Mario Anzuoni / reuters
Mario Anzuoni / reuters

劇場映画が見放題になる定額サービスMoviePassは、収益が見込めない価格引き下げが仇になり、2019年にサービスを終了しました。映画ファンにとっては夢のようなサービスが、なぜメチャクチャな状態に陥り、ほんの数年で消滅してしまうことになったのか、その背景を描くドキュメンタリーシリーズを、米映画俳優マーク・ウォールバーグが共同創設者に名を連ねるUnrealistic Ideasが制作します。

MoviePassは、会員の居住地域ごとに設定された月額を支払い、会員が見たい映画の劇場へ行ってから、アプリを通じてチケット代金を専用のデビットカードに振り込んで貰い、あとは普通にチケットを購入して観るという半分オンライン、半分アナログなシステムを採用していました。

誰でも気づくのは、会員が毎月支払うお金のもとを取ろうとすれば、サービスは必ず赤字になってしまうということ。ただ、人は怠惰な生き物であるため、中には月額を払っていても観たい映画がなければわざわざ劇場に足を運ばない人もいるはずで、MoviePassはそのような人たちの支払ったお金が利益になるという、なかなかファンキーなビジネスモデルでした。

当然ながら、収益のバランスを取るための月額設定は会員からすればそれほどお得でもなく、価格改定や月間の鑑賞可能本数制限を導入したりとテコ入れのためのプラン設定の変更が繰り返さるようになります。

状況が変わったのはデータ分析会社Helios and Mathesonに買収され、会員数の増加と会員からのデータ収集、広告収入を見込んで月額を9.95ドルに一気に引き下げたことから。あまりに安価な月額設定に会員数は急増、一時は300万人以上にまで膨れ上がりました。しかし急激な収入の増加に浮かれ、会社運営の不手際などからすぐに状況は悪化、2年後のサービス停止を招きました。

Deadlineによると、ドキュメンタリーは創業者ステイシー・スパイクスとハメット・ワットの視点から、MoviePassの創業~外部投資家の会社の買収~事業の崩壊までを探ります。制作されたシリーズがいつごろ、どこで視聴できるようになるかはまだわからないものの、動画ストリーミングサービスが台頭してくる前夜に現れた、劇場での体験を重視した映画ファンの夢が花火のように輝きそして散っていったかに興味ある方は、動向をチェックしておくと良いかもしれません。

Source:Deadline