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私(上野)が小学1年生の頃──というから、もう50年程昔の話なのだが──1962年に開業し今も開園し続けている、実物の鉄道車両の保存展示を中心とした施設「青梅鉄道公園」に度々連れて行ってもらっていた。室内展示に3~4畳分位の広さのジオラマがあり、決められた時間になると、ソノシートの音源に合わせて様々な模型の列車が運転され、お子様だった私は大いに興味をそそられ、ガラスにへばりついて列車の運行を眺めていたものだった。

小学校の高学年の頃、模型列車が趣味の同級生がいて、「HOゲージ」や「Nゲージ」という種類があるという事を知り、軽く憧れたのだが、いかんせん小学生のお小遣いでどうにかなるような代物では無かった。

中学生の頃、はたと「プラレール」なら『HOゲージ』程高額ではないし、自分にでも何とか出来るんじゃねえの!?」という思いに至ったのだが、おもちゃ屋で値段を確認したところ、あの日「青梅鉄道公園」で見た、憧れのジオラマを再現するには、「プラレール」といえどもそれなりにお金が掛かるし、第一それを設置する場所が無いという動かしがたい事実に気が付き(遅い!)ここでもやはり諦めざるを得なかったのである。

それから幾星霜、プラレールを作っているTOMY(現、タカラトミー)から、2002年に発売された本ソフトにより、長年のちょっとした夢が叶う事になったのである。

本作には、小さい物では4.3畳、大きい物では102.7畳(!)の広さとなる数種類のマップが用意されており、ジオラマが作り放題。おまけにゲームらしく、自分の作った路線を運転台視点から見る事も可能。作れるのは路線だけではなく、道路や建物を設置し、車(当然トミカ)を走らせる事もでき、しかも車の車窓モードもあり、とどめに道路に付随する施設、例えば「バス停」を設置し、バスを道路に置き走らせるとちゃんとバス停に停車するというようなギミックも満載というから、本当に至れり尽くせり石川セリという有様だ。

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列車の運行を扱ったゲームと言えば「A列車で行こう」があるが、本作は、ダイヤグラムを組む必要も、経営をする必要も無く、ただ自由に線路を敷いてゆけば良いという、正におもちゃで遊んでいるという感覚。ゲームというよりモニターの中で自由自在にプラレールを思いっきり組み立てられるツールなのだった。

当時の価格で6800円、ヤフオクで調べると2000円台で出品されているので、レールや電車を買い揃えるよりは遥かに安上がりだし、第一場所を取らない。そして全国の親御さんに朗報! どんなに列車を走らせ、レールを敷きまくり、建設の限りを尽くしても、遊ぶのをやめるのはセーブして「プレイステーション2」本体の電源を切るだけ! 面倒なお片づけは一切必要ありません!

元来アナログ派の私だが、本作にはゲームならではの利点が色々あって良いと思うし、実際当時かなり楽しくプレイする事ができた。無論、潤沢な資金と広いスペースを確保でき、情熱がある方ならば、是非リアルなプラレールでジオラマを組み立てて欲しい。ゲームでは感じられない物の質感や重さを感じる筈だ。そして遊んだあとはお片づけを忘れるな! 約束だぜ!


──うえけんWiki──

上野 顕太郎(うえの けんたろう、1963年4月18日 - )は、かなりアナログな漫画家である。デジタルなEngadgetとの接点は編集長が20年前、ゲーム誌編集者であったとき連載を担当したからと言われる。よく使うフレーズは「暇だからな!」......というわけで、かつてプレイした方もいるだろうマニアックなゲームを掘り起こし、あの当時を偲んでいただきます。


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