まるというもの。つまりここにはあまたある格闘ゲームのように、拳法家も功夫の使い手もボクシングのチャンピオンも登場しない。「あなたにはクンフーが足りないわ」なんて決めセリフも無く、ただ「ウオ~~~!」「グワ~~~!!!」等の咆哮が耳をつんざくばかり。お友達になれそうなキャラクターは一人もいないという有様だ。

ここだけでも中々のトリッキーさ加減だが、グラフィックスが設定に輪をかけてすさまじい。クレイアニメで表現された神々のやけに滑らかな動きも気持ち悪いのだが、通常の格闘ゲームの体力ゲージにあたる、ライフブラッドバーはダメージを受ける毎に減少してゆき、心臓に達すると負けとなる。その下に表示されるのは、ブレインスチームバーというもので、強力な連続攻撃をくらい続けると減ってゆき、脳に達し0になると神様はスタン状態になり攻撃を受け放題になってしまう。戦闘自体も流血が表現され結構なグロテスク表現満載なのだが、このゲームの白眉(?)は何といっても体力の回復方法のエグさにあると言えよう。

格闘の最中、神々の足元には信者と呼ばれる、それぞれの神様を応援する、崩壊した文明の生き残り人類が、まるで原始人(説明書には『退化原人』という表記あり)のような出で立ちでちょろちょろしているのだが。

「危ないからあっちに行ってろ!」

などというごくまっとうなツッコミもどこへやら、最終決戦の前に用意されている体力回復ステージで神様は、それらの人々を食べる事で体力を回復なさるのです。説明書に書かれた文章が振るっている。

「20秒以内にたくさんの原始人や鳥を食べて決戦に備えましょう。」

正にZ級! 日本ではそれ程売れなかったようで、そのためか中古市場では結構な高値で取引されているようだ。こういうのをゲラゲラ笑いながら楽しんでる方々が海の向こうにたくさんいるのですね。


──うえけんWiki──

上野 顕太郎(うえの けんたろう、1963年4月18日 - )は、かなりアナログな漫画家である。デジタルなEngadgetとの接点は編集長が20年前、ゲーム誌編集者であったとき連載を担当したからと言われる。よく使うフレーズは「暇だからな!」......というわけで、かつてプレイした方もいるだろうマニアックなゲームを掘り起こし、あの当時を偲んでいただきます。


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