サウンドノベルと銘打たれ、後の同ジャンルの礎を作った「弟切草」。後年発表された同ソフト会社の「風来のシレン」では回復アイテムとして登場し、新作にも引き継がれている。その「弟切草」に続くサウンドノベル第二弾としてチュンソフトが発表した本作「かまいたちの夜」は、第一弾同様、ゲームの特性を生かした作りになっており、テキストを読み進めながら、しばしば現れる選択肢によって物語の展開が変わってゆく。

それ以前にもアドベンチャーブックと呼ばれる単行本の形で発表された同じ趣向の小説やマンガは存在していたが、選択によって指定されたページを行ったり来たりするのは煩雑だったし、選んだ以外のページが目に入ってしまうという点も問題だった。その点、ゲームにはその様な煩わしさが一切なく、「サウンド」と冠されているように、効果音や音楽が状況を効果的に彩り、時にはアニメーションの様な演出も取り入れられていた。

最初のシナリオをクリアすると、スパイが暗躍する物語や、オカルト的な事件に巻き込まれる物語が追加されてゆくのだが、最初のシナリオ「ミステリー編」が衝撃的だったからか、既に27年前のプレイ体験だからなのか、その後もプレイしたはずなのだが印象が薄い。


では最初の「ミステリー編」はどう衝撃的だったのだろうか。物語は、大雪に振り込められ、陸の孤島と化したペンションに泊まった主人公のカップルが殺人事件に巻き込まれるといった内容で、死体はバラバラ、電話線も切られ(携帯電話はない時代)犯人は今も同じペンション内にいるのでは? という疑いと恐怖。その後第2第3の殺人が起こり……といった具合で、この段階でも逃げ場の無い状況が結構怖く、嫌な感じの音楽や効果音もそれに一役買っているのだが、何と言っても嫌なのは、


主人公の名前を自由に付けられる


という事だったのだが、それまでプレイしてきたゲームには当たり前に存在するシステムなので、プレイを開始した時点ではそれが後に恐ろしい事態になろうとは、気づく筈もなかったのである。

最初から決まっている主人公の名前は「透」と「真理」なのだが、夫婦二人でプレイした我々はうっかりそれぞれの名前を入力してしまったのが運の尽き。途中の選択肢によってはどうしても推理が行き詰まり、連続殺人を阻止する事が不可能になり、そればかりかその魔の手は主人公カップルに及び……、いや~なすすべもなく何度も悲惨な殺され方をしたものです。

酷いものになると、疑心暗鬼にかられた妻に殺されるという最悪なエンディングもあったりして、うんざりするやもうへとへと。今からプレイする方は是非その辺にご注意してほしい。

そして全てのシナリオをクリアするとおまけのシナリオが出現する。SFC版では何度もやり直すのが一苦労だったのだが、後に移植されたプレイステーション版ではチャート機能が付き、シナリオ分岐へのアクセスが楽になったというので、未プレイでコンプリートを目指す方はそちらをプレイしてみてはいかがだろうか。

そればかりか人気の本作は様々なプラットフォームに移植され、ちょいちょい新たなシナリオが追加されているようなのだ。私はSFC版しかプレイしていないのだが、お好きな方は追っかけてみるのもいいじゃない!


うえけんWiki

上野 顕太郎(うえの けんたろう、1963年4月18日 - )は、かなりアナログな漫画家である。デジタルなEngadgetとの接点は編集長が20年前、ゲーム誌編集者であったとき連載を担当したからと言われる。よく使うフレーズは「暇だからな!」......というわけで、かつてプレイした方もいるだろうマニアックなゲームを掘り起こし、あの当時を偲んでいただきます。


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