20年以上前、「ファミ通PS」(後に「ファミ通PS2」)でゲームマンガを連載していた頃、フロムソフトウェアはお気に入りのソフト会社で、「キングスフィールドシリーズ」「エコーナイト」「エコーナイト #2 眠りの支配者」「シャドウタワー」「シャドウタワー アビス」「エヴァーグレイス」「くりクリミックス」「九怨」等を、夢中になってプレイしていた。

中でも「キングスフィールド」の1作目をプレイした時の衝撃は未だに忘れられない。ポリゴンで表現された一人称視点で描かれるダンジョンRPGで、一言で表すなら「硬派」もう一言付け足すなら「ストイック」だ。

ゲーム開始直後、いきなり放り出された王家の墓所を、武器と魔法を使い、モンスターを倒しながらひたすら探索する孤独な道行。入手したアイテムにはどんな効果があるのかの説明も無いので使ってみるしかない。「薬草」「毒消し草」などは他のゲームでも馴染みがあるし、名前を見れば一目瞭然だが、「ヴァーダイト」「ブラッドストーン」は何だろう? 重要なアイテムだったらと思うと、おいそれとは使えない。そして最も衝撃的だったのは主人公のジャン(プレイヤー)が力尽きた時の悲鳴。

「あ~~~~~~~~~~~~~!!」

文字での表現には限界を感じるが、初めて聞いた時には思わずびくっとしてしまった。プレイヤーがまず最初にする事はセーブポイントを捜す事で、そこを拠点に少しづつレベルを上げ、捜索範囲を広げてゆくしかない。モンスターが落とす少ないゴールドをちびちび貯めながら装備を整えてゆく。とまあこんな感じで、序盤は特にユーザーフレンドリーとは真逆の佇まいだが、ゲームに慣れた中盤以降もこんな感じが続きますよ。

あるシリーズで、探索の途中何度か出会い、会話を交わしたキャラクターがいた。殺伐としたモンスター達との攻防の繰り返しが続く中、そのキャラクターと再会するとほっと一息つけたものだったのだが、その後探索を続けるうちに、ダンジョンで倒れている者を発見、近寄って調べてみると表示されるテキスト。

「○○の死体」

イベントやモノローグは何も無く、ただ「○○の死体」。イベントやモノローグがなくともプレイヤーの脳内では色んな感情が渦を巻いている、巻かざるを得ない。これぞ「キングス演出」の真骨頂!しばし茫然としてその場を動けなかったものだ。

かようにハードでライトユーザーは迂闊に手を出しづらい仕様になってはおりますが、そこがたまらないというユーザーはガンガンプレイすると良いでしょう。

そして、今回のお題「キングスフィールド III パイロットスタイル」(前段が長すぎた!)はシリーズ三作目の体験版として配布された物。だが、IIIの一部をプレイできるという内容ではなく、IIとIIIとの間のエピソードを描いた独立した物語になっている点が物凄くレアでファン垂涎のマニアックな一品と言えるが、残念ながら現在は入手困難である。セーブはできないが、シリーズをプレイしてきたユーザーならそれほど苦労せずにクリアできるだろう。

本シリーズは、敷居が高いかもしれないが、私のようなへっぽこゲーマーでもクリアできたので、決して難度が高いわけではない。地道な努力が実を結び、苦労して得た物の方がありがたみが大きい、そんな事を教えてくれる一作だ。そして本作から派生し、マップが表示されない「シャドウタワー」のシリーズが生まれるのだが、マップが無い事でこんなに不安になるのかと、改めて「キングスフィールドシリーズ」のユーザーフレンドリーな部分に気づかされもしたのであった。

──うえけんWiki──

上野 顕太郎(うえの けんたろう、1963年4月18日 - )は、かなりアナログな漫画家である。デジタルなEngadgetとの接点は編集長が20年前、ゲーム誌編集者であったとき連載を担当したからと言われる。よく使うフレーズは「暇だからな!」......というわけで、かつてプレイした方もいるだろうマニアックなゲームを掘り起こし、あの当時を偲んでいただきます。

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