[名称] MD DATA
[種類] 光磁気ディスク
[記録方法] 磁界変調ダイレクトオーバーライト方式
[サイズ] 約64mm
[容量] 140MB
[登場年] 1995年頃~

今や淘汰された懐かしの記録メディアたちに光を当てるこの連載企画では、ゆるっと集めているリムーバブルメディア・ドライブをふわっとご紹介していきます。

「MD DATA」は、ソニーによって開発された容量140MBの光磁気ディスク。音楽用のMDと基本的に同じものを採用しながら、PCや情報機器などでデータが保存できるよう拡張された規格になります。

MDは主に音楽用として使われていたこと、また、読み出しにレーザー光を使うことからCDみたいなものだと思われがちですが、中身はむしろMOです。ただし、MDは磁界変調ダイレクトオーバーライト方式を採用しており、消去・磁化・ベリファイと3ステップ必要だったMOに対し、消去することなく磁化が可能……つまり、少ないステップで書き換えできるようになっていました。

MD DATAの外見は音楽用MDとそっくりで、強いて違いをあげるとすれば、右上の角が斜めにカットされている(音楽用だと丸くなってることが多い)ことくらいです。

シャッターは爪でロックされていますがバネは入っておらず、爪を押すだけで簡単に開けられるというのも、音楽用MDと同じですね。

開けてみたところがこちら。ディスクの回転制御は、線速度が一定となるCLV(Constant Linear Velocity)となるため、角速度一定のCAV(Constant Angular Velocity)のように、一定角ごとに区切られている様子は目視で確認できません。

CLVは記録密度を一定にできるため無駄が少なく、容量を最大にできるというメリットがあります。その半面、細かな回転数制御が必要となり、とくにランダムアクセスが弱くなりがちです。

MDを音楽用のメディアとして使う場合、基本的に連続したデータの読み書きしかないため、CLVでも問題となりにくいのですが、データ用として使う場合はランダムアクセスが多くなるため、速度低下の原因となってしまいます。

多少問題はありますが、それでもMD DATAは小型でそこそこの容量、信頼性の高い光磁気ディスク、音楽用MDとの共通化で単価を下げられるなど、リムーバブルメディアとしては高いポテンシャルを持っていたと言えるでしょう。

ただし、データ転送速度は150KB/s。等速のCD-ROMと同じですから、1MB/s前後だったZipやMOと比べてしまうと、かなり遅い部類となります。また、ファイルシステムが独自だったり、利用にはドライバーや専用ツールが必須だったりしたこともあり、PC用としてはほとんど普及しませんでした。

なお、データ機器用のメディアとしてはそれなりに利用されており、紙の書類をデータ化する「DATA EATA」、マルチトラックレコーダーなどの音響機器、デジタルカメラなどで対応機が発売されました。

ソニーから発売されたMD DATAは、MMD-140、MMD-140A、MMD-140Bと3種類ありますが、このうち、最も新しいMMD-140Bは2016年10月発売です。え?って思いますが、マジです。登場から20年以上経っての発売です。

今回紹介しているMD DATAは一番新しいMMD-140Bとなるため、「なんか記憶と違う」と思った人もいるのではないでしょうか。このモヤモヤを晴らすためにも、古いMD DATAも並べた写真を掲載しておきますね。

左がMMD-140、右上がMMD-140A、右下がMMD-140Bとなります。

表面はそれほど変わらないですが(ラベルシールを貼る部分や、ライトプロテクト部分が少し違いますけど)、ひと目で違いがわかるのが裏面。従来のMD DATAでは、ホコリの侵入を防ぐため中央部分までカバーされていましたが、新しいモデルではそこが省略され、音楽用MDと同じくディスク面だけを守るタイプへと変更されました。

MD DATAらしさがなくなってしまうのはちょっと寂しいですが、後継のMD DATA2やHi-MDはすでに生産完了となって入手が難しいですし、多少形が変わっても、供給されていることを喜びましょう。


参考:

テレビジョン学会技術報告 19巻(1995) 27号 P15-19, J-STAGE
電気化学および工業物理化学 61巻(1993) 3号 P276-279, J-STAGE
MDH-10 Operating Instructions, SONY
パーソナルMDファイル“DATA EATA”発売, ソニー
MMD-140B, ソニー