Mercedes-EQ Formula E Team
Mercedes-EQ Formula E Team

ダイムラーは、メルセデスとして2019~2020年のシーズン6から参戦開始したフォーミュラEから撤退する意向であると報じられています。

フォーミュラEはルノーを皮切りに、これまでアウディ、DS、ジャガーBMW、さらにルノーと入れ替わりの日産が加わり、そこへメルセデス、ポルシェといった大物自動車メーカーが合流してきました。また、2020~2021年のシーズン7では単なる国際選手権から国際自動車連盟(FIA)の世界選手権になり、これまで非常に活況を呈しているかのように見えていました。

フォーミュラEの魅力は、エンジンでなくモーターで走る未来的なマシンであったり、視聴者の投票で選ばれた選手に与えられる特別な加速措置だったりと、これまでのモータースポーツにはない試みが多く盛り込まれているところ。そして、自動車メーカーにとっても、電気自動車主体の世の中に向けた技術開発の場になることが期待されていたはずです。

ところが、最近になってそのフォーミュラEから撤退を表明するメーカーも現れてきました。たとえばフォーミュラEのなかでも古参のアウディは昨年11月末に、またBMWも12月に、相次いでシーズン7(この8月15日に最終戦ベルリンE-Prixを開催し閉幕)をもってフォーミュラEから撤退することを明らかにしていました。

メルセデスもまた参戦して2シーズン目を終えたばかりで、チーム部門、ドライバー部門ともに年間チャンピオンを獲得する成功を収めました。

ところが、メルセデスはフォーミュラEが準備中の”Gen 3”と呼ばれる3代目フォーミュラEマシンの技術的条件に合意することを保留しています。その理由は「シリーズの構造に関する重要な部分」を明確にしたいからだとされます。その後求める情報を得られたかはわかりませんが、メルセデスのモータースポーツを取り仕切るトト・ウォルフ氏は「すでにある決定は下された」と述べました。「まだ撤退するとは言っていないが、もしそうなるのなら、代替になる戦略を練らなければならない」としています。

また「われわれがこのスポーツに参加しているのは、ただ競走やサーキットをグルグルと回るのが好きだからというだけではなく、マーケティングやコミュニケーションの場としても重要だから」「そのため、どのようなプラットフォームがメルセデスに何をもたらすかを常に評価している」「またマーケティングとは別に、そのプラットフォームを市販車への技術移転のためのものとも考えている。技術とマーケティングは互いに両輪で回さなければならない」と述べています。

ウォルフ氏いわく、すでにシリーズ関係者はどのような決定が成されたかを認識しているとのこと。もしメルセデスがアウディやBMWにつづいて離脱を発表するなら、それはフォーミュラEにとってはイメージダウンにつながるはずです。Gen 3マシンはフォーミュラEがこれまでに得てきた知見をベースに開発されることになるはずで、これまでよりも高出力のモーターや小型軽量で大容量のバッテリー、回生ブレーキの効率化、そしてピットインの際に急速充電を実現する技術の開発も計画されています。

充電時間の短縮は、市販の電気自動車の弱点でもあるため、その技術開発には期待もかかります。しかし、最近ではフォーミュラEの育ての親でもあるアレハンドロ・アガグ氏が新たに立ち上げたEVオフロード競技エクストリームEが開始しており、FIAもGT3マシンをベースにEV化したシリーズ「Electric GT」を発表するなど、モータースポーツにおけるEV技術開発の選択肢も増えています。自動車メーカーの多くは第3世代フォーミュラEマシンのために時間を割き資金を投じることにはあまり興味がないのかもしれません。

ちなみに、トト・ウォルフ氏は、メルセデスがフォーミュラEから撤退するにしても、最近補強のためにチームに呼んだ大物エンジニアなどを放出したくはない考えも覗かせています。その解決策として「トト・レーシングチーム」としての存続の可能性を冗談めかして述べています。

Source:Motorsport.com

via:Jalopnik