トルネコ

現在「ファミ通」でゲームマンガの連載をしている立場上、単に好きなゲームをプレイ出来て、おまけにそれが仕事になるなんてラッキーなのである。そんなわけで最近のゲームをプレイする環境にある私だが、昨年末に「風来のシレン」シリーズの「フォーチュンタワーと運命のダイス」をプレイした。シリーズを通じて「1000回遊べるRPG!」と謳われているが、その文句は決して伊達ではなく、1000回どころか、その倍以上は軽く遊べそうなボリューム感だ(個人の感想です)。

「ローグ」というコンピューターゲームをベースとした「シレン」シリーズは、作品ごとに様々なダンジョンが用意され、何作もプレイしてきたユーザーを楽しませてくれているが、基本的なルールは一貫している。

毎回同じ階層から冒険が始まるのは共通だが、地形や落ちているアイテムが毎回変わるダンジョンを一階層ごとに探索し、拾い集めたアイテムを駆使して敵を倒し、経験値を得てレベルアップしながら次の階層に向かい、目的の階層に到達出来ればクリア。冒険の途中で力尽きた場合、所持していたアイテムと積み重ねた経験値は0になり、一階層からのやり直しになるというもの。

未経験の方が聞くと、敷居が高く感じるかもしれないが、そもそも同じダンジョンRPGである「ウィザードリィ」のようにキャラクターを育ててより深い階層に潜ってゆくゲームではない。

あえて例えるなら将棋のようにそれぞれの駒の動かし方が決まっており、盤上においての戦術を巡らすタイプのゲームであり、よく言われる事だが、「シレン」ではキャラクターが成長するのではなく、プレイヤー自身が成長するゲームなのだ。

そこで本題の「トルネコの大冒険 不思議のダンジョン」なのだ。すみません、第一作以来「シレン」大好きなのでついつい語りたくなって前置きが長くなってしまったのだが、「シレン」シリーズが誕生する前に、ドラゴンクエストでお馴染みのキャラクター「トルネコ」を主人公とした「シレン」のひな型のようなゲームがあり、そのゲームに触れた事が現在の私の仕事に繋がるゲーム人生の始まりだったのだった、ジャーン、それ程でもないか。

ファミコンを経験せず、30歳を過ぎてから「トルネコ」にはまった私だが、始めてプレイした日、夜の9時ごろ、ちょっとだけやってみるかとコントローラーを手にした筈が気付くと午前3時。この時の衝撃は未だに忘れられない。

その後、何度も何度も倒され、「このゲーム本当にクリア出来るのだろうか」と嘆き、深い階層に潜ると出現する手ごわいモンスターの陰におびえ、緊張しながら必死に次の階層への階段を探す。いきなりのモンスターハウスの出現では、心臓の高鳴りを禁じ得ず、一旦中断して無かった事になってないかと期待したりもしたものだ(無かった事にはなってなかった)。ろくなアイテムも持たずにモンスターハウスに放り出されたときなんぞ、モンスターにパンをぶつけ、次のターンで袋叩きに合ったのも今では良い思い出だ。

トルネコ

そんな「トルネコ」だが、「シレン」をプレイした後で「トルネコ」をプレイすると、あんなに手強く感じていたのに簡単に踏破出来てしまうことに驚いた。

「シレン」ではアイテム数も増え、嫌な特殊攻撃をするモンスターも多く、格段に難度が上がっているのを実感する。「トルネコ」では、制作陣が本当に作りたかったのは最終ダンジョンで、装備品以外のアイテムは全て未識別で持ち込みが出来ないというルールだった。そこでユーザーの反応から手ごたえを感じたのだろう。「不思議のダンジョン2 風来のシレン」という「シレン」シリーズの一作目では、序盤から難度が上げられていたように思う。

ちなみに私は「トルネコ」をさんざんやり込んだのだから、まあ結構行けるだろうと踏み込んだ簡単ダンジョンでいきなり地雷を踏み、HPが1になったところでマムルに屠られるというデビューだったのだが、最終ダンジョンときたらミラクル歯応えありまくる出来栄えだったのだった。

てなわけで、「不思議のダンジョン2 風来のシレン」(SFC)、「不思議のダンジョン 風来のシレン2 鬼襲来!シレン城!」(64)、「不思議のダンジョン 風来のシレン外伝 女剣士アスカ見参!」(DC)などが私のお薦めだが、敷居がお高いと感じているそこのあなた! 是非、入門編として「トルネコの大冒険」をプレイしてみて下さい! そこにはきっと……何かあると思いますよ。

ちなみにトルネコがレベルアップする際に流れるメロディーは、ドラクエのレベルアップと同じ曲、これは燃えます!


──うえけんWiki──

上野 顕太郎(うえの けんたろう、1963年4月18日 - )は、かなりアナログな漫画家である。デジタルなEngadgetとの接点は編集長が20年前、ゲーム誌編集者であったとき連載を担当したからと言われる。よく使うフレーズは「暇だからな!」......というわけで、かつてプレイした方もいるだろうマニアックなゲームを掘り起こし、あの当時を偲んでいただきます。


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